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インターモールド2015 総集編

世界の新技術が一堂
時代を拓く機械・工具
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 東京ビッグサイトで4月15日~18日まで開かれた国内最大の金型加工技術展「インターモールド2015」(第26回金型加工技術展)。国内外から427社・団体が出展し、5軸加工機や高硬度材切削工具、3Dプリンタなど最先端の技術を披露した。次代につなぐ技術が競演した4日間の軌跡を辿る。

▼マシニングセンタ
▼放電加工機
▼研削盤
▼切削工具
▼工作機器
▼測定機器
▼ソフトウェア
▼3Dプリンタ
▼金型展
▼学生金型グランプリ
▼本紙来場者アンケート

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高機能の5軸、超微細

  マシニングセンタ  

 マシニングセンタ(MC)は5軸加工機の最適な活用方法や、微細加工機、高硬度切削向けの最新機が登場。荒加工の効率化など独自の提案のほか、多様化するあらゆるニーズに対応する加工技術が数多く紹介された。

 様々な視点から新たな加工技術を提案したのは、牧野フライス製作所。立形MC「V56ⅰ」では研削加工も可能にしたほか、横形MCで高精度な入れ子の多数個取りの有効性を示した。「D800Z」では大物ダイカスト金型の加工を紹介。干渉チェックなど設計者の負担を軽減できる方法などを提案した。

 三井精機工業も「Vertex」を高精度、省エネに刷新。安田工業も3軸MCに専用2軸テーブルを搭載、複雑形状の高精度加工にも対応した。

 大阪機工は加工時間を短縮できる余地が多いのが荒加工であることに着目。立形MC「VM43R」などで、効率的な重切削方法を紹介した。
微細分野では、ソディックが「HS430L」をリニューアルした「UH430L」を発表。主軸に自社製のCFRPを採用するなど、LEDの金型で4割以上の加工時間短縮を図った。

 同分野に新規参入したのはトーヨーエイテック。形状精度1μm以下を可能にし、間口910㎜のコンパクト型MCを初披露。東芝機械は、超微細加工機「UVM」で、自動車用クリアランスランプ型も加工可能な「700C」を発表した。

 三菱重工は「μV1」で、コネクタ金型やLED金型の直彫加工を提案した。高硬度材の加工もトレンドだ。安田工業は立形MC「YBMVi40」で、ベベルギアの超硬材を直彫加工したワークを展示した。

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新たな制御、機上測定も
  放電加工機  

 放電加工機は精度の向上や、アプリケ―ションの拡充で用途は広がっている。三菱電機は大型対応のワイヤ放電加工機にレーザープローブを搭載したほか、油仕様の超高精度ワイヤ放電加工機にもCCDカメラも採用するなど、機上測定による段取り減少を提案。型彫放電加工機では、2台に対して1台のロボットで効率よく稼働させる自動化を紹介した。また最適に加工を制御することで、グラファイト電極での高精度加工を実現した。

 牧野フライス製作所は型彫放電加工機の新制御による「フラワーパターン」を披露。従来の梨地ではなく、花模様のような仕上げ面とすることで凹凸が緩やかにし、射出時の離型性が向上する。ICモールド金型では使われていたが、他の金型への適用を提案した。また、タッチスクリーンで操作性が良く、最適な加工条件を支援できるコントローラも出品した。

 西部電機は、高性能のワイヤ放電加工機をリニューアルした後継機種を発表。さらに、ピッチ加工精度±1μmを可能にする超高精度仕様のシリーズも紹介した。

 ソディックはワイヤ放電加工機で、機械の持つ最高性能を引き出した加工サンプルを展示。スマートパルスとスマートリニアをコンセプトに、ファーストカットから仕上げ加工までの全加工領域で高性能加工を可能にした。

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複合加工で工程集約
  研削盤  

 研削盤は、複数の主軸による加工や、研削と5軸切削によって粗から仕上げまで一貫加工し、大幅に工程集約できる機械が登場した。一方、微細な水の分子を吹き付けることで加工能率を飛躍的に高めるクーラント供給装置も紹介された。

 複数の主軸を持つのは岡本工作機械製作所の「UGM360NC」。プレーン、アングル、内面加工用の3つの主軸で、複雑な形状の金型ピンなどもワンチャックで加工できる。土屋恵児グループ長は「段取り替え無しで連続加工し、生産性を大きく伸ばせる」。

 研削と5軸切削ができる複合加工機「GX350」を出品したのはアマダマシンツール。マルチプロセスセンターと呼ぶこの機械は、平面や内面、ジグ研削に加え、3次元曲面も切削加工できる。曽根田一行部長は「電子部品や鍛造部品をはじめ様々な金型技術者から興味を持って頂いた」。

 一方、ナガセインテグレックスは、高精度と高効率加工を両立する新技術を披露した。クーラント液の状態を改質する超精密な濾過・供給システムで、その名も「爆削」。超精密を確保しつつ、切り込みを大きくでき、平面研削なら約5倍、ハイレシプロ研削なら約7倍の加工能率を達成した。

