金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JULY

27

新聞購読のお申込み

冨士ダイス 西嶋守男社長に聞く
世界で認知されるブランドに

生産効率向上し、需要増に対応

 西嶋守男(にしじま・もりお)社長 山口県出身。1975年慶応大学工学部卒業後、造船会社入社。78年冨士ダイス入社、2006年フジロイ(タイランド)社長、09年冨士ダイス取締役、15年社長に就任

 耐摩耗工具メーカーとして国内トップシェアを誇る冨士ダイス。超硬合金製のダイスやロール、製缶用金型、ガラスレンズ成形用金型など耐摩耗工具に特化した事業を展開し、来年には創業70年を迎える。「世界で認知されるブランドを目指したい」と話す西嶋守男社長に現在注力している取り組みや今後の成長戦略などを聞いた。

 ー来年で創業70年を迎えます。
 当社はダイス・プラグの製造から始まり、自動車部品や製缶、ガラスレンズ向け金型などに製品を広げ、超硬素材から加工までを一貫した受注生産体制で事業を展開してきた。その結果、現在では耐摩耗工具の市場シェアの約3割を獲得するまでに成長できた。

 ー今後の成長戦略を教えてください。
 今年策定した中期経営計画では「受注増への対応と将来の社会変化への準備」を基本コンセプトに掲げた。その中でも特に注力している一つが、生産効率の向上だ。2018年3月期の売上は179億円(前期比8%増)で過去最高となり、今後も超硬製品の需要は増加するとみている。こうした需要増に対応するためには、供給能力の強化が欠かせない。

 ー具体的に取り組んでいることは。
 まずは生産拠点の再編だ。昨年には門司工場を熊本製造所に集約し、生産効率を高めた。また、自動化にも取り組んでいる。郡山製造所ではロボットを導入し、測定の自動化を図っている。熊本製造所では加工機とロボットを組み合わせた加工工程の自動化に取り組んでおり、年内には本格稼働を予定している。

  ー将来の社会変化への準備とは。
 次世代自動車の拡大による自動車産業の変革など今後あらゆる産業でニーズの変化が予測される。当社は、全国をカバーする「営業力」と高度な冶金技術を基にした「素材開発力」、そして0・1μmオーダーといった高い加工精度が要求される金型加工で培った「加工技術力」を持つ。これらの強みを活かし、変化するニーズに柔軟に対応するとともに、新技術の開発と新分野の開拓を目指す。

 ーどんな新技術、新分野に取り組みますか。
 現在は医療・化粧品向け金型や次世代自動車部品向けの金型、赤外線レンズ金型の開発に着手している。また、超硬合金は耐摩耗性が高く、長寿命化や精度の安定化が図れる。ユーザーの課題
を解決するために、既存分野でも超硬合金への切り替えを提案していく。

  ー長期的なビジョンは。
 当社のブランドである「フジロイ」を海外でも認知されるようになってほしい。競争力を高める取り組みを進める一方で、アジア、北米を中心に海外展開も加速させ、少しずつブランドを根付かせていきたい。

金型新聞 平成30年(2018年)10月10日号

関連記事

静岡理工科大学 理工学部機械工学科 教授
後藤 昭弘氏 〜鳥瞰蟻瞰〜

大学を上手く活用し、技術開発につなげる場に 強み見つけ、競争力を強化  金型は集積技術です。機械加工や表面処理、材料、最近ではITなど、色々な技術が上手く組み合わさることによって、はじめて良い金型が出来上がる。大学では、…

この人に聞く 2014 CAPABLE 河原 洋逸社長

この人に聞く 2014 CAPABLE 河原 洋逸社長

海外の金型市場に活路 半導体金型でファブレス、設計・営業に特化  海外に金型市場があるならそれを取って日本で作ればいい―。それを実践しているのが、半導体封止装置金型に特化したファブレス企業のCAPABLE(京都市南区、河…

この人に聞く2015 <br>アカマツフォーシス 赤松 隆司社長

この人に聞く2015
アカマツフォーシス 赤松 隆司社長

生産性高める技術提案 シナジー生むプロ集団に  昨年10月、兄の憲一会長から経営のバトンを受け継いだ。歯車などの精密冷間鍛造金型を手掛けるアカマツフォーシスが取り引きするのは、自動車部品などのメーカー。「金型を通じて顧客…

―スペシャリスト―〈ヘラ絞り〉山村製作所〈ヘラ型〉田中鉄工<br>ものづくり支える匠の技

―スペシャリスト―〈ヘラ絞り〉山村製作所〈ヘラ型〉田中鉄工
ものづくり支える匠の技

ヘラ棒と呼ばれる工具を回転する金属の板に押しあてて、滑らかな曲面や艶やかな平面に加工するヘラ絞り。品質の良い製品をつくるには、ヘラ棒を操る卓越した技術もさることながら、匠の技を受け止めることができる金型が必要だ。ヘラ絞り…

【ひと】ベントム工業社長・本田大介さん システム会社を立ち上げた金型経営者

システム会社立ち上げた金型経営者  クラシック音楽事務所の営業から父親が創業した鋳造・ダイカスト金型メーカーに転職。会社を受け継いだ後、工程管理を手掛けるシステム開発会社を設立した。異色の金型経営者だ。  入社した当初は…

関連サイト