「製造業の世界で有名なのがドイツ。だから、ドイツ企業と取引できる企業を目指そうと考えた」と語るのは西部正記社長。Westen(ヴェステン)はドイツ語で『西』を意味し、2022年の新工場立ち上げと同時に社名を変更。水栓関連…
センシング機能のダイセットで不良品発生を防ぐ ニチダイ【特集:利益を生むDX】
DXの本質は利益を生み出すことにある。以降では、DXによって「売上げを上げて利益を生み出す」方法と「コストを下げて利益を生み出す」企業のそれぞれの取り組みを取材した。
金型の長寿命化、自動化へ

冷間鍛造金型を手掛けるニチダイは荷重や変位など各種センサを組み込み、金型の状態を可視化するセンシング機能を持った『インテリジェントダイセット』の開発を進めており、金型の破損や製品不良を事前に予測することで、不良品を生み出さないという新たな付加価値の創造を目指す。
「DXの本質はデジタル技術を活用して、新たな価値を生み出すこと」と語るのは新事業開発部の森満帆主任。2018年に新規開発プロジェクトを立ち上げ、デジタル化による新しい金型の価値作りを始めた。従来、冷間鍛造は型寿命のバラツキや不良発見に作業者の目視確認が必要など課題も多く、金型の状態の可視化が求められていたが、過酷な環境に対応するセンサがなく、デジタル化が難しかった。

同社は独自にセンサやシステム開発など行い、試行錯誤の末、ダイセットに変位センサ(ストローク全体を10μm、上下金型間を1μm単位で計測)、荷重センサ(ロードセル)、温度センサ、AEセンサ(振動)、ネットワークカメラを搭載し、各種データを可視化する「ものづくりマネジメントシステム」を構築した。「既存のロガー装置では種類の異なるセンサから同期データを抽出するのは困難。連続で生産される現場に即した装置を開発する必要があった」と森主任。これにより、ショットごとのデータから過去の実績も遡って、比較・分析が可能になった。
同社は数年内のインテリジェントダイセットの実用化を目指しており、森主任は完成までの3段階を示した。「1つは可視化、2つ目はデータ処理、3つ目はフィードバック制御。現在は可視化とデータ処理を並行で進め、量産時の大量のデータをAIに頼らず、人が理解しやすい表現を模索している」と話す。また、過去情報などから未来を予測することで最適なメンテナンス時期やスケジュール管理に結び付ける。将来は計測データを元に、成形時の加工条件をコントロールし、金型の長寿命化や生産現場の自動化に貢献することが目標。すでに社内及び一部ユーザーで実証実験も始まった。「まだ予測精度やAI活用など道半ば。今後はこれらの要素技術を開発する」と森主任は語った。
会社概要
- 本社:京都府京田辺市薪北町田13
- 代表者: 伊藤直紀社長
- 設立: 1959年
- 従業員: 660人(連結)
- 事業内容:精密鍛造金型の開発・製造・販売、精密鍛造品及びその関連する成形品の開発・製造・販売など。
金型新聞2023年2月10日
関連記事
コロナ影響下、減収増益 ハイテン加工技術などに注力 丸順(岐阜県大垣市、0584-46-3191)の2021年3月期連結売上高は、前年同期比7.7%減の448億2100万円となった。営業利益は同2.8%増の44億6400…
組織変更 グループ全体の事業戦略、技術開発及び海外事業を統括する企画・開発本部を設置し、経営企画部及び事業開発部を位置付ける。 海外事業を事業戦略及び技術開発の観点から強化、管理するため海外事業本部を廃止し、その機能 を…
厚地鉄工はゴムやプラスチック金型、射出成型機用スクリューのクリーニングに特化したブラスト装置「バスロ」を2019年から販売している。基材に付着した樹脂汚れをスピーディーにムレなく除去でき金型メンテナンスの効率化を提案する…
稼働状況をモニタリング 順送り金型やプレス加工を手掛ける伊藤製作所(三重県四日市市、059-364-7111)は本社近くにテクニカルセンタを設立し、金型部門を集約。IoTを用いて稼働状況の可視化を図るほか、センシング技術…