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超硬、焼入れ鋼を加工
  切削工具  

 超硬合金、焼入れ鋼など高硬度材加工を直彫りするニーズが広がっている。メーカーは品揃えを増やし、加工法の見直し、加工時間短縮を提案した。

 ダイヤモンドコーティングエンドミルで超硬直彫りを提案したのはユニオンツール。CBN工具で人気だったのは日進工具。特にCBNスーパースパイラルボールエンドミルは切削抵抗を軽減。深彫が可能で、長寿命と加工面品位が得られる。

 焼入れ鋼加工を全面的に推したのはイワタツール。トグロンハードは、来場者から驚きの声が。

 ダイジェット工業は、高硬度材加工用の新チップを披露した。「ミラーS」は、60HRCを超える高硬度材でも高速加工ながら長寿命を実現した。オーエスジー、三菱マテリアルなどは航空機産業向け等の部品加工も含む総合力を披露した。

 オーエスジーの「PHXロングネックボール」は短い刃長で外周刃にバックテーパがない。低速高送りで高精度加工する。三菱日立ツールはトータル工程短縮を提案。高精度荒加工で、磨きなど後工程を短縮する。

 三菱マテリアルのヘッド交換式エンドミル「iMX」は、ソリッド工具並の精度でランニングコスト低減が魅力。耐熱合金を超高効率加工するセラミックエンドミル(参考出展)も注目を集めた。イスカルジャパンも最先端ヘッド交換式工具「マルチマスター」を出展。組み合わせを変え、高能率で多様な加工が可能。

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自動・省力の新機能
  工作機器  

 金型企業における次のステップは自動化と考えるのは工作機器メーカー各社。工作機械での24時間加工なども自動化の一つだが、製造工程全体を通した自動化、省人化、省力化による短縮が必要。今回出展した各工作機器メーカーは簡単な機器を導入することで、自動化あるいは省力化の提案を行った。

 GFマシニングソリューションズはマシニングから放電加工まで対応できるテーブルチャックなどのクランプシステムを展示。個々の加工時間ではなく、トータル作業時間を考え、最短納期を目指す。加工から加工の間の段取り時間短縮を検討するユーザーが多く来場。

 マグネットチャック製造のサンアイ精機は平面研削盤対応の丸型マグネットチャックを披露。Z方向への荷重対応で高剛性な回転力に負けない設計により、平面研削盤で円筒研削盤の役目を果たすことができる。防水設計で切削液にも対応。

 大昭和精機は全商品を展示。高精度仕上げ用にハイドロチャックが人気を博したほか、小物加工向けに12万回転のエアータービンスピンドルも好評。

 ガラスなどマグネットチャックが使えないワークや薄物の加工に最適な「ESチャック」を披露したのはトリオエンジニアリング。低温凝固剤を使い、17℃以下でワークを接着させ、加工後は常温水で取り外せる。冷却水装置と組合せ、17℃以下を保ちながら加工もできる。凝固剤は加工物との化学反応もなく、環境汚染対策にも対応する。

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測定③_R

機上、X線の非接触
  測定機器  

 測定では、精度の向上はもちろん、効率化をテーマとする出展が目立った。カメラやX線での非接触式や機上測定などハード面のほか、測定プログラムなどソフト面で効率化を提案するメーカーもあった。

 東京精密は非接触3次元表面粗さ測定機「Opt-scope」を出品。白色干渉計顕微鏡を搭載し、触針式に比べ200分の1まで測定時間を短縮できる。カールツァイスではX線CT測定機や1台で複数の測定ができる「O-INSPECT」を展示した。

 機上測定は、測定しながら加工ができるため、測定工程の短縮や最終製品の品質向上が期待できる。レニショーやブルーム-ノボテストが形状や表面粗さを測定できる高精度プローブを出展。マーポスでは0・01㎜カメラ式工具測定で精密な微細加工を提案した。

 一方、ソフト面で提案したのがミツトヨだ。自動で測定プログラムを作成できる「MiCAT Planner」を展示。3次元CADに公差情報を入力すれば、自動で最適な測定パスを組成できる。今後、製品製造情報(PMI)付きCADが普及すれば、測定のさらなる効率化が期待される。

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CAEの操作性向上
  ソフトウェア  

 ソフトウェアは、型設計の3次元化が進んだ背景からCAEに注目が集まった。専門知識を必要としない使い易いものや3D冷却水路など最新技術に対応した製品が登場した。また、金型の構造全体を解析できるシミュレーションソフトも紹介された。

 オートフォームやJSOL、ナノソフトがプレス解析ソフトを出展した。オートフォームは直感的な操作で作業者が使いやすい「DieDesiner」を、JSOLはスプリングバックなどの検証精度が向上した「JSTAMP」を紹介した。ナノソフトでは、プレス金型の構造全体を解析できる「3DSimSTAMP」を展示し、設計時間やコストの削減を提案した。

 樹脂解析を出品したのは、オートデスクや東レエンジニアリング、JSOLだ。オートデスクや東レは、金属光造形の3D冷却水路の解析ができる機能などを紹介。

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金型への活用、様々
  3Dプリンタ  

 次世代の加工技術として注目を集める3Dプリンタでは、様々な金型への活用法を各社が提案した。実際にワークを持ち込む来場者などユーザー側でも活用法を模索する動きや受託加工サービスを展開する企業も見られ、裾野が広がりつつある。

