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デジタル活用で生産量を2~3倍に向上 鈴木工業【特集:利益を生むDX】
DXの本質は利益を生み出すことにある。以降では、DXによって「売上げを上げて利益を生み出す」方法と「コストを下げて利益を生み出す」企業のそれぞれの取り組みを取材した。
CAEの活用、データ作成の効率化

自動車用プレス金型を手掛ける鈴木工業は、デジタル技術を駆使し、生産スピードを向上させている。シミュレーションソフトウエアの導入、NCデータ作成の効率化などに取り組むことで、10年ほど前に比べて、生産量を2~3倍まで増やした。内製化による外注費の削減も可能になり、収益性も大幅に改善させている。
同社がデジタル活用に本格的に取り組み始めたのは、20年以上前。加工現場の機械1台1台にパソコンを搭載し、図面のペーパーレス化を進めたのが始まりだ。「紙だと、紛失したり、修正履歴が分からなくなったりするなどの課題があったが、ペーパーレス化によってそれらの問題を解決することができた」(鈴木修一執行役員)。

2000年頃までは主に500㎏~1tほどの金型を手掛けていたが、徐々に大型化。現在では3~6t程度の金型を生産する。「徐々に生産量が増え、進捗の管理が難しくなったことのほか、金型の磨きや組立などの高度な技能を持った人材がいなかったこともあり、デジタル化に舵を切った」(鈴木氏)。
2002年にはプレス成形シミュレーションソフトウエアを導入。熟練作業者の経験や勘に頼らなくても、割れやシワ、スプリングバックなどの予測が可能になり、それまで何度も繰り返していた成形トライの回数を削減。金型製作時間を大幅に短縮することができたという。
2013年頃からは金型ベースを鋳造している間に金型部品の加工を並行して行う並列加工に取り組む。金型加工にかかる時間を大幅に短縮できるこの工法を実現するために、課題だったNCデータの作成工程を効率化。加工パス作成に必要な条件をデータベース化することで、経験が浅くても最適なNCデータを作成することができる仕組みを構築した。現在はNCデータ作成を女性パート社員が担当している。
2022年には門型マシニングセンタ(MC)を導入。機械のあらゆる情報を取得し、自由に活用できる加工システムの構築を目指す。「将来的には工程ごとに点在するデジタルツールを連携させたい」(鈴木氏)。これまで以上にデジタル活用を進め、さらなるリードタイムの短縮に挑む。
会社概要
- 本社: 群馬県太田市西新町135‐8
- 電話:0276・33・9533
- 代表者:鈴木翔太社長
- 創業:1964年
- 従業員: 37人
- 事業内容:自動車用プレス金型の設計・製作。
金型新聞2023年2月10日
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