日本金型工業会(牧野俊清会長、長津製作所会長)は6月8日、インターコンチネンタル東京ベイ(東京都港区)で第6回定時総会を開催した。平成29年度事業報告や決算報告、平成30年度事業計画や収支予算など全議案が承認された。役…
がんばれ!日本の金型産業特集
ハルツ 近藤 大輔 社長

金型メーカーが成形や部品加工に手を広げるケースが多いなか、ハルツは創業から40年以上にわたり、プレスの売り型専門で金型設計製作に取り組んできた。3代目の近藤大輔社長は「先代たちの口癖は“金型が営業する”だった」というように、高品位な金型が武器だ。実際に口コミで評判が広まり、仕事を増やしてきた。さらに現在では高い技術力に加え、展示会に出展するなど露出を増やすことで、「間口を広げてどことでも付き合うのがモットー」とし、「3.2㎜以下の薄物で、400㌧クラスの大物かつ精密な仕事であれば何でも引き受ける」と近藤社長は話す。
高い技術力が強みだが、金型づくりにおけるこだわりは、「技術に溺れず、初心者でも作れる金型づくり」。得意とするのは住宅設備関連の金型だが、意匠性が高く、面品位など金型に対する要求は厳しい。そのため高い技術が必要となるが、近藤社長はあえてそこにこだわりはないと言う。それは前社長からの「会社を継続させるため、技術にこだわりすぎるな」というアドバイスがあるからだ。「技術にこだわり過ぎれば、周りが見えなくなり、自己満足の世界に入ってしまう。そうなるとユーザーの本当のニーズも見えなくなる」。だからこそ分かりやすい金型づくりにこだわる。そのなかでも特長的なのは、独特な金型図面。設計者がペンで色づけしたり、注意書きやコメントを書き込むなど、オリジナリティあふれる分かりやすい図面で、誰でもできる金型づくりを実現している。

「初心者でもつくれる金型づくり」を求めるからこそ、プロフェッショナルな人材が必要で育成には注力している。生産体制を完全分業化し、マシニング担当や放電担当など、それぞれの部署ごとでスペシャリストを育成するという方針を取っている。一つの部門に特化させることで、覚えることが少なくて済み、早い時期から戦力として活躍できる。また教える側も一つの分野を専門的に教えるため、技術の教育や伝承が比較的容易に行える。
また、前職で金型とは関係のない人材も採用し、多様性を重視している。たとえば、機械メーカー出身の人間と工作機械を自社開発したり、大工出身者であれば、天井の修理や事務所の増築も自社で行えるなど、従業員ひとりひとりの個性を活かした企業づくりができるからだ。
近藤社長は17年前、学校を卒業後入社し、一から金型づくりを学び、4年前に32歳の若さで社長に就任した。金型づくりにおいて、「新しい金型を作り上げる際、図面との戦いと、時間と妥協したくないという自分とも戦わなくてはならない」と若い技術者としての苦悩もある。ただそうした状況のなかで「良き先輩や、同僚に揉まれ励まされ見守られてここまでやってきた」と周りへの感謝も忘れない。こうした経験をしてきたからこそ、従業員ひとりひとりの幸せを考え、10年、20年、さらに先の将来を見据えた企業づくり、人づくり、そして金型づくりを目指している。

代表者=代表取締役・近藤大輔氏
創立=1973年
所在地=神奈川県横浜市金沢区福浦2丁目7番25号
TEL=045・783・8601
FAX=045・783・8302
URL=http://www.harz.jp
E-mail=info@harz.jp
資本金=1,000万円
従業員数=30人
事業内容=プレス金型の設計製作、試作品の設計製作、販売。
主な設備=マシニングセンタ4台(牧野フライス製作所、オークマ、三井精機など)、ジグボーラ1台(安田工業)、ワイヤ放電加工機9台(三菱電機、牧野フライス製作所)、平面研削盤6台(岡本工作機械)、トライプレス機3台(アイダ)、3次元測定機2台(ミツトヨ)、NC細穴放電加工機など自社開発設備、その他多数。
金型新聞 平成26年(2014年)8月10日号
関連記事
自分の強み生かす道を 本田技研工業 完成車新機種推進部 主任技師 田岡 秀樹氏に聞く 高級車か、低価格車か、2極化も 金型なくして新車開発ならず 自動運転、ライドシェア、電気自動車(EV)の進化―。自動車業界では急激な変…
多様な活用方法や機器の進化 金属AMによる金型づくりが徐々に広がりを見せており、活用事例が増えている。金属AMの活用は、従来の金型づくりに付加価値をつけ、他社との差別化を図るための手段として有効。今後ギガキャストで、金属…
コストダウン、納期短縮図る 自動車用アルミダイカスト部品メーカーの美濃工業(岐阜県中津川市、0573-66-1025)は2021年3月、埼玉県熊谷市に「熊谷金型センター」を設立し、金型製造を開始した。20年10月には静岡…
人材育成で競争力強化 50tから1300tまでの大小さまざまなプラスチック金型を手掛ける榛名モールド。金型の設計製作から試作、量産までを自社で行い、一貫生産体制を実現している。2023年にプラスチックトレイやケースなどを…


