金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MARCH

27

新聞購読のお申込み

がんばれ!日本の金型産業特集
クリエイティブテクノロジー 山中 厚範 社長

金型造りに魂を込めて
★DSC04463_R
5軸加工機で生産効率化に対応

バンパーやインパネ、ドアパネルなど国内自動車メーカーすべての大型プラスチック金型を製造する同社は昨年秋、東芝機械製CNC大型5軸加工機「MPH-2630B」(ATC付)を導入した。自動車向け金型が複雑形状化し、納期が短いため、自動化・無人化の対応が急務になっていた。

インパネの金型は深溝、曲線、穴などが無数にある。「穴だけでも500~600、小さい物も含めると1000穴」。ドアスピーカーやカップホルダーなど付属部品も増え、電気配線、センサーなどを考慮した金型形状と車の軽量化・強度維持に対応するリブ機構を入れるなど、多数の加工が必要だ。新たに設備した同機種は6つのヘッド交換ができ、傾斜を付けることで、刃の長さを短くし、金型の複雑形状加工からガイド穴や冷却穴まで24時間運転し、難易度が高まる金型加工に対応しつつ、工程短縮、短納期化を実現した。今年は大型放電加工機を導入予定で、さらに生産効率化を図る。

海外戦略も順調だ。今年中にインドネシアへメンテナンス工場を立ち上げる計画だ。大型金型のニーズが高く、将来は金型生産も視野に入れる。話題のメキシコ向け金型はカナダのグループ会社が請け負う。「海外の金型需要は豊富なので、海外戦略を進めつつ、グループ会社で請け負った金型を一部日本で製造する予定だ」。そのために国内向けと海外向けの金型生産を効率良く生産できる体制作りを急ぎ、海外比率を現状の1割から3割の水準まで今後高めていく。

★DSC04473_R
金型造りは日本人特有の文化

「各工程が100点満点取るようでなければならない。99点では許さない」と同社の金型作りの基本姿勢を山中社長はこう表現した。

同社は2年前より採用活動を活発化させ、浜松市にある東海職業能力開発大学校浜松校から毎年2人採用するほか、高卒者など数人採用を続けている。入社後は金型の基本から始まり、設計、機械加工、組立、成形まで1通り体験し、製造など個々の部署に配属される。人事異動は毎年行い、あらゆる工程を経験させながら、技術のレベルを図る。「ものづくりをしたい人しか採用しない。金型は1品もので、飽きが来ない。加工にしても、設計にしても毎回違い、いつまで経っても一人前になれないような感覚だ」。

山中社長は金型作りに対し人一倍情熱を傾けている。自身も数年前は現場で指揮をしており、今も毎日工場を見て回るのが日課だ。工場見学に同行しながら、ある現場社員が工場床を洗浄機で清掃するのを見て、洗浄機の使い方が違うとその場で直接指導してみせた。その表情から工場の現場、金型造りに対する思いが伝わってくる。「うちの金型は100万ショット打っても大丈夫」と顧客から言われることに胸を張り、型作りに打ち込む。「金型造りは日本人特有の文化に近い。海外製の金型と比較すると、日本の金型は細かいところまで手を抜かない。トラックに乗せ、シートをかぶせるまできっちりしている」と同社は妥協のない金型造りを続けている。


会社メモ
★DSC04450_R

代表者=山中 厚範社長
所在地=静岡県浜松市浜北区中瀬5300-1
電話=053・588・3321
ホームページ=http://www.cretech.co.jp
創立=1977年
従業員数=107人
事業内容=量産用成形金型の設計・製作・保守
グループ=カナダ(CMT)、タイ(AMT)、韓国
(ASIS)、インド(ASISインド)、中国(CEC)、インドネシア(IMT)、広島(ギケン)、浜松(カイロス)
主な設備=高速門型5軸MC(東芝機械)、高速門型MC6台(東芝機械)、精密立中ぐりフライス盤など(新日本工機)、5軸中型MCなど(大阪機工)、小型MC(牧野フライス製作所、大阪機工)、放電加工機(ソディック、牧野フライス製作所)、ワイヤ放電加工機(ソディック)、グラファイト加工機(牧野フライス製作所、大阪機工)、横形射出成形機(東芝機械3000t・2500t、宇部興産900t、三菱重工業650t)、3次元CAD/CAM(セイロジャパン、ダッソー・システムズ、日本ユニシス、デルキャムなど)。


金型新聞 平成27年(2015年)9月10日号

関連記事

三豊機工 分割式ダイスケースで特許取得

長尺に対応+コスト低減 冷間圧造工具メーカーの三豊機工(愛知県春日井市、0568-81-4111)は、分割式ダイスケースで特許を取得した。登録日は3月4日で、特許番号は、特許第7034506号。 一昨年9月に実用新案登録…

【鍛造金型特集】鍛造型、好調を持続<br>その背景や今後は

【鍛造金型特集】鍛造型、好調を持続
その背景や今後は

自動車生産台数の増加 EV化への対応も必要  鍛造金型が好調を持続している。経済産業省の機械統計によると、2016年の鍛造金型の生産金額は307億円とリーマンショック前の200億円を大幅に上回る。数量では減少傾向にあるこ…

【この人に聞く】三菱電機産業メカトロニクス事業部事業部長・清水則之氏「生産性高めるサービスを提供する」

 高精度、高性能な放電加工機で金型産業に貢献してきた三菱電機(東京都千代田区、03-3218-2111)。近年は、機械だけでなく、遠隔地からのメンテナンスサービスやAI技術の活用など金型づくりの高度化に対応するサービスや…

がんばれ!日本の金型産業特集 <br>キャステム 石井 裕二 係長

がんばれ!日本の金型産業特集
キャステム 石井 裕二 係長

高度な金型技術で鋳造自在 過去の豊富なデータ、金型づくりに生かす 同社の製造方法であるロストワックス精密鋳造とメタルインジェクション(金属粉末射出成形)は一般産業機械部品から医療機器に至る高精度で複雑形状(薄肉3次元形状…

日立金属 プロテリアルに商号を変更 2023年1月から

日立金属(東京都江東区、0120・603・303)はこのほど、商号を「プロテリアル」に変更すると発表した。BCJ‐52(東京都千代田区)による公開買付けが成立した後、2023年1月4日に変更する予定。 新商号は「PRO(…

関連サイト