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がんばれ!日本の金型産業特集
近畿精工 畑澤 康弘 社長

金属に浮き彫りされた不思議な模様。一本のレールが弧を描き、枝分かれし、蛇行する。古代の紋章のようにもナスカの地上絵のようにも見える。これは血液の状態を診断する検査チップの金型。成形すると模様を凹状に転写したプラスチックの板ができる。溝は血液が流れる道だ。
流路は最も狭いところで幅40μm。反転した形を微細加工機とR0・1㎜の小径エンドミルで加工した。寸法や形状の精度は±1・5μm。プラスチック金型メーカー、近畿精工がいま最も得意とするのは、こうした微細で高精度な金型づくりだ。
もともと(創業1951年)は繊維機械の部品加工会社。仕事の付加価値を高めるため金型に転身し、2000年頃は携帯電話で事業を伸ばした。しかし海外流出で携帯の仕事はみるみる減った。そんな時、ある成形メーカーからの検査チップの金型の依頼をきっかけに微細・高精度への道が拓いた。
加工技術は成形メーカー、滋賀県東北部工業技術センター、滋賀県立大学と産官学で研究に挑んだ。07年には戦略的基盤技術高度化支援事業にも選ばれ、協同で超微細工具や機上測定機も開発。試行錯誤の末、その3年後、独自のノウハウを構築した。
微細・高精度の金型は、今では医療機器に加え、レンズやセラミック部品にも広がり事業の30%を占める。技術の高さが認められ自動車部品の金型も手掛けるようになった。畑澤康弘社長は「これからも常に挑戦し未来を拓いていきたい」。

デジタル時代の金型職人―。畑澤社長は、社員に望む金型技術者としての理想像をこう言い表す。最新の機械やソフトを使いこなし、高度な知識やノウハウも併せ持つ。ハイテクと職人技を兼ね備える技術者になって欲しいという。
それは、「卓越した技術こそが最大の競争力」という考えに基づく。たとえ他の金型企業が力をつけようと、微細・高精度の金型など一歩先ゆく技術があればリードできる。ただ、実現するには「抜きん出た加工や設計の技術、金型づくりの独自の工夫がなくてはならない」。
そんな考えから各セクションではハイエンドの技術に挑戦する。例えば、加工では微細・高精度の極みを目指し、設計は耐久性や成形の品質向上の新たな方法を探す。「日々の挑戦が『尖った技術』につながる。金型づくりの新たな工夫も生まれる。難しい仕事をひき受けるから課題は沢山ある」。
今年4月に出展したインターモールドには技術者全員が会場を訪れた。新たな顧客との出会いが最たる目的だが「来場者の声や出展他者の技術に触れ、自らの技術力を再認識し、挑戦への原動力にして欲しかった」。
同社では毎朝、礼節や心の持ち方を一話ごとにまとめた「職場の教養」を読む。苦境にあった07年に始めた。「企業力の源は人。新技術も人の頑張りなくしてあり得ない。助け合い、切磋琢磨する心を持って欲しいと願い、今も続けている」。

代表者=代表取締役・畑澤康弘氏
資本金=2900万円
創業=1951年
従業員数=27人
本社=滋賀県長浜市西上坂町275
電話=0749・63・5301
FAX=0749・62・2641
HP=http://www.kinki-seiko.net
事業内容=プラスチック精密金型の設計・製造、微細切削加工
主な設備=マシニングセンタ 10台(ソディック、牧野フライス製作所、三井精機工業など)、形彫放電加工機 4台(三菱電機、アジエシャルミー)、ワイヤ放電加工機 4台(アジエシャルミー)、平面研削盤 4台(長島精工、ナガセインテグレックスなど)、CAD/CAM 14台(ユニグラフィックス、ヴェロなど)、3次元測定機・検査機器 3台(ミツトヨ、ハイロックス)、射出成形機 1台(ソディック)
金型新聞 平成27年(2015年)8月10日号
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