金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JUNE

08

新聞購読のお申込み

迫る金型の技術革新
岐阜大学 三田村一広特任教授に聞く

 1982年日産自動車入社、2001年栃木工場型製作課課長、04年技術開発試作部課長、05年パワートレイン製造本部成型技術部次長(パワートレイン用金型の全てを統括)、15年アーレスティに転籍後、18年現職。

 「CASE」(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に代表されるように、「百年に一度の変革期」と言われる自動車業界。金型にとってもその影響は大きく、舵取り次第では将来の成長を左右しかねない。特に、金型へのインパクトが大きい一つが、駆動部に変化を迫る電動化だ。モータ、バッテリー、エンジンはどう変化するのか。どんな金型が増えていくのか。本特集では、元日産自動車で岐阜大学の三田村一広特任教授に自動車の駆動部の変化がどう金型に影響するかなどを総括してもらった。また、燃料電池車のセパレータの金型に挑戦するニシムラと、乗り心地と燃費性能を追求する新型エンジンの開発を進めるマツダの金型づくり最前線を取材した。

 

 

特集  次世代車で変わる駆動部品の金型

 電気自動車(EV)か、プラグインハイブリッド(PHV)か、それとも燃料電池車(FCV)か。世界中で次世代車を巡る動きが活発になっている。何が主役になるかは見通しづらいが、駆動部が大きく変化することは間違いない。モータやバッテリの新技術が登場する一方、新たなエンジンの開発も進み、金型づくりにも変化を迫る。日産自動車の技術者で「リーフ」のバッテリやモータの金型の技術開発を手掛けた、岐阜大学の三田村一広特任教授に、自動車の駆動部や金型技術の変化などについて聞いた。

精密に切断する技術
モータ、バッテリに不可欠

次世代自動車を巡る動きをどうみますか?

 色んな予測が発表されているが、正直いつ、どうなるかは見通しづらい。言えるのは、早いか遅いかは別にして、電動車にシフトしていく流れは不変だ。そこで重要になるのはモータとバッテリだ。なかでも、金型は重要な要素で、リーフの誕生も金型技術があったからこそだと自負している。

どんな金型技術が必要になりますか?

 部位によって異なるが、モータ、バッテリに共通しているのは精密に切断する金型技術は不可欠だ。初代リーフで採用されたリチウムイオン電池では、正、負極材を1台当たりで約2万8000回切断する必要があった。しかも、バッテリの発熱や劣化をなくすために、バリによる20μm以上のコンタミを一つも入れてはならないというのが絶対条件だった。これを可能にしたのも金型技術があったからだ。

具体的には?

 金型には0・2μmのクリアランスでセットする必要があったが、シャーリング技術を活かして、S字形状をゼロクリアランスで切断することに成功した。加えて、1台で2万8000回も切断するので、長寿命化も必要で、世界中どこでも作れるようにメンテナンス性も求められるなど、かなり高度な金型技術が詰め込まれている。

全個体電池でもこの技術は必要でしょうか?

 電解液が固体になるだけで、正、負極材は必要なので、精密に切断する技術は変わらず重要だと思う。

モータの動向をどうみますか?

 ホイールインモータになれば1台当たり最大で4つのモータが必要になるので間違いなく数自体は増えていく。また、計量化で小型のモータが必要になる一方、高出力を確保するため、電磁鋼板もより薄くなる。バッテリと同様、薄く精密に打ち抜く金型は必要だろう。
 バッテリのほうが、前述のようにコンタミなど厳しさが求められるので、モータコアの金型ができないところは、バッテリはできないと思う。

エンジンは小型化

一方でエンジンの今後をどうみますか?

 将来的には減っていくと思うが、当面主流のHVではエンジンも必要だ。ただ今後は求められる要素は変わっていくと思う。これまで高回転域ではパワー、低回転域では燃費を重視するなど、複雑な機能を持ったエンジンが求められていたが、シンプルになっていくかもしれない。例えば日産の「e‐POWER」のエンジンは発電用で駆動はモータのみで、高出力のエンジンはいらない。

 各自動車メーカーの次世代車の開発の方向や、アプローチによって、必要なエンジンは変わってくると思う。全体的な傾向として、燃費最優先と、小型化が求められるのではないか。

金型しんぶん 2019年9月10日

関連記事

キャプテンインダストリーズ 金型の点測定に特化

機上計測ソフトウエア キャプテンインダストリーズ(東京都江戸川区、03-5674-1161)はこのほど、金型の点測定に特化した機上計測ソフトウエア「NCメジャー3軸」(写真)を発売した。買取(税別48万4500円)とサブ…

この人に聞く2017<br>安田工業 安田 拓人社長

この人に聞く2017
安田工業 安田 拓人社長

微細加工の大型化に対応  工作機械の「マザーマシン」として世界で高い評価を得ている安田工業。近年、金型業界でもニーズが高まる微細加工向けとしてJIMTOF2016で「YMC650」を発表し微細加工分野の開拓に努めている。…

大昭和精機 超高精度加工も自動化、加工時の振れ限りなくゼロに【特集:金型づくりを自動化する】

非接触工具位置測定器「ダイナゼロビジョン」 切削加工をトータルでサポートする大昭和精機。注目は、高速回転中の工具長や工具径、振れを測定するのが「ダイナゼロビジョン」だ。「ダイナゼロチャック」と組み合わせて使用すると、動的…

自動化で変わる人材 マルチ技術者を育成【自動化で変わる金型メーカー】

生産性の向上、人手不足への対応、人を介さないことによる品質向上—。目的や狙いは様々だが、金型メーカーにとって自動化は待ったなしだ。しかし、自動化には様々な変化が伴う。機械設備の内容もこれまでとは異なるし、自動化を進めるた…

【金型の底力】山善金型 様々な顧客ニーズに応えられる会社に

限界を作りたくない生産工程を見える化 「様々な顧客ニーズに応えられる会社にしたい」と話すのは、山善金型の山下和也社長。同社は精密なプラスチック金型を武器に、日用品から自動車部品、医療機器など幅広い顧客を獲得。モットーは『…

トピックス

関連サイト