デジタルマーケティングで見込客を獲得 近年は国内の金型市場が縮小しており、いかに新規開拓を行うかが大きな課題となっており、効率良く営業活動を展開するための仕組みやシステムの構築も求められる。年間の新規引き合い件数500件…
金型メーカー座談会
経営者5人が語る、どうなる2015年 第二部
出席者

エムエス製作所
社長 迫田 幸博氏

小出製作所
社長 小出 悟氏

長津製作所
会長 牧野 俊清氏

日進精機
相談役 加藤 忠郎氏

野田金型
社長 堀口 展男氏
1月号では各社の取り組みや現状などを報告してもらった。本号では、ユーザー業界の変化、海外展開のやり方のほか、それらを支援する金型工業会の取り組みなどについて議論が深まった。
―海外に複数拠点を持たれているのも、需要があるからですね。ただ、各国への進出の仕方が異なります。
迫田 中国とインドネシアは単独で進出しましたが、タイは金型工業会の方と、メキシコも金型工業会員の池上金型工業さんと組んで進出しています。中国とインドネシアは金型製作、タイとメキシコはメンテナンスを手掛けています。
―タイとメキシコはメンテナンスだけですか。
迫田 両国とも人口が少なく、金型のインフラが整っておらず、金型を生産するより、メンテナンスをしてお客さんをサポートするという戦い方にしていこうと考えました。人が多ければ将来的に車を買う人も多いですから、市場として拡大が期待できるので、中国とインドネシアは自前で工場を持ちました。また、金型専業だと、海外で仕事をキープするのは難しいですから、2社3社と集まって協力関係を結んで受注の安定化につなげています。
―ほかに海外に出る目的はありますか。
迫田 今の自動車業界は世界同時立ち上げというのが主流です。国内は国内、海外は海外という話ではなく、同じ型を複数拠点分全て一括での受注になります。仕事が取れればいいですけど、取れなければゼロという戦いになっていますので、海外に拠点を持っていなければその土俵にすら立てない。まずは土俵に立つために、海外に拠点を持っています。
―一括受注とは。
迫田 ある部品に関しては全ての生産拠点分ということです。安価に作れ、品質の均等化を図るには一つの会社に任せるのが一番良いとユーザーも判断したようです。一社に渡して展開した方がユーザーも楽ですよね。ユーザーの拠点の近くに我々の拠点がないと仕事がもらえなくなりますので、そういう意味でも海外に拠点を持つことは重要です。部品メーカーもそういう流れになっていると思います。品質の安定があれば、量を増やしてコストを下げるという基本的な考えは変わらないので、拠点を増やして仕事を追いかけているというのが現状です。
―課題はありますか。
迫田 生産能力です。いかに効率良く生産するか、いかに金型を短期間で作るかという戦い方がこれからの課題です。
―取り組んでいることは。
迫田 生産方式、設計、機械も全て日本と同じやり方、仕組みで海外も展開することです。海外の従業員も日本で研修しているので、思想も共通にしています。そうすると意思の疎通が図れ、よりスムーズに生産できます。
―生産方法について具体的に教えて下さい。
迫田 簡単に言うと、生産工程の見える化です。さすがに一個流しは難しいですが、3品流しという方式を取っています。どこの工程が遅れているのか、どこに人が足りないかなどが見えるようになり、生産状況がよく分かります。従来のように、従業員が各々で作業をしていると、売上が伸びていなくても忙しいから良いと勘違いしていまいます。見える化をすることによって、経営者だけでなく作業者も全体の状況を把握できるようになり、生産性が向上しました。さらに進めて、海外にも展開しようとしています。
―部品の共通化というと、エアバック問題がありましたが影響はありますか。
迫田 ありますね。今まで以上に安心できる金型が求められるようになると思います。とくに保安部品や機能部品というのは、日本の自動車メーカーはシビアになっていくと思います。そうした時にきちんとした金型ができるというのはやはり必要です。金型は安ければ良いみたいな安易な考え方はなくなると思います。メキシコに行った時に、車体メーカーのトップの方も海外の金型のレベルを熟知していて、やっぱり日本の金型は良い技術を持っているというのは認識されています。ただ、コストメリットを考えると、部品共通化の流れは変わらないと思いますね。いかに品質を安定させて供給していくかが課題で、それを解決した会社がより大きくなり、出来ない会社は生産量が減り、儲からなくなって淘汰されていくと思います。
金型新聞 平成27年(2015年)2月10日号
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