CAEを活用しているのは企業だけではない。岩手大学では、樹脂流動解析ソフト「3DTimon」(東レエンジニアリングDソリューションズ)を学生の教育で利用している。樹脂を流す際、最適なゲート位置などを自らの勘や経験から教え…
かいわ 自社で商品生み出す道に
培った技術活かす
自動車の電動化、医療関連や半導体関連需要の拡大などで、国内のものづくり産業に求められるものも大きく変化している。自動車の電動化ではモータやバッテリーなどの電動化部品や材料置換による軽量化部品などが増えており、医療関連や半導体関連ではこれまで以上に部品の複雑化や微細化が進んでいる。多くの金型メーカーが、こうした変化をチャンスと捉え、自社の高い金型技術や加工技術などを生かし、新しい需要を上手く取り込もうと動き始めている。新規設備に投資したり、独自の商品や技術を開発したり、その取り組みは様々だ。政府も補助金などの支援制度を設け、金型メーカーの新分野の開拓を後押ししている。金型メーカーの新分野はどこにあるのか。“ニューフロンティア”を目指す各社の挑戦に迫る。
かいわ 自社製品

発想力で新分野開拓

「金型で培ってきた技術を生かし、自分たちで商品を生み出していく方向に舵を切った」。そう話すのは、超微細精密プラスチック部品の金型製作から量産までを手掛けるかいわの山添重幸社長。
同社はこれまでにピッチ0.1の極小マイクロコネクタや、携帯電話向け振動モータ部品などの高難度、高精度な製品づくりに貢献してきた。その技術は世界でも類をみないほど高度で、しかも独自性が高い。
中でも強みは不可能を可能にする技術者の発想力。PCD工具が発売される前に当時誰もできなかったマシニングセンタ(MC)によるナノ鏡面加工(面粗度4.7nm)を実現したり、バリの出やすいスーパーエンプラでバリレス成形を可能にしたり、他社には真似できないようなアイデアで世の中にはないものを生み出している。
その一方で、山添社長は現状に危機感を抱く。「現在当社に来る仕事は難しいものばかりで、若い技術者に任せられるような簡単な仕事が無い。このままでは人が育たなくなってしまう」。そこで同社が歩み始めたのが、自社で商品を開発し、販売していく“メーカー”としての道だ。
同社の商品は前例のないものばかりで、技術者が何度も試行錯誤を重ねて作り上げられる。「この自らで考え、改善するというプロセスこそが人の育成や技術力の向上につながる」(山添社長)。
これまでにも様々な独自商品を開発。その一つが超精密な保持を実現する「木組みバイス」だ。法隆寺回廊の木組み構造から着想を得たバイスで、ワークの浮き上がりを抑え、ワークにもよるが、保持精度は1μm以下を実現している。すでに様々な加工機メーカーで採用されているという。
その他にも、世界初というX・Y・Z軸計8方向で締め込む方式の5軸MC用「八方締めバイス」やウルトラ/マイクロファインバブル発生装置など様々な商品を手掛けている。
今後は医療分野への参入を目指す。開発実績のあるマイクロニードルを始め、様々な医療機器や部品の開発に挑む。将来的には医療関連に特化したベンチャー会社の設立も検討する。「技術者の発想力があるからこそ、新しい分野でも開発できる。強みを生かし、新分野を開拓したい」(山添社長)。
会社概要
- 本社:山梨県上野原市上野原3796
- 電話:0554-63-5551
- 代表者:山添重幸社長
- 創業:1966年
- 従業員:10人
- 事業内容:超精密微細プラスチック金型製作、超精密微細成形加工。
金型新聞 2022年3月10日
関連記事
型技術者会議2025特別セッション1 で講演 金型のサプライチェーンには3次元や2次元、紙など様々な形式の図面が行き交っている。それが金型設計の時間、コスト、人材育成の手間がかかる原因になっている。サプライチェーン全体で…
熱間材の新技術 熱間材に関連する新たな技術開発が進んでいる。ホットスタンプやダイカストのように、過酷な条件での成形が増えているためだ。材料では、高温な金型を効率よく冷やすために、高い熱伝導性や靭性を持った新素材が登場。ま…
既設機よりも大型の設備を導入する金型メーカーが増えている。成形品の一体化や成形工数の増加、多数個取りなどによって、金型が大型化し、既設機だけでは対応が難しくなっていることなどが背景にはあるようだ。各社、大型の加工機やプレ…
激化する競争に勝ち残る 2017年がスタートして早や3カ月が過ぎたが、不安定な世界情勢の中で日本の金型メーカーは各社各様の課題に取り組んでいる。インターモールド・金型展の開幕を前に関西の金型メーカー様にお集まり頂き、現…
