2018年11月21日(水)

JIMTOFこう見る
日本金型工業会 小出会長・平林技術委員長に聞く

  IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などの新技術が製造業に大きな変化をもたらそうとしている。工作機械や工具などの生産財も、これまでは難しかった精度や加工が実現できるようになるなど、金型づくりも大きく変わり始めている。こんな状況で開かれる「JIMTOF2018」。金型メーカーが注目する技術は何か。IoTをどう生かせるのか。日本金型工業会の小出悟会長と、技術委員会の平林巧造委員長に、「今回のJIMTOFをどう見るか」聞いた。

IoT、AIに注目

   日本金型工業会 小出悟会長

 ー今回のJIMTOFをどうみますか。
 「つながる」が全体のテーマにもあるように、IoTや人工知能(AI)技術の進化が見どころだと思う。金型加工の現場にどこまで落とし込めるのか、どれだけ役立てるのかを見極めたい。機械だけでなく、工具や機器、ソフトなどもどのようにIoTに対応していくのかにも注目したい。

 ーなぜこうした技術が必要なのでしょう。
 金型の短納期化が進み、働き方改革で労働時間に制限があるなかで、生産性を上げるには不可欠だからだ。金型づくりは「無駄取り合戦」。工程が多岐に亘ったり、技術者のスキルの差があったりするので、各自、各工程で作りこまなければすぐに無駄が発生してしまう。難しいのがこうして発生する無駄が数値化できていないこと。あいまいな領域を数値化してくれるのがIoT技術だと思う。

  ーうまく活用すべきツールということですね。
 そうだと思う。また、IoTはAIを前提で考えるべきだろう。多様で多くのデータが集まればそれだけ有益な情報も得られ分析もできる。設計は近い将来、AIによって自動化できる時代が来るかもしれないし、工作機械も温度変化による自動補正だけでなく、工具の温度や周辺環境などを感知し、常に最適な条件で加工できるようになるかもしれない。

 ー金型づくりが標準化してしまえば差別化が図りづらくなりませんか。
 IoTやAIが示すデータを見ればこれまで気づかなかったことに気づいたり、第六感が働いたりするのではないかと思う。データを見て「ここをこうすべきだ」といったように判断することが人の役割になるのではないかと思う。

 ー求められる人材も変わってきますね。
 カンコツの世界だけではなくなっていく。変化を受け入れ、間違っててもいいので「将来こうなるのではないか」という想像力が必要になると思う。自動車業界では100年に一度の変革期と言われるが、金型もそうかもしれない。今年と来年は大きく変わらないが、10年後はガラッと変わるかもしれない。今回のJIMTOFはこうした変革期のとば口に立つ展示会になるように思う。

加工技術の進化感じたい

  日本金型工業会 平林巧造技術委員長

  ー今回のJIMTOFをどうみますか。
 自動化や高能率化といったこれまでの流れに加えて、IoTの活用は大きなテーマだと思う。前回は見えない部分が多かったが、今回は具体的な利活用が提案されることを期待したい。しかし一方で、あくまで金型づくりのオプションの一つだととらえている。

 ーどういうことでしょう。
 人手不足が叫ばれる中で、IoTによる効率化はしなければいけないと思う。しかし、金型づくりの人間としてはそれだけでは面白くない。JIMTOFは加工技術の最先端の見せ場。だから、きらりと光るハードの進化を感じたいし、それを見るのが最も楽しい。この機械があるから「こんな金型ができそうだ」とか「これは将来につながるぞ」など、そうしたものを感じられるのがJIMTOFの本質だと思う。

 ーそんな中で注目する技術は。
 機上測定など計測の自動化や、レーザーなどを始めた工作機械の複合化、量産も可能になりつつある3Dプリンタの進化などに注目したい。海外の出展メーカーを見ることができるのも大きな特長で、日本製にはないようなコンセプトの機械などもみたいと思う。あとは製品のデザインに注目している。

 ーデザインですか。
 性能の良さは当然だが、見た目も重要だと思う。カッコいい機械は使う人間もその機械を大切にするし、モチベーションも上がる。カッコいいものに囲まれていれば、五感を刺激されたり、磨かれたりすることもあると思う。ワクワクする遊び心のあるデザインの機械が見たい。金型も同じで「どんな使い方をするのか」までデザインして、提案する必要があると思う。

 ーJIMTOFを教育の場とも言っていますね。
 色んなものに出会え、最新の情報技術をキャッチアップすることは刺激になる。特に工作機のオペレーションに携わる人だけでなく、設計や製造の人も行ってもらうことが大切だと考えている。設計者が切削や機械加工を学ぶことで、設計に対する考え方を見直したり、新たなヒントをつかんだりすることにつながるからだ。何より、自分で見て、自分で感じるのが一番いい勉強になる。

金型新聞 平成30年(2018年)11月1日号

[ インタビュー ][ トップインタビュー ][ 金型新聞 ] カテゴリの関連記事

JIMTOF2018 金型づくりの最新技術一堂<br>IoT、自動化、微細 11月1〜6日  東京ビッグサイト

JIMTOF2018 金型づくりの最新技術一堂
IoT、自動化、微細 11月1〜6日 東京ビッグサイト

過去最多の1085社出展  1962年の初開催から29回目となる今回は、前回の969社を上回る企業・団体が出展する。1000社を超えるのは史上初。東京ビッグサイトの東1~8ホール、西1~4ホールと全ホールを使用し、展示面 […]

日本金型工業会 第45回 金型の日<br>11月22日 ANAクラウンプラザホテル

日本金型工業会 第45回 金型の日
11月22日 ANAクラウンプラザホテル

優良従業員など表彰 金型産業を広くアピール  日本金型工業会(小出悟会長・小出製作所社長)は11月22日、ANAクラウンプラザホテル・グランコート名古屋(名古屋市中区)で、第45回「金型の日」記念式典を開く。永年勤続優良 […]

ジヤトコエンジニアリング<br>永倉 均社長に聞く CVT技術を磨く

ジヤトコエンジニアリング
永倉 均社長に聞く CVT技術を磨く

この人に聞く 2018 電気自動車(EV)の登場で部品点数が減少したり、エンジンがなくなったりするのではないかといった金型への影響を危惧する声は絶えない。オートマチックトランスミッション(AT)や無段変速機(CVT)など […]

トピックス

関連サイト