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フロンティア・マネジメントの村田氏が
高収益企業の共通点を語る
日本金型工業会西部支部 講演会

▲フロンティア・マネジメント
マネージング・ディレクター 村田 朋博 氏
日本の金型業界は厳しい状態が続いている。取引先企業の海外展開、個人消費の落ち込みなどで型数・型単価ともに減少している。製造業という大きな枠で捉えても、日本の強みだった家電製品、半導体などは海外企業の優位性が目立つ。その中で高い利益率を誇る企業が存在する。これらの企業は他社とどう違うのか、金型業界と同じ状況ながら高利益を出す企業の秘密を、村田氏が分かりやすく例を交えて講演した。
資料には高収益企業を表しています。売上高2600億円で営業利益が1300億円のキーエンス、村田製作所は2013年で1250億円の営業利益で、今年は1500億円と言われています。ヒロセ電機は1250億円の売上高で、営業利益率330億円。コネクターという電子部品なのになぜこれほど強いのか、あと未来工業は住宅設備のコンセントなどが主力ですが、差別化が難しい分野で売上高352億円、営業利益が51億円も出せるのはなぜなのか、話をしていこうと思います。
左巻きは食べられない
本日議題の話を一言でまとめますと、カタツムリ。カタツムリは2種類あり、右巻きのカタツムリが全体の90%、左巻きが10%しかいない。生物学上なぞだったのは、右巻きと左巻きは交尾できないので、左巻きは相手を見つけにくい状況にあり、数が減っていくと思われるのですが、過去を振り返っても、このパーセントは変わっていないそうです。その理由に左巻きは蛇に食べられない。ですから、子孫を残すという意味では不利ですが、右巻きになりたいから右巻きになると蛇に食べられてしまう。これを企業経営に置き換えると、液晶が伸びているからとか、太陽光が来たとかで、やってしまうと、必ずしも自社にあっているかどうかを考えずに模倣してしまい、苦しむケースもあるのではないかと思います。人と違うことをするというのが、企業経営の根幹ではないかと思います。
例えば、工場の立地で普通の経営ならば工場団地に工場を建てようと思いますね。なぜなら、20社集まってコストを下げようとします。さきほど紹介したヒロセ電機の主力工場は岩手県宮古市にあり、東京から一番遠い場所にあります。電車でも、飛行機でも5時間以上かかる町です。この会社も50年前は30人ほどの小さな工場でしたが、酒井さんが入社されて、1300億円に育てられたのですが、「なぜ宮古市にあるのか」と聞いたら、「うちみたいな小さな会社は工業団地を出て差別化しなければならない。宮古市は誰もいない。優秀な人を採用できる。それっだったら差別化できるでしょう」。
1.力関係の改善 2.場所をずらす
3.戦法をずらす 4.外部を使う
他社との違い考える
岐阜県にある未来工業はコンセントや住宅向けの電動工具を作っており、差別化が難しいように思われます。競合メーカーはパナソニック電工ですが、パナさんよりすごい利益を出しています。創業者の山田さんの口癖は絶対同じものだけは作るなと言っています。考える、なぜ、なぜと考える。現場の人間から聞かれても、お前の方が良く知っているだろう、頭を使えと言います。同社の考える仕組みは、何か1つ提案すると500円もらえることです。年間で1万件以上の提案があり、年間300~500の新製品が生まれています。私が考える最も重要なことは、常に自社が他社と違っているのか何かと自問することです。
成熟産業の生き方は4つあると思います。1力関係の改善、2場所をずらす、3戦法をずらす、4外部を使う、です。そうすると5000億円あった生産能力が2500億円に変わった場合にどうやって利益を出していくのかの対策になると思います。単純なことは力関係の改善で、商売の一番の基本は力関係で1社しかつくれなければ、そこから買うしかない。そこで金型業界の状況に近い業界でプリント配線板産業を紹介します。市場は2~3兆円で大きく伸びない業界です。特長は大きい企業がなく、最大企業でシェア5%ほど。また、アジア企業の台頭が見られ、少しずつシェアを侵食されています。日本のプリント配線板企業の利益率はほとんどありません。さらに2008年で国内生産が4500億円だったのが、2013年で2200億円と約半減しました。しかもその市場に400社います。そうすると単価も下落、業界再編が起き、日本の産業の象徴かもしれません。
競合しないように戦う
その中で京写は利益率8%ほど。何をしたかというと、片面プリント配線板にあえて特化しました。他の企業は安価な分野で、他の企業はアジア企業と差別化するために難しい技術革新を進めたので競合がいなくなりました。場所をずらす成功例ではアイカ工業。プリント配線板の売上高は40億円しかないが、利益率10%。何をしたかというと、大企業と正面衝突したら勝てないので、多品種少量に特化し、自社生産は半分にして、需要の変動分を海外からOEMで対応する。いかに競合しないように戦うかを考えた企業です。
総括すると、現代はモノ余りの時代、50年前と違って物が余っている。次に異質企業の世界競争。以前は欧米など日本と同じ状況の先進国が競争相手から中国など考え方の違う新興国が競争相手に変わった。次にフラットな世界。世界の垣根が崩れて、世界の優秀な企業、人材が使えるようになった。商売の鉄則、力関係を考え直す、このようなことが必要だと思います。
金型新聞 平成27年(2015年)1月10日号
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