金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

APRIL

26

新聞購読のお申込み

黒田製作所 工場新設、大型成形機導入 【特集:進む設備の大型化】

大型金型の需要に対応

プラスチック金型を手掛ける黒田製作所(岐阜県羽島郡岐南町、058・247・7423)は自動車向けの大型プラスチック金型に対応するため、本社そばに新工場を立ち上げ、UBEマシナリーの大型射出成形機「3000emⅡ」を導入した。投資額は約5億円で、自動車のEV化や部品の一体化、セット取りなどプラスチック金型の大型化に対応することで、新規需要の開拓を図る。

導入した大型射出成形機「3000emⅡ」は型締力3000t、タイバー間隔2050×1900、型盤寸法3200×2500の2プラテン式射出成形機で、省スペース化、省エネ、高速化を図るなどカーボンニュートラルに貢献し、作業性やメンテナンス性にも優れている。

UBEマシナリーの大型射出成形機「3000emⅡ」

社内トライで玉成まで円滑に

同社はこれまで130~1600tのトライ用射出成形機を持ち、3000tクラスの大型金型を手掛けた実績もあるが、顧客先でトライする必要があるなど課題があった。「今後は自動車のEV化や部品の一体化、セット取りなど大型金型の需要が伸びる」と黒田昌彦社長。大型射出成形機を導入したことでトライ領域を拡大し、社内で大型金型の玉成が可能になり、量産までの立ち上げもスムーズに移行できることは大きな強みとなる。

さらに、立ち上げた新工場に従来のトライ用射出成形機を集約。工場内物流の効率化を進め、トライセンターとして小型~大型まで幅広く対応していく考えだ。すでにサイドステップといった自動車の外装部品やドアパネルなど内装部品の引き合いも出ており、「これまで海外との取引実績はなかったが、大型射出成形機を導入したことで、海外の一部から引き合いも来ており、本格的に海外市場の開拓を検討していきたい」と大型需要への期待感を示す。

小型〜大型まで幅広く対応できる

加えて、「大型射出成形機を導入したことは物流の2024年問題への対応にもなる」と黒田社長は指摘する。物流問題で遠方への金型の運送は難しくなる可能性があり、遠方の顧客先でトライし、一旦金型を戻して修正することは非常に難しい。「そういう意味でも社内トライできることは大きい」と話す。同社は金型を年間約500型製作できる生産能力を有しており、小型~大型まで幅広く対応できることを強みに新たな需要の取り込みを目指す。

会社概要

  • 本社:岐阜県羽島郡岐南町伏屋9‐138
  • 電話:058‐247‐7423
  • 代表者:黒田昌彦社長
  • 創立:1975年
  • 従業員数:150人
  • 事業内容:各種プラスチック用の射出成形金型設計・製作

金型新聞 2024年3月10日

関連記事

型種や工法の壁無くし、デジタルを活用 【変わるトヨタの型づくり】

モビリティカンパニー目指し、金型づくりを大変革 クルマを造る会社から、多様な移動手段を提供する「モビリティカンパニー」に変化するトヨタ自動車。モノづくりでも変革を進めている。2020年に試作や量産など内製部門を集約した「…

〜特集〜 金型づくりをスマート化する

生産現場を訪ねて三豊機工 鹿児島工場(南九州)  5台のAIV(Autonomous  Intelligent  Vehicle)が10棟の工場を跨いで縦横無尽に運行する金型工場。冷間圧造用金型を材料から製品まで一貫生産…

トップ年頭語録

金型工業会 小出悟会長「デジタル化へ踏み出す」  新型コロナによって、世の中が一変している。ここで考え方をまとめ、当工業会としては何かしらの指針を出していきたい。今年は「デジタル庁」創設などデジタル化の動きが活発化する年…

メンテナンスに革命を 清水一蔵氏(福井精機工業社長)【特集:次の10年を勝ち残る4つの道】

EV化などによる金型需要の変化やAMをはじめとする新たな製造技術の登場など金型産業を取り巻く環境はこれまで以上に大きく変化している。金型メーカーには今後も事業を継続、成長させていくため未来を見据えた取り組みが求められてい…

金型メーカー座談会
経営者5人が語る、どうなる2015年

活路を創造、混沌に挑む  日本の金型業界にも少しずつ明るさが戻ってきた。とはいえ、受注水準はいまだリーマンショック前の8割程度だ。そんななか、日本金型工業会は「新金型産業ビジョン」を策定した。そこでは、金型業界の向かうべ…

トピックス

関連サイト