金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

26

新聞購読のお申込み

がんばれ!日本の金型産業特集
ベントム工業 本田 大介 社長

製造業はサービス業

設計の提案力に強み

技術_R

ベントム工業が手掛けるのは、ガソリンやディーゼルエンジンなどに使われるピストンの鋳造用金型だ。本田大介社長が「細かくてややこしい」と表現するピストン用の金型は、部品点数が多くて複雑。普段から型設計に携わっている技術者でも、図面を一見しただけでは理解できないほどだという。微妙な調整やすり合わせが難しいことに加え、ひとつひとつの部品が特殊なため加工するのに専用治具が必要になるなど、「国内でも製造できる金型メーカーは少ない」という。加えて、2000年からは、ダイカスト金型にも取り組み始め、エンジンだけでなくバルブボディや足回り部品へと製造分野を広げている。

こうした他社にはない独自の技術のほか、「設計の提案力」も強みのひとつだ。早くから「CATIA」での型設計に対応し、半自動設計システムを取り入れるなどユーザーとスムーズなやり取りができる体制を整えている。また、独自の生産管理システムも導入し、「工程の見える化」を実現。工程のスケジューリングが簡単になったほか、過去の実績が残せるため、似たような受注などの見積り精度が向上し、営業ツールとしても活用している。以前は、売上の90%を2社で占めていたが、現在では30社にまで取引社数を増加させた。

本田社長は、「製造技術を追求するだけではなく、ユーザーが何を求めているのかをくみ取る力も重要だ」と話す。「製造業=サービス業」と顧客満足を第一に考えて、付加価値の高い金型づくりを目指していく。

自ら課題解決する「職人集団」

★人_R

「誰もが自ら進んで考え課題解決できる会社にしたい」と話す本田社長。その理想を実現するために、人材育成では「多能工化」と「アナログ技術の強化」の2つに力を入れる。

「多能工化」では、ジョブ・ローテーションを行い、社員に様々な機械や工程を経験させている。これは「生産効率を落としてでも必ずやる」としており、若手社員に限らずベテラン社員も対象だ。そこまで徹底するのは、自分の担当以外の工程も考え、全体を把握する力を身に付けさせるためだ。「他の工程を知っているか知らないかでは、生産性や品質に大きな差が生まれる」と各従業員が最終的な生産時間やコスト、品質を意識して作業を進め、付加価値の高い金型加工を実現する。

また、「アナログ技術が差別化に繋がる」と汎用機加工や製図など基礎技術を重視し、一昨年からは従業員に技能検定を受けさせている。普段見落としがちな基礎技術を体系的に学び、しっかりと定着させるのが狙いだ。CAD/CAMやNCなどデジタル技術が進歩し、誰でも簡単に高精度な加工ができるようになった一方で、「ひとつひとつの工程がオペレーター化し、作業者が考えなくなっている」という危機感がこうした取り組みに繋がっている。

本田社長は、「自分でトライ&エラーを繰り返し、解決策や効率の良い方法などを考えることで、技術力は身に付けられる」と話す。優れた技術者を揃えた「職人集団」として高度な金型加工に対応する。


会社メモ
★本田大介社長_R

代表者=代表取締役 本田 大介氏
創業=1983年
所在地=静岡県浜松市中区高丘西1-8-15
資本金=40,950万円
TEL=053・437・5691、FAX=053・437・7085
URL=http://www.bentom.co.jp
従業員数=15人
事業内容=鋳造・ダイカスト金型設計製造、金型部品製作、電極製作、試作加工などを手掛ける。
主な設備=立型MC(牧野フライス製作所、OKK)など6台、横型MC(牧野フライス製作所)1台、複合加工機(オークマ)2台、三次元測定機(ミツトヨ)1台、平面研削盤(黒田精工)1台、CAD(CATIA-V5)2台、CAM(CAM-Tool、Mastercam)など4台、CAE(VERICUT)1台ほか。
企業理念=①金型製作を通じて良質な製品を社会に提供し、お客様に必要とされる会社を目指す②常に新しい金型関連技術を学び、技術レベルの高い会社を目指す③お客様の満足を通じて仕事に誇りを持ち、 より良い生活実現と働きがいのある会社づくりに努力する


金型新聞 平成28年(2016年)2月10日号

関連記事

三菱重工工作機械 群馬・太田市で見学会<br>門型高精度加工機を披露

三菱重工工作機械 群馬・太田市で見学会
門型高精度加工機を披露

 三菱重工工作機械(滋賀県栗東市、077・501・3822)は、12月7日、金型メーカー・ファベスト(群馬県太田市脇屋町997‐7)の新工場で、大形高精度加工機「MVR・Fx」の見学会を開く。  自動車部品用プレス金型の…

成形不良を出さない生産システムの確立
岐阜大学 王志剛副学長に聞く、スマート金型開発の行方

 岐阜大学が2018年に3カ年の研究開発である「スマート金型開発拠点事業」を始めた。労働人口減少時代を想定し、従来にはない高効率な生産システムの確立を目指し、金型を使った量産システムの不良率ゼロを目標に掲げる。同事業は文…

特集〜世界の需要どう取り込む〜
金型のサムライ世界で挑む –中国–

 新天地を求めて、世界に進出していった日本の金型メーカーは、何を考え、どんな苦労や課題を乗り越えて、取り組みを進めてきたのか。また、さらなる成長に向け、どんな青写真を描いているのか。中国、タイ、メキシコ、アメリカ、欧州そ…

【新春特別インタビュー①】日本金型工業会会長・小出 悟氏(小出製作所社長)「旧態依然の手法通用せず、今こそ変わるべき時」

旧態依然の手法通用せず 今こそ変わるべき時 〜金型産業ビジョン〜  1955年静岡県生まれ。78年に工学院大学機械工学科を卒業後、名古屋の金型メーカー高橋精機工業所に入社し、金型づくりを学ぶ。81年にアルミダイカスト金型…

高精度、省人化ニーズが高まる国内市場で注力すること 田代勝氏(三菱電機 産業メカトロニクス事業部長)【この人に聞く】

三菱電機は50年以上に渡って、高精度、高性能な放電加工機を開発し、付加価値の高い金型づくりに貢献してきた。近年では省人化ニーズへの対応に注力する他、金属3Dプリンタを開発するなど技術領域を広げている。同社は今後、金型業界…

トピックス

関連サイト