 金型内部を複雑形状に加工できることが金属3Dプリンタの利点とされてきたが、「OPM250L」を出展したソディックでは、鏡面仕上げのワークを展示し、材料密度の高さをアピール。さらなる活用の広がりを示した。また、切削と造形を組み合わせた加工方法で加工スピードを大幅に上げる提案もした。

 一方、ストラタシス・ジャパンでは3Dプリンタで実演成形を行った。

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技術交流で大きな成果

 金型展 

 インターモールドの会場で併催された金型展(主催・日本金型工業会)は、金型メーカーや関連企業71社が金型や部品加工など自社の技術を披露した。会期4日間で金型ユーザーや部品加工メーカー約6800人が訪れ、技術や情報交流の有益な場となった。

 真空成形金型などを手掛けるKTXは、微細な通気孔により成形で目詰まりが起こりにくい独自の電鋳を出品。梨地のある製品も高品質で成形でき自動車部品などに採用されているが、「他の分野からも注目して頂いた。新たな用途開発につなげたい」(木野佳之営業課長)。

 金型づくりで培ったノウハウを生かして部品加工の技術を披露したのは、ダイカスト金型の七宝金型工業や、鋳造金型の日型工業。七宝金型工業は5軸MCで加工した複雑な形状の金型の入れ子を、日型工業はカニの甲羅をスキャンしたデータで0・5㎜の厚みに金属を切削加工した見本を展示。日型工業の渡辺隆範社長は「なかにはとても興味を持って頂いた人も。今後は積極的にフォローの営業をしていく」。

 一方、プラスチック金型のサン精機は、アクリル製の教育用金型を出品した。もともとも社内用として作ったが、2年前から金型ユーザーや教育機関に販売。楠牟禮勲社長は「金型の仕組みや金型づくりの難しさを伝えるのに使って欲しい」。

 金型展はインターモールドの併載展として回を重ね、金型ユーザーや部品加工メーカーからの注目は増している。日本金型工業会の中里栄専務理事は「国内で唯一、金型企業が技術を披露する展示会。技術交流の場として、来場者の期待は年々高まっている。この輪を大きくしていくため出展者をさらに増やしたい」。

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プラは大分、プレスは岐阜

 学生金型グランプリ 

プラ型部門で大分県立工科短大
プレス金型部門で岐阜大が受賞

 7回目を迎える今回は、プラスチック金型部門では大分県立工科短期大学校、プレス金型部門では岐阜大学がそれぞれ金賞に輝いた。受賞した2校のほか岩手大学、九州工業大学、近畿大学の3校が参加。また、中国から大連工業大学が参加し、計6校が金型製造技術を披露した。

 今回の出題テーマは、プラスチック金型が「トートバッグ型マグカップ用ティーバッグレスト」、プレス金型が「BELL 単発型対応」。プラスチック金型部門は6校。プレス金型部門は3校が参加し各校の学生が工夫しながら、金型技術を競い合った。

日本金型工業会の牧野俊清会長は「各校とも色々な創意工夫を凝らしており、ある意味我々プロよりも先に進んでいる部分もあるのではないかと感じた。来年も努力し、良いものを作って頂きたい」と話した。

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  本紙来場者アンケート 最も興味を持った製品は?  

3D造型、金型の新技術

アンケート

 金型新聞社は、インターモールド2015で、来場者(金型、自動車、電子部品、成形・プレス部品メーカーなど84社)にアンケートを実施した。最も興味を持った出品技術・製品について尋ねたところ、「3Dプリンタ」や「5軸加工機」「高硬度材加工工具」「高速・微細放電加工機」などが上位だった。

 3Dプリンタは全回答の20%を占めた。金型に限らず自動車や部品メーカーなど様々な業種の人が回答し、あらゆる製造業が注目していることを覗わせた。理由や目的を尋ねたところ、「実機を見たこともなかった」(金型メーカー)「少量多品種の生産に使えるか確かめたい」(成形部品メーカー)。

 5軸機や高硬度加工工具、高速・微細放電加工機は、マシニングセンタ(全回答の13%)や切削工具(同6%)、放電加工機(同8%)のなかでも回答が多かった。回答者の殆どが金型メーカーや金型製造関連の技術者で、5軸機は「近く導入するにあたり性能について詳しく聞くため」、高硬度材加工工具は「技術の進歩に驚いた」などと答えた。

 一方で、併催された金型展に出展した「金型メーカーの出品製品を見に来た」(同8%)と答える人も目立った。自動車や電子部品、成形・プレス部品メーカーに多く、そのためだけに来たとする人もいた。
その目的については、「金型の発注先が減って困っている。造ってくれる企業を探しに」(成形メーカー)、「自社の金型製作に転用できる技術を見つけに」(電子部品)、「金型メーカーの加工技術はレベルが高い。削り出し部品を加工してくれる会社との出会いを求めて」と答えた。

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金型新聞 平成27年(2015年)5月14日号

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