金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

APRIL

23

新聞購読のお申込み

冨士ダイス 西嶋守男社長に聞く
世界で認知されるブランドに

生産効率向上し、需要増に対応

 西嶋守男(にしじま・もりお)社長 山口県出身。1975年慶応大学工学部卒業後、造船会社入社。78年冨士ダイス入社、2006年フジロイ(タイランド)社長、09年冨士ダイス取締役、15年社長に就任

 耐摩耗工具メーカーとして国内トップシェアを誇る冨士ダイス。超硬合金製のダイスやロール、製缶用金型、ガラスレンズ成形用金型など耐摩耗工具に特化した事業を展開し、来年には創業70年を迎える。「世界で認知されるブランドを目指したい」と話す西嶋守男社長に現在注力している取り組みや今後の成長戦略などを聞いた。

 ー来年で創業70年を迎えます。
 当社はダイス・プラグの製造から始まり、自動車部品や製缶、ガラスレンズ向け金型などに製品を広げ、超硬素材から加工までを一貫した受注生産体制で事業を展開してきた。その結果、現在では耐摩耗工具の市場シェアの約3割を獲得するまでに成長できた。

 ー今後の成長戦略を教えてください。
 今年策定した中期経営計画では「受注増への対応と将来の社会変化への準備」を基本コンセプトに掲げた。その中でも特に注力している一つが、生産効率の向上だ。2018年3月期の売上は179億円(前期比8%増)で過去最高となり、今後も超硬製品の需要は増加するとみている。こうした需要増に対応するためには、供給能力の強化が欠かせない。

 ー具体的に取り組んでいることは。
 まずは生産拠点の再編だ。昨年には門司工場を熊本製造所に集約し、生産効率を高めた。また、自動化にも取り組んでいる。郡山製造所ではロボットを導入し、測定の自動化を図っている。熊本製造所では加工機とロボットを組み合わせた加工工程の自動化に取り組んでおり、年内には本格稼働を予定している。

  ー将来の社会変化への準備とは。
 次世代自動車の拡大による自動車産業の変革など今後あらゆる産業でニーズの変化が予測される。当社は、全国をカバーする「営業力」と高度な冶金技術を基にした「素材開発力」、そして0・1μmオーダーといった高い加工精度が要求される金型加工で培った「加工技術力」を持つ。これらの強みを活かし、変化するニーズに柔軟に対応するとともに、新技術の開発と新分野の開拓を目指す。

 ーどんな新技術、新分野に取り組みますか。
 現在は医療・化粧品向け金型や次世代自動車部品向けの金型、赤外線レンズ金型の開発に着手している。また、超硬合金は耐摩耗性が高く、長寿命化や精度の安定化が図れる。ユーザーの課題
を解決するために、既存分野でも超硬合金への切り替えを提案していく。

  ー長期的なビジョンは。
 当社のブランドである「フジロイ」を海外でも認知されるようになってほしい。競争力を高める取り組みを進める一方で、アジア、北米を中心に海外展開も加速させ、少しずつブランドを根付かせていきたい。

金型新聞 平成30年(2018年)10月10日号

関連記事

【この人に聞く】テクノア社長・山﨑耕治氏「システムにおける中小企業の専門医として導入検討時の不安を取り除く」

 一品一様の世界である金型産業は生産や技術面で人に頼ることが多く、デジタル化が喫緊の課題。そこで生産管理システムで生産性向上や経営のサポートに取り組んでいるのがテクノア(岐阜県岐阜市)だ。金型など中小企業向けで多品種少量…

【鳥瞰蟻瞰】枚岡合金工具代表取締役社長・古芝義福氏 「3S活動のカギはぶれない姿勢とビジョン」

事業継続のために始めた3S人を変え、行動体質にカギはブレない姿勢とビジョン  当社は冷間鍛造金型や文書・図面管理ソフト『デジタルドルフィンズ』、教育事業を手掛け、従業員数は23名です。社内のフリーアドレス化、リモートワー…

この人に聞く 2014 C&Gシステムズ 塩田 聖一社長

この人に聞く 2014 C&Gシステムズ 塩田 聖一社長

金型は成長産業 「金型は世界的には成長産業」―。そう話すのはCAD/CAMメーカー、C&Gシステムズの塩田聖一社長。コンピューターエンジニアリング(CE)とグラフィックプロダクツ(GP)の合併から4年半、年平均の成長率1…

日本金型工業会 学術顧問
横田 悦二郎 氏(日本工業大学客員教授)
〜鳥瞰蟻瞰〜

コロナを好機にするには 営業など中間層の変革をICTの活用が絶対条件  コロナで金型業界は難しい状況にありますが、大変だと騒いだり、パラダイムシフトを心配したりしても何も生まれません。むしろ、やり方次第では、ピンチをチャ…

「世界のオギハラ」再建<br>-長谷川 和夫社長に聞くー

「世界のオギハラ」再建
-長谷川 和夫社長に聞くー

米に工場、生産力強化  自動車ボディ向けプレス金型を手掛けるオギハラの社長が今年1月に交代した。新社長はアメリカ現地法人副社長の長谷川和夫氏。製造部門を経験し、長く海外畑を歩み、海外自動車メーカーの金型調達や開発にも携わ…

関連サイト