金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

08

新聞購読のお申込み

電極工程の自動化で9割のコスト削減に成功 キャノンモールド【特集:利益を生むDX】

DXの本質は利益を生み出すことにある。以降では、DXによって「売上げを上げて利益を生み出す」方法と「コストを下げて利益を生み出す」企業のそれぞれの取り組みを取材した。

電極の測定プログラム自動作成

加工から洗浄、測定を自動化したライン

精密プラスチック金型を手掛けるキヤノンモールドはデジタルを活用した自動化を進めている。昨年には、電極の測定プログラムを自動作成する仕組みを構築し、電極測定の関連コストを9割削減することに成功した。合わせて、電極の加工後から洗浄、測定までのプロセスを自動化した。

同社がデジタル強化に着手したのは2002年。当時、3Dを活用して携帯電話の金型で短納期を実現したインクス(現ソライズ)の影響を受け、3Dで設計から製造まで一気通貫で流す取り組みを開始。その後も加工プログラム作成を自動化するなど、デジタルを活かした効率化を進めてきた。

超音波で電極を洗浄

昨年注力した一つが、電極工程の自動化だ。キヤノン製品の金型を中心に手掛ける阿見事業所の電極本数は「平均して月3000~4000本くらい」(生産技術部坂井雄一部長)。このため、電極の測定プログラム作成や測定作業には相当な時間がかかっていた。

そこで、市販のCAD/CAMのカスタマイズ機能や独自開発のソフトを活用し、電極設計時に面を指定するだけで、測定プログラムを自動作成できる仕組みを構築した。坂井部長は「自動化と標準化はセット。ある形状では、どのポイントを測定すべきなのかなど標準化を細かく詰めた」と話す。結果的に「測定プログラム作成の大半は自動化でき、9割のコスト削減に成功した」という。

合わせて、加工した電極を洗浄し、計測するまでの一連のプロセスも自動化した。肝となったのは洗浄工程。加工後の電極を洗浄し、ロボットで3次元測定機に取り付け、自動測定する仕組みはできていたが「洗浄がうまくいかず、測定結果のバラツキが課題だった」。

そこで、装置メーカーと共同で超音波洗浄機を開発。測定のばらつきを、従来の約10分の1程度の数ミクロンに抑えることに成功した。こうして、しきい値内に収まったバラつきは、データで管理し、放電加工機で補正をかけ、放電工程全体で効率化につなげている。

坂井部長は「電極工程の自動化はある程度完成したと思う。今後は電極を放電加工機に取り付ける搬送の自動化や、これまで収集したデータを活かし、異常診断など更なる効率化を進めたい」。

会社概要

  • 本社: 茨城県笠間市柏井812-2
  • 代表者:斎藤憲久社長
  • 設立: 1972年
  • 従業員: 517人
  • 事業内容:精密プラスチック金型の設計・製作。

金型新聞 2023年2月10日

関連記事

金型メーカーアンケート 値上げ進むも道半ば【特集:どうする値上げ】

材料費や電気代の高騰が続き値上げが不可避の中、金型メーカーのユーザーへの価格転嫁は進んでいるのか。本紙はその実態を調べるため、金型メーカーにアンケートを実施した。結果から、値上げが受け入れられるようになりつつあるものの道…

【Breakthrough!】平面研削加工

平面研削加工はこれまで、加工条件の設定や砥石の管理に高い技能が必要なため熟練技能者の存在が不可欠だった。しかし近年、自動化技術をはじめとする様々な機能を搭載する平面研削盤の登場で、誰でも簡単に加工できるようになりつつある…

MOLDINO 野洲工場に微細加工室を新設

MOLDINO(東京都墨田区、03・6890・5101)は4月、野洲工場ソリューションセンター(滋賀県野洲市)内に微細切削加工に特化した加工室を新設した。微細加工用マシニングセンタ(MC)2台を導入し、工具や工法の開発な…

名古屋精密金型 植物由来の樹脂でタンブラー製作

自動車用ヘッドランプなどプラスチック金型を手掛ける名古屋精密金型(愛知県知多郡東浦町、0562・84・7600)は昨年、渡邊祐子氏が社長に就任し、金型メーカーの新たな可能性に挑戦。地元である東浦町の特産品であるぶどうを原…

金型メーカー座談会
経営者5人が語る、どうなる2015年 最終回

金型産業 発展へ 日本金型工業会 5つの施策   出席者   エムエス製作所社長 迫田 幸博氏 小出製作所社長 小出 悟氏 長津製作所会長 牧野 俊清氏 日進精機相談役 加藤 忠郎氏 野田金型社長 堀口 展男氏 2月号で…

トピックス

関連サイト