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迫る金型の技術革新
岐阜大学 三田村一広特任教授に聞く

 1982年日産自動車入社、2001年栃木工場型製作課課長、04年技術開発試作部課長、05年パワートレイン製造本部成型技術部次長(パワートレイン用金型の全てを統括)、15年アーレスティに転籍後、18年現職。

 「CASE」(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)に代表されるように、「百年に一度の変革期」と言われる自動車業界。金型にとってもその影響は大きく、舵取り次第では将来の成長を左右しかねない。特に、金型へのインパクトが大きい一つが、駆動部に変化を迫る電動化だ。モータ、バッテリー、エンジンはどう変化するのか。どんな金型が増えていくのか。本特集では、元日産自動車で岐阜大学の三田村一広特任教授に自動車の駆動部の変化がどう金型に影響するかなどを総括してもらった。また、燃料電池車のセパレータの金型に挑戦するニシムラと、乗り心地と燃費性能を追求する新型エンジンの開発を進めるマツダの金型づくり最前線を取材した。

 

 

特集  次世代車で変わる駆動部品の金型

 電気自動車(EV)か、プラグインハイブリッド(PHV)か、それとも燃料電池車(FCV)か。世界中で次世代車を巡る動きが活発になっている。何が主役になるかは見通しづらいが、駆動部が大きく変化することは間違いない。モータやバッテリの新技術が登場する一方、新たなエンジンの開発も進み、金型づくりにも変化を迫る。日産自動車の技術者で「リーフ」のバッテリやモータの金型の技術開発を手掛けた、岐阜大学の三田村一広特任教授に、自動車の駆動部や金型技術の変化などについて聞いた。

精密に切断する技術
モータ、バッテリに不可欠

次世代自動車を巡る動きをどうみますか?

 色んな予測が発表されているが、正直いつ、どうなるかは見通しづらい。言えるのは、早いか遅いかは別にして、電動車にシフトしていく流れは不変だ。そこで重要になるのはモータとバッテリだ。なかでも、金型は重要な要素で、リーフの誕生も金型技術があったからこそだと自負している。

どんな金型技術が必要になりますか?

 部位によって異なるが、モータ、バッテリに共通しているのは精密に切断する金型技術は不可欠だ。初代リーフで採用されたリチウムイオン電池では、正、負極材を1台当たりで約2万8000回切断する必要があった。しかも、バッテリの発熱や劣化をなくすために、バリによる20μm以上のコンタミを一つも入れてはならないというのが絶対条件だった。これを可能にしたのも金型技術があったからだ。

具体的には?

 金型には0・2μmのクリアランスでセットする必要があったが、シャーリング技術を活かして、S字形状をゼロクリアランスで切断することに成功した。加えて、1台で2万8000回も切断するので、長寿命化も必要で、世界中どこでも作れるようにメンテナンス性も求められるなど、かなり高度な金型技術が詰め込まれている。

全個体電池でもこの技術は必要でしょうか?

 電解液が固体になるだけで、正、負極材は必要なので、精密に切断する技術は変わらず重要だと思う。

モータの動向をどうみますか?

 ホイールインモータになれば1台当たり最大で4つのモータが必要になるので間違いなく数自体は増えていく。また、計量化で小型のモータが必要になる一方、高出力を確保するため、電磁鋼板もより薄くなる。バッテリと同様、薄く精密に打ち抜く金型は必要だろう。
 バッテリのほうが、前述のようにコンタミなど厳しさが求められるので、モータコアの金型ができないところは、バッテリはできないと思う。

エンジンは小型化

一方でエンジンの今後をどうみますか?

 将来的には減っていくと思うが、当面主流のHVではエンジンも必要だ。ただ今後は求められる要素は変わっていくと思う。これまで高回転域ではパワー、低回転域では燃費を重視するなど、複雑な機能を持ったエンジンが求められていたが、シンプルになっていくかもしれない。例えば日産の「e‐POWER」のエンジンは発電用で駆動はモータのみで、高出力のエンジンはいらない。

 各自動車メーカーの次世代車の開発の方向や、アプローチによって、必要なエンジンは変わってくると思う。全体的な傾向として、燃費最優先と、小型化が求められるのではないか。

金型しんぶん 2019年9月10日

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