金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

FEBRUARY

28

新聞購読のお申込み

自動車金型、2024年秋に需要回復か【特集:自動車金型の未来】

自動車の金型が試練の時を迎えている。半導体不足に端を発する新車開発の相次ぐ延期で受注が減少している。一方、電気自動車(EV)シフトが技術と産業構造に変革を迫る。生き残るカギは変化のうねりを見極め培ったノウハウや強みを生かすこと。挑戦心と危機感を原動力に金型メーカーは活路を開く次の一手を打ち始めている。

次世代EVに真の正念場

2023年、自動車の金型は需要が大きく減った。自動車メーカーの新車開発が大きく遅れているのが原因だ。「かねて23年は需要の谷間になると聞いていた。しかし計画していた金型の30%がさらに次年度以降になった」(プレス金型メーカー)。

引き金はコロナ禍が引き起こした半導体不足。自動車工場が操業を再開したものの半導体が足りず計画通りの台数を生産できない。現行車種の生産で精一杯のため新モデルの開発は相次いで延期。それに伴い金型の発注も先延ばしになった。

自動車の金型メーカーの殆どは23年、受注が22年を下回った。マイナーチェンジで需要がある内装部品のプラスチック金型メーカーは「10%程度の減少で済んだ」がフルモデルチェンジでしか大きく変わらない外装や骨格部品のプレス金型メーカーは「30%近く減った」。

受注はいつ好転するのか。多くの金型メーカーが予想するのは24年の10月前後だ。現行車種の生産が落ち着き、延期していた新車開発が再開する。外装や駆動系など主要部品から発注が始まり、そのほかの部品へと広がっていく。

「本来23~24年に調達するはずの金型を自動車メーカーや部品メーカー各社がおそらく一斉に発注を始める。V字回復し驚く量の需要に拡大する可能性もある」(自動車関係者)。そうなれば自動車の金型は逆風のトンネルを抜け出せる。

しかし多くの金型メーカーが真の試練であり生き残りをかけた正念場とみるのがさらに向こうの25年だ。世界の脱炭素化のうねりの中で自動車メーカーはEV開発を加速。26年以降に発売される次世代EVの金型は25年に発注されるとみる。

「24年に受注する金型はいま持つ技術の応用で対応できる。しかし25年の金型は既存の技術や設備では歯が立たない、国内で発注されない、当社が必要とされない、こともあり得る」(プラスチック金型メーカー)と危機感を抱く。

変化を見極め、次の一手

そんなかつてない未来を切り拓こうと外装や内装部品のあるプラスチック金型メーカーは自動車メーカーへの新たな生産工法の提案に取り組む。素材メーカーと連携し新たな金型や成形技術により自動車生産の工程を減らし効率化につながる工法開発に挑む。

事業の中心にあるのは金型だが提案するのは生産工法をも変える技術。「受け身にならず新技術を提案し未来のクルマ開発を後押しする。頼りにてもらえばこれからも新車開発に参画し続けられる」(経営幹部)。

EV化で需要が増えるバッテリーケースの金型に力を入れるのは、あるダイカスト金型メーカーだ。対応する設備を導入しミッションケースや骨格部品の金型で培った技術やノウハウを生かす。

今後は自動化で生産効率を高め、海外の需要も取り込めるようにする計画。「エンジン車向けのミッションケースはいずれ減っていく。それをバッテリーケースに切り替えていく」(社長)。

ただEV開発は過渡期。エンジンが減る一方で電装部品が増える。車台の一体成形が進めばケースは無くなる。海外需要が増えれば金型の世界地図も変わる。大切なのは変化を早く察知し、見極め、次の一歩を踏み出すこと。もう正念場は始まっている。

金型新聞 2024年1月10日

関連記事

【特集】新時代の金型自動化

現場の生産性向上、人手不足の解消に向けて、多くの金型企業が関心を寄せる自動化。近年の自動化技術は目覚ましい進化を遂げており、ロボットやIoT、AIなどの次世代技術によって、これまで以上に高度な自動化が可能になっている。こ…

KOEI TOOL SKD61相当材の冷却水管【特集:金型づくりで広がる金属AM活用】

ダイカスト市場に参入 「始まりはプラスチック成形向けの3D冷却水管だった」と話すのはKOEI TOOL(旧ケイプラスモールドジャパン、今年4月に社名変更)のAM課の石井陽部長。同社は日本、シンガポール、マレーシア、ベトナ…

試作回数を半分に削減 大阪銘板【特集:シミュレーションの使い方再発見!!】

自社商品の生産性アップ 大阪銘板は自動車などのプラスチック内外装製品などを中心に金型から成形、二次加工までを手掛ける。グループ全体で4つの生産拠点を持ち、型締め力100~2000tクラスのプラスチック製品を生産している。…

【特集】金属3Dプリンタ<br>金型づくりはどう変わるのか

【特集】金属3Dプリンタ
金型づくりはどう変わるのか

▶︎▶︎採用目指す動き広がる ▶︎▶︎金沢大学古本達明教授に聞く 金属3Dプリンタの未来「将来不可欠なツールに」 ▶︎▶︎事例①日産自動車 ダイカスト部品で活用探る ▶︎▶︎事例②J・3D ハイブリッド構造でコスト抑制 …

日本製鉄 江尻室長に聞く 自動車用鋼板のトレンドや加工技術【特集:プレス加工最前線】

自動車業界の脱炭素化や、安全性向上に欠かせない高強度鋼板による軽量化。近年では980Mpa超のウルトラハイテン(超高張力鋼板)や、2・0GPa級のホットスタンプ材など高強度化が加速している。こうした鋼板の進化で、金型づく…

関連サイト