金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JULY

15

新聞購読のお申込み

【特集:2023年金型加工技術5大ニュース】4.AM活用の広がり

多様な活用方法や機器の進化

金属AMによる金型づくりが徐々に広がりを見せており、活用事例が増えている。金属AMの活用は、従来の金型づくりに付加価値をつけ、他社との差別化を図るための手段として有効。今後ギガキャストで、金属AMを活用した金型の採用が増える可能性もあり、注目度は高まっている。

金属AMを金型で活用する場合、敷き詰めた金属粉末にレーザーを照射し、造形するPBF(パウダーベッド・フュージョン)方式が主流。水管を自由に設計できるメリットを活かし、冷却効果の向上が可能だ。先行して導入した企業では、水とエアを冷却に使用することに加え、金型の一部にラティス(格子状)構造を採用。冷却効果を高めるだけでなく、材料費や造形時間も削減した。

金型の一部にラティス(格子状)構造を採用 

ワイヤーを溶接しながら造形するDED(ダイレクト・エナジー・デポジション)方式を採用するケースもある。耐摩耗性が求められる形状面は工具鋼、内部は熱伝導率が高い銅合金といった異種材料を結合した金型づくりに取り組む企業が出てきた。

装置や周辺機器なども進化を続けている。DED方式で冷却水管の金型造形に成功した金属3Dプリンターが登場。水管内部を磨くための研磨液や、研磨装置の開発も進む。

DED方式の金属3Dプリンターで冷却水管の金型を造形

連携の動きも見逃せない。関連異業種がそれぞれの知見を持ち寄り、協力してダイカスト金型部品を金属3Dプリンターで造形した。また、装置メーカーと金型メーカーが技術提携し、金属3Dプリンターを共同開発する動きもある。各社の強みを活かし、協業する企業が増えれば、金属AMによる金型づくりがさらに広がるかもしれない。

金型新聞 2023年12月10日

関連記事

自動化で年4400万円のコスト減 月平均600時間稼働【自動化で変わる金型メーカー】

生産性の向上、人手不足への対応、人を介さないことによる品質向上—。目的や狙いは様々だが、金型メーカーにとって自動化は待ったなしだ。しかし、自動化には様々な変化が伴う。機械設備の内容もこれまでとは異なるし、自動化を進めるた…

日新精機が繁忙期対策のために進めることとは

協力企業との連携推進 時期によって業務の量に差が生じることは少なくない。特に金型業界では、製品のモデルチェンジや更新のタイミングなどに受注が集中するため、繁忙期と閑散期で現場の稼働状況は大きく異なる。繁忙期には残業や休日…

短時間でプレス解析 南工【特集:シミュレーションの使い方再発見!!】

トライ後の改修減らし生産性アップ 自動車の骨格部品などのプレス金型を手掛ける南工は昨年、解析速度の速いプレスシミュレーションソフトを導入した。短期間で高精度の塑性変形予測を割り出し、設計品質を高め、トライ後の改修時間も短…

藤木孝弘専務に聞く 新中期計画のもう一つの目的 【ササヤマ challenge!Next50

「SAIMS247」の推進役、藤木孝弘専務はその目的の一つに「次の50年を担う人材の育成」があるという。自らの体験を振り返りつつ、思いを語ってもらった。 金型の魅力をもっと社員に知って欲しい SAIMS247のもう一つの…

マツダが金型を作る理由【特集:自動車メーカーの金型づくり】

魂動デザインなど独自の哲学で「走る歓び」を追求するクルマづくりに取り組むマツダ。金型はそれを実現するための極めて重要なマザーツールだ。なぜ社内で金型を作り続けるのか。金型づくりを進化させるため取り組むこと、これから目指す…

トピックス

関連サイト