金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JULY

27

新聞購読のお申込み

黒田精工 増加するモータコア需要に対応【特集:進む設備の大型化】

300t大型プレスを導入

黒田精工は昨年12月、モータコア金型などを手掛ける長野工場(長野県池田町)を拡張し、300t大型高速プレス機を導入した。ボルスター寸法の左右長さが3・7mの大型機で、2・3mや2・7mの既設機よりも大きい。大型設備を導入し、モータコア用金型の大型化需要に対応する考えだ。

新規導入した大型高速プレス機はアイダエンジニアリング製。金型事業部長を兼任する石井克則専務は同機種の選定理由について、「最も信頼性のある機械メーカーの一つだと考えている。剛性に優れ、精度が高く、機械寿命が長いことが選定の大きな理由だ」と語る。

長野工場に導入した大型プレス機

こうした大型設備を導入するのは金型が大型化しているからだ。もともと同社が手掛けていたコンプレッサなどの産業用モータコアは最大でも直径100㎜程度。一方、近年需要が増加している車載用モータコアは200~230㎜と大きく、同じ工程数でもこれまでよりも大型の金型が必要になる。

また、車載用モータコアは歩留まり改善と生産性向上のために、一つの金型内で複数生産する多列取りが進んでいる。特に2020年ごろから増え始め、現在同社が手掛ける金型はほとんどが多列金型だという。

そして、モータコア形状の複雑化も要因の一つだ。ロータに磁石を挿入する穴形状が多様化し、プレス工数が以前に比べ増加。「昔は同じ大きさのマグネットが均等に入る単純な構造だったが、現在は大小異なるマグネットを入れる構造になり、より細かく、複雑になった」(石井専務)。

25年に生産能力2.5倍に

こうした金型の大型化に伴い、同社ではプレス機だけでなく、金型を加工する設備の大型化も進めている。これまでにワイヤ放電加工機や門型マシニングセンタなどを導入。今後、ジグボーラーの増設なども検討しているという。加工能力を強化し、2025年には金型の生産能力を23年比で2・5倍に引き上げることを計画している。

多例取りが進むモーターコア

今後はさらなる大型高速プレス機の導入も検討しているという。「多列化が進む一方、1列でしか加工できない複雑なものもある。こうしたものでも多列取りを可能にするために、より大きな機械を導入し、技術開発を進めたい」(石井専務)。

同社の金型事業は10年で売上高が約3・5倍に拡大し、全体の4割以上を占めるまでに成長した。今後もEV市場の拡大とともに成長を続け、「ハイエンド電動車駆動用モータで当社技術を搭載したコアのシェアナンバーワンを目指す」(石井専務)。

会社概要

  • 本社:川崎市幸区堀川町580‐16
  • 電話:044・555・3800
  • 代表者:黒田浩史社長
  • 創立:1949年
  • 従業員:988人(連結)
  • 事業内容:金型システム事業、駆動システム事業、機工・計測システム事業

金型新聞 2024年3月10日

関連記事

日本発条がササヤマと資本提携する理由【ササヤマ challenge!Next50】

自動車のシートなどを手掛ける日本発条は2015年、ササヤマと資本提携した。日本発条にとって技術連携のパートナーであるササヤマはどんな存在なのか。魅力、期待すること、今後取り組みたいことは。シート生産部の岡井広行氏と安田雅…

リヒト精工 ヘッドランプ金型向け窒化処理技術を開発

高い鏡面性を実現 熱処理から表面処理まで独自技術を持つリヒト精光(京都市南区、075-692-1122)はインターモールド2022大阪でエジソンハード処理(新ガス窒化処理法)の新技術を披露した。成形時のキズや摩耗の激しい…

冨士ダイス 久保井副社長が社長に就任

冨士ダイス(東京都大田区、03-3759 -7181)はこのほど、4日1日付けで久保井恒之副社長が社長に就任する人事を発表した。西嶋守男社長は代表権のある会長に就任する。 久保井氏は、1958年生まれ、東京都出身。81年…

ニチダイ 古屋氏が代表権のない会長に

ニチダイは4月1日付けで代表取締役会長の古屋元伸氏を代表権のない取締役会長とする人事を発表した。コーポレートガバナンスの強化を図るためとしている。 金型新聞 2022年4月10日

中辻金型工業 切削工具を自社開発

培った技術活かす 自動車の電動化、医療関連や半導体関連需要の拡大などで、国内のものづくり産業に求められるものも大きく変化している。自動車の電動化ではモータやバッテリーなどの電動化部品や材料置換による軽量化部品などが増えて…

関連サイト