自動車のプレス金型を手掛ける明星金属工業は、工場のエア効率化や照明のLED化などにより16年間でCO2排出量を18・5%削減した。カーボンニュートラルへの取り組みを推進する上田幸司社長は「CO2削減に取り組むことで無駄な…
金型に押し寄せるCASE
100年に一度の変革期と言われる自動車業界。それを語るときに欠かせないキーワードが「CASE」だ。「C=コネクテッド(つながる)」、「A=オートノマス(自動運転)」、「S=シェア(共有)」、「E=エレクトリック(電動化)」の頭文字をとったもので、自動車メーカーもCASEに対応するための開発投資を積み増している。もちろん、金型需要の8割を占めると言われる自動車業界だからこそ、CASEは金型にも変化を迫る。その影響が最も大きそうな一つが電子部品だ。CASEによって、「どんな電子機器が増えるのか」、「市場規模はどうなるのか」—。電子情報技術産業協会(JEITA)がまとめた2030年までの電装機器の見通しから、その動向をまとめた。
ECU生産額30年に1・9倍
金型需要も増えるか
「自動車向けの金型を手掛ける企業はバッテリー、モータ、電子部品の3部品に携わっていないと生き残れない時代になる」—。自動車メーカーと共同で燃料電池用のセパレータなどを手掛ける精密プレス金型メーカーのニシムラの木下学社長はそう指摘する。
モータやバッテリーは、モータコアや電池向けの金型など比較的想像しやすい。一方、CASEによって広範な影響を受けそうなのが電子部品だが、多岐に亘るため、その中身は見えづらい。
では、電子部品がどの程度で成長していくのか。JEITAが注目したのが、車の電装化で増大しているエレクトリックコントロールユニット(ECU、電子制御装置)の動向だ。ECU全体の2017年の世界生産額は9・5兆円。これが30年には約1・9倍の17・8兆円まで成長すると見通した。年率では約4・9%成長する見込みだ。
さらに系統別に、情報系、環境対応系、ボディ系、安全系、センシング系、パワートレイン系の6つに分類(図)。なかでも、最も成長率が大きいのが、DC/DCコンバータや電力制御装置などの環境対応系のECU。17年には3000億円程度だった市場が30年には1・7兆円まで6倍近くの成長を見込む。
次いで拡大が期待されるのはディスプレイ制御装置(HUD)などの情報系だ。1・9兆円から4兆円まで大きく成長するとみている。自動運転に不可欠な安全系やカメラやレーダなどセンシング系のECUもそれぞれ4兆円、1・7兆円と拡大すると見通している。
金型しんぶん 2019年12月10日
関連記事
ギアやシャフトなど自動車部品の冷間鍛造金型や精密プレス金型を手掛けるナゴヤダイス(名古屋市緑区)は金型製作における技術やノウハウのマニュアル化(言語化・数値化)を図り、若手の技能伝承や人材育成に活用している。20~30代…
前年同月比5.7%増の266億1、000万円 プレス型は9・7%増、プラ型は3・8%増 日本金型工業会(会長牧野俊清氏)は、経済産業省機械統計(従業員20人以上)による平成26年5月の金型生産実績をまとめた。それによると…
自社商品の生産性アップ 大阪銘板は自動車などのプラスチック内外装製品などを中心に金型から成形、二次加工までを手掛ける。グループ全体で4つの生産拠点を持ち、型締め力100~2000tクラスのプラスチック製品を生産している。…
自動車の構造部品を大型のダイカストマシンで一体鋳造する「ギガキャスト」。部品点数の減少など、金型づくりに大きく影響する可能性があることから注目を集めている。すでにトヨタ自動車を始め、複数の自動車や部品メーカーらが参入を表…