金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

FEBRUARY

18

新聞購読のお申込み

電極工程の自動化で9割のコスト削減に成功 キャノンモールド【特集:利益を生むDX】

DXの本質は利益を生み出すことにある。以降では、DXによって「売上げを上げて利益を生み出す」方法と「コストを下げて利益を生み出す」企業のそれぞれの取り組みを取材した。

電極の測定プログラム自動作成

加工から洗浄、測定を自動化したライン

精密プラスチック金型を手掛けるキヤノンモールドはデジタルを活用した自動化を進めている。昨年には、電極の測定プログラムを自動作成する仕組みを構築し、電極測定の関連コストを9割削減することに成功した。合わせて、電極の加工後から洗浄、測定までのプロセスを自動化した。

同社がデジタル強化に着手したのは2002年。当時、3Dを活用して携帯電話の金型で短納期を実現したインクス(現ソライズ)の影響を受け、3Dで設計から製造まで一気通貫で流す取り組みを開始。その後も加工プログラム作成を自動化するなど、デジタルを活かした効率化を進めてきた。

超音波で電極を洗浄

昨年注力した一つが、電極工程の自動化だ。キヤノン製品の金型を中心に手掛ける阿見事業所の電極本数は「平均して月3000~4000本くらい」(生産技術部坂井雄一部長)。このため、電極の測定プログラム作成や測定作業には相当な時間がかかっていた。

そこで、市販のCAD/CAMのカスタマイズ機能や独自開発のソフトを活用し、電極設計時に面を指定するだけで、測定プログラムを自動作成できる仕組みを構築した。坂井部長は「自動化と標準化はセット。ある形状では、どのポイントを測定すべきなのかなど標準化を細かく詰めた」と話す。結果的に「測定プログラム作成の大半は自動化でき、9割のコスト削減に成功した」という。

合わせて、加工した電極を洗浄し、計測するまでの一連のプロセスも自動化した。肝となったのは洗浄工程。加工後の電極を洗浄し、ロボットで3次元測定機に取り付け、自動測定する仕組みはできていたが「洗浄がうまくいかず、測定結果のバラツキが課題だった」。

そこで、装置メーカーと共同で超音波洗浄機を開発。測定のばらつきを、従来の約10分の1程度の数ミクロンに抑えることに成功した。こうして、しきい値内に収まったバラつきは、データで管理し、放電加工機で補正をかけ、放電工程全体で効率化につなげている。

坂井部長は「電極工程の自動化はある程度完成したと思う。今後は電極を放電加工機に取り付ける搬送の自動化や、これまで収集したデータを活かし、異常診断など更なる効率化を進めたい」。

会社概要

  • 本社: 茨城県笠間市柏井812-2
  • 代表者:斎藤憲久社長
  • 設立: 1972年
  • 従業員: 517人
  • 事業内容:精密プラスチック金型の設計・製作。

金型新聞 2023年2月10日

関連記事

東海エンジニアリングサービス カルコゲナイドガラスレンズの成形技術を確立 直径40㎜超を成形【特集:ものづくりを変えるレンズ金型】

解析を駆使、成形機も開発 東海エンジニアリングサービスは、直径40㎜超のカルコゲナイドガラスレンズの成形技術を確立した。CAEを駆使し、独自のノウハウを取り入れた成形機を開発して実現した。直径40㎜超は過去に例がなく、航…

丸順 人事

組織 管理本部直轄のサステナビリティ推進室を設置 人事 4月1日付(敬称略) 取締役常務執行役員管理本部長総務人事部長サステナビリティ推進室長 青山秀美 取締役常務執行役員日本事業本部長部品事業部長 猪熊篤俊 執行役員武…

米由来のバイオプラ 関東製作所が確立した金型・成形技術とは

脱炭素社会に向けた取り組みがものづくりで加速し、金型業界でもその動きが広がりつつある。先手を打つ金型メーカーの対応には大きくは2つの方向性がある。一つは、太陽光パネルの設置や設備の省エネ化などによる自社の生産活動でCO2…

リョービ、新田真部長インタビュー 解析駆使し開発期間短縮【特集:ダイカスト最前線】

金属3D積層で水管自在 リョービはダイカスト金型の開発で、ダイカストプロセス解析技術の向上や、金属3D積層埋め子(入れ子)の活用を進めている。金型の設計・製作期間を短縮し、またギガキャストなど次代の製品の金型を開発にも活…

狭山金型らがミニ四駆大会を開催

金型メーカーら32チーム 400人が参加 狭山金型製作所(埼玉県入間市、04・2934・7683)は2月9日、商品開発などを手掛けるMACHICOCO(大阪府東大阪市、06・6720・8735)らが運営するモノづくり集団…

トピックス

関連サイト