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宮澤精機 宮澤 幸弘 社長

変幻自在の絞り、曲げ
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50年のノウハウで金型に独創のアイデア

「強みは設計です」と話すのは、丸・角・異形絞りの順送プレス金型を手掛ける宮澤精機の宮澤幸弘社長。弱電関連の製品をメーンに、絞りは最大15㍉角、曲げは最大30㍉角までの金型を製作。とくに角絞り型を得意とし、側面形状を成形する技術に特長がある。
宮澤社長が「金型製作のスタート地点である設計から、課題解決に向けたアイディアを提供している」と話すように同社の金型づくりを支えているのが設計だ。生産性の向上や使いやすさなどユーザーが抱える課題を解決する金型を設計できることに強みを持つ。それを実現するのが、長年積み重ねた「知識」と「ノウハウ」にある。「知識」とは、入社当時、金型に関して全くの素人で血眼になりながら金型関連の参考書を読み漁り、ドラフターでゼロから設計を学んだという宮澤社長のキャリアそのもの。「ノウハウ」とはデータベースだ。創業から50年間に蓄積された加工や設計の情報をデータで見える化し、あらゆるユーザーの要求に対応できるようにした。
それら2つの強みによって、たとえば従来まで1分間に30個しか成形できなかった電子機器の小物部品を100~150個まで高速プレス成形できるような順送金型を設計したこともある。設計力を武器にユーザーの生産効率の改善に寄与した好例だ。設計を強みに持つことで、今までにない新しい金型のアイディアを提供し、受注型企業ではなく、自ら発信する提案型企業を目指している。

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設計・加工の技能を併せ持つ多能工を

設計を強みに持つからこそ、設計者の育成には力を入れている。「ドラフターで一から金型を設計できる人材を育てたい」と話す宮澤社長。近年、2次元・3次元CADなどの登場により、型設計はより効率的に、より簡単にできるようになった。しかし、そうした便利なシステムによって、「設計の基礎を知っている本物の設計者が減少してしまった」と宮澤社長は危惧する。だからこそドラフターのような「原点回帰」によって基礎から教え込み、設計の技術力向上を図る。
その活動は社内どころか海外にも及ぶ。2年半ほど前からベトナムのバリア・ブンタウ省の職業訓練学校で現地の人々に金型設計を教えている。日本よりソフトが充実してない分、「日本よりも一人一人の学ぶ意識や吸収力が高く、優秀な設計者が生まれる土壌がある」という。将来的には、ベトナムに金型設計者を配置し、プレス金型の設計拠点として、グローバルでの展開も構想中だ。
また、設計だけでなく加工技術の教育も大切している。それぞれの加工工程にベテランの熟練工を配置して、若手従業員に現場で加工技術を教え、「様々な工程に対応できるオールマイティな人材」を育てている。そうするのは、金型製作の全工程を理解することで、企業の一員としてだけではなく、1人の金型屋として独り立ちし、高い加工技術力を身に付けてほしいという思いから。
今後も設計と加工の両方に高い技術力を持ち、将来に繋がる金型技術の向上を目指す。


会社メモ

代表者=代表取締役 宮澤 幸弘氏
創立=1964年12月
所在地=東京都大田区本羽田2-12-1-411号
TEL=03・5736・1050
FAX=03・5736・1064
URL=http://homepage2.nifty.com/miyazawaseiki/
従業員数=10人
事業内容=精密順送プレス金型、設計、製作(金型専門)、部品加工、プレス加工など。
主な設備=ワイヤーカット加工機(三菱電機)1台、DIAX放電加工機(三菱電機)1台、フライス(牧野フライス製作所)2台、成形研磨機(日興機械)2台、成形研磨機(岡本工作機械)1台、成形研磨機(三井ハイテック)1台、平面研磨機(岡本工作機械)1台、CAD(倉敷精機)1台、CAD(オリベッティ)1台、プレス35t(アマダ)2台、プレス10t(アマダ)2台、ボール盤(エンシュウ)3台、タッピングマシン、1台、投影機(東芝)1台、工場顕微鏡(ニコン)1台。

金型新聞 平成27年(2015年)1月10日号

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