1.3〜1.6倍の表面硬さ 窒化処理などを手掛けるカナック(静岡県藤枝市、054-644-7988)はこのほど、低クロム鋼向け新処理「EVOLK(エボルク)」を発売した。既存処理に比べ、表面硬さが1.3~1.6倍ほど向上…
スマート金型で生産性向上
産官学連携 岐阜大に開発拠点
金型を使う量産工場では、なかなか成形不良が減らない。その原因は金型や機械、外部環境など様々。不良原因を突き止められないのは、一企業で成形時の膨大な情報を収集し解析する技術を確立するのは困難だからだ。そこで立ち上がったのが岐阜大学(岐阜県岐阜市)。同大学内に「スマート金型開発拠点」事業を立ち上げ、量産工場の成形不良率をゼロにする取り組みが来夏に始まる。金型、プレス・射出成形機(以下成形機械)で自動的に良品を生み出す生産システムを確立できれば、労働人口減少で悩む日本の製造業にとって展望は明るい。
自動で成形不良をなくすシステムをスマート生産システムと呼ぶ。金型や機械で起こる様々な異常を予兆し、成形機械で自動制御や金型の自動交換で成形の不良率をゼロにできれば、人の手作業や煩雑な検査工程を省略できる。それには成形不良を予兆するスマート金型の開発と成形条件などを自動で制御できるスマートな成形機械の開発が必要だ。スマート金型開発拠点ではプレスと樹脂の型種を対象に金型内の温度や圧力、成形機械、外部環境の変化をセンシング技術で情報を収集する金型IoTプラットフォームを構築し、集めたデータを解析しながら、不良の原因解明と制御方法を開発していく。同事業の中心的役割を担う岐阜大学副学長の王志剛教授・工学博士(産官学連携担当)は「もし、成形不良をゼロにするシステムを開発できれば世界初となる」と意気込みを見せる。
同事業の研究課題は4つ。①センサ・金型センシング技術の開発②金型IoTプラットフォームの開発③スマートプレス機の開発④スマート射出成形機の開発だ。①はセンシングや小型化・非接触化などセンサに関する研究など。②は金型IoTプラットフォームで成形条件や成形状況、材料などのデータベースの構築と解析技術で予防保全・成形条件を決めるアルゴリズムを開発する。③と④は成形機械の制御や計測技術の開発だ。
だが、開発には想像以上に壁もある。「そもそも成形不良の原因が分かっていないため。想定される要因のデータ収集から始めなければならない」と王副学長は指摘。例えば、パンチで穴を1000個あける途中でパンチが曲がるという課題に対し、従来はパンチ本体の原因と捉えてきたが、本当の原因は機械や別工程など他にあるかもしれない。同事業では考えられる原因を1つずつ調べるため、多くの時間と労力を伴う。「だから産官学の連携が必要」と王教授は訴える。スマート金型開発拠点は文部科学省の平成28年度補正の「地域科学技術実証拠点整備事業」に採択され、岐阜県内外の量産メーカーをはじめ、成形機械、金型、センサ、ソフトウェアなどメーカー約10社が連携し、同大学の学生も参加する。
開発施設は床面積1080㎡の3階建。1階スマート生産システム実験設備、2階測定室など、3階はサーバー室やCAE室で、3Dスキャナ、高速度カメラなどの機器、データ収集・管理・解析システムやサーボプレス、電動式射出成形機など設備する予定だ。
課題1 センサ・金型センシング技術の開発
・センシングシステム単体の試験運用
・高応答金型センシング技術の開発
・高応答成形機センシング技術の開発
・センサの埋め込み技術(3Dプリンター)の開発
・センサの小型化・非接触化・省エネ化
課題2 金型IoTプラットフォームの開発
・IoTプラットフォームの試験運用
・成形材料データベースの開発
・成形条件・成形状況データベースの開発
・ビッグデータ解析技術の開発
・予防保全・成形条件決定アルゴリズムの開発
課題3 スマートプレス機の開発
・精密プレスモーション制御技術の開発
・センサ―インターフェース技術の開発
・プレス機状態の計測技術
・成形品リアルタイム計測技術
課題4 スマート射出成形機の開発
・射出成形機のモーション制御技術
・精密金型調整用アクチュエータの開発
・センサ―インターフェースの技術
・成形品リアルタイム計測技術の開発
金型新聞 平成29年(2017年)8月10日号
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