金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

APRIL

19

新聞購読のお申込み

この人に聞く2017
安田工業 安田 拓人社長

微細加工の大型化に対応

 工作機械の「マザーマシン」として世界で高い評価を得ている安田工業。近年、金型業界でもニーズが高まる微細加工向けとしてJIMTOF2016で「YMC650」を発表し微細加工分野の開拓に努めている。安田拓人社長に微細加工分野における戦略を聞いた。

ニーズに応える技術

安田 拓人社長

 1969年3月生まれ。94年安田工業入社、99年に常務取締役、2009年代表取締役に就任。

 ―「YMC650」の開発背景と特長は。
 09年に微細加工向けの「YMC430」を発売しました。主軸4万回転・全軸リニアモータ仕様で、1ミクロン以下の加工精度が出せると評判になり販売も好調です。自社製ロータリーテーブルを搭載した5軸仕様も徐々に伸びており、微細加工市場の拡大を実感していました。そこで製品のバリエーションを広げようと、より大きなワークを想定した「YMC650」を開発しました。移動量X軸600㎜、Y軸500㎜とストロークを大きくしつつ、当社独自の機体温度制御システムによりスピンドル内部まで冷却液を循環させることで、長時間安定して高精度加工できることが大きな特長になります。

―想定する市場は。
 カメラレンズやコネクターなど電子部品が拡大していると見ています。「YMC650」の想定市場はまだはっきりとしていませんが、燃料電池のセパレーターの金型や自動車用ヘッドランプのレンズ金型などがあると思います。

YMC650

YMC650


―今後の販売戦略は。
 微細加工では機械のみならず、加工技術、プログラミング、治具、工具測定などあらゆる要素が必要ですが、特にお客様に提案できる加工技術を持たなくてはいけません。そこで微細加工の加工研究に力を入れていきます。お客様からのテスト加工はもちろん、独自の加工研究で面粗度を上げる方法(加工条件)や超硬など新素材のテスト加工などで技術の蓄積を図っていきます。現在、本社工場のテスト加工現場を刷新中で、二重の恒温室(22℃±0・2℃)を作り上げ、そこに「YMC650」などを設置し、徹底した温度管理の下でテスト加工が行えるようにしていきます。

―今後強化していくことはどんな所ですか。
 強化しているのはソフト面です。5軸の芯出しや測定など高精度加工を簡単にする「新OpeNe」というインターフェースやYASDAコネクトというIoTに関連する機能で、温度管理や加工誤差など機械の見える化を図り、お客様に機械能力を100%使ってもらうための機能を充実させていきます。

金型新聞 平成29年(2017年)3月10日号

関連記事

「パソコンの中でものづくりできることに魅力」微細金型のCAD/CAM担当する女性技術者

T・D・Cモールド 製造部 製造係 松尾 由貴子さん 加工精度±2μm以内の微細精密な金型のモデリングや加工プログラムを作成する。そのスキルは社内外でも高く評価され、昨年には工作機械メーカーの碌々産業が優れた加工技術者に…

特集〜世界の需要どう取り込む〜
金型のサムライ世界で挑む –アジア–

 新天地を求めて、世界に進出していった日本の金型メーカーは、何を考え、どんな苦労や課題を乗り越えて、取り組みを進めてきたのか。また、さらなる成長に向け、どんな青写真を描いているのか。中国、タイ、メキシコ、アメリカ、欧州そ…

2021年に売上高50億円
オネストン 鈴木 良博社長に聞く

 パンチやダイ、強力ばねなどプレス金型部品を取り扱うオネストンは2021年に創業50周年を迎える。プレス部品専門商社として基盤を築き、近年は「1個づくり」をテーマにした特殊品対応やリバースエンジニアリングほか、アメリカ・…

ボディ部品向け金型開拓へ 進恵技研が新工場設立で挑むこと[金型の底力]

自動車部品向けプレス金型メーカーの進恵技研は今年4月、本社工場に隣接する西工場に新棟を設立し、第7工場として稼働を開始した。門形マシニングセンタ(MC)5台や、40tクレーンなどを設備し、より大物加工に対応できる体制を構…

ヴェロソフトウェア マークフリーブリー氏に聞く<br>一気通貫のソリューション 技能者に依存しないソフト開発

ヴェロソフトウェア マークフリーブリー氏に聞く
一気通貫のソリューション 技能者に依存しないソフト開発

この人に聞く 2018 金型設計製造向けCAD/CAMシステム「VISI」などを手掛けるヴェロソフトウェア。創業からM&A(合併と買収)などによって製品ラインアップを拡大し、最近では「WorkNC」や「Edge…

関連サイト