金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

FEBRUARY

11

新聞購読のお申込み

ウチダ 肉盛り溶接を自動化【金型の底力】

超ハイテンと大型化技術極める

1・5Gpaクラスまでの超ハイテン材向けのプレス金型を強みとするウチダ。このほど新日本工機と共同で、金型の最終調整に必要な肉盛り溶接工程の自動化を実現した。狙いは「溶接に関わっていた技能者を金型の調整など付加価値の高い工程に充てる」(内田祥嗣社長)ためだ。自動化で生み出した時間を活かし、「超ハイテンと大型化技術を『極める』」考えだ。

「一歩先んじよ」—。ウチダは社是にあるこの言葉通り、一歩先んじた投資でその地位を固めてきた。1934年に内田鉄工所として創業。本格的に金型に参入したのはモータリゼーションの拡大を見越した64年。72年には当時では金型メーカーでは珍しい200tトライプレスを導入した。今や800t、1600tのトライプレスを持ち「こうした先行した投資が現在の当社を支えている」(内田社長)という。

肉盛り溶接の工程をロボットで自動化

先んじる動きは現在も強みとするハイテン材向けも同じだ。98年にはハイテン材向け金型に着手。2002年には「世界で初めてセンターピラーで980Mpaの量産金型に成功した」という。最近では1・5Gpaの超ハイテン向けの金型を手掛けている。

こうした超ハイテンでの課題はスプリングバックの大きさによる成形の難しさ。1m超のセンターピラーやサイドメンバーでも、パネルの寸法誤差は±0・5㎜以下に収める必要がある。

自動化で溶接面もきれいに

このレベルの精度を実現するために、1回目のトライでOKとなることはあり得ない。「3~5回程度は肉盛り溶接で、金型形状を修正する必要がある」。肉盛溶接は仕上技能者が手動で行っていたが「肉盛りそのものに価値はない。技能者は金型の修正や解析など人でしかできない工程を注力してもらう必要がある」。

そこで一昨年から新日本工機と共同で、肉盛り工程を自動化できるシステムを構築した。ロボットに掴ませた主軸の中央部からレーザーを照射し、周辺部から粉末を噴射することで肉盛りする仕組みだ。

超ハイテンと大型化技術に注力する

自動化できたメリットは大きい。まずは作業時間。「段取りを含めて3分の1程度になった」と言う。肉盛り面も安定したほか、「20人の仕上担当の2人は常に溶接していたので、その作業がなくなり、その時間を他の工程に充てられる」。現在は、ハイテン用の金型で多く使われる、SKD11でも肉盛りできるように取り組みを進めている。

こうした効率化は「全てハイテンと大型化技術を『極める』ため」(内田社長)だ。ここ数年は超ハイテン化が加速し、「今後も超ハイテン部品は増える。当社の強みを発揮できる領域」という。

内田祥嗣社長

「大型化」の要求も増えるとみる。「部品の一体化で、金型サイズも年々大きくなっており、この傾向も加速している」。肉盛りの自動化で技能者の空いた時間や、経営資源を超ハイテンと大型化の2つの領域に集中させる考えだ。

その一環として、来年度には愛知県刈谷市に仕上専用の工場を新設する。「1600tのプレス機を導入し、仕上に特化した工場にする」(内田社長)予定だ。超ハイテンと大型化技術を極める一方、顧客満足度の向上も合わせて図る考えだ。

会社の自己評価シート

 「一歩先んじよ」の社是の通り、トライプレスの導入など積極的な投資を続けてきた同社。今もそのDNAは健在で、今回の肉盛り溶接の自動化や新工場の建設など「未来への投資する力」や「変化に対応する力」は高いと自己分析している。

会社概要

  • 本社: 大阪府大東市新田本町12–6
  • 電話: 072・874・3377
  • 代表者: 内田祥嗣氏
  • 創立: 1934年
  • 従業員: 120人
  • 事業内容: 自動車用ボディー部品のプレス金型の設計製作全般

金型新聞 2024年6月10日

関連記事

エムエス製作所と山一ハガネ コロナ感染防ぐラップを共同開発

エムエス製作所(名古屋市、迫田邦裕社長)と山一ハガネ(名古屋市緑区、寺西基治社長)は共同でパソコンのキーボードにラップをかけコロナウイルスの感染を防ぐ「TOUCH WRAP(タッチラップ)」を開発した。 市販のラップの未…

サンワ金型 トライ用プレス機に材料送り装置を導入

顧客の生産立ち上げ支援 プレス金型やプラスチック金型などを手掛けるサンワ金型(愛知県安城市、0566・92・6150)は社内のトライセンターにある300tトライ用プレス機に材料送り装置を導入。ニーズが増えている小ロット試…

日研工作所 大阪本社をエコ工場化

日研工作所(大阪府大東市)は、関西電力(大阪府大阪市)との共同事業として、同社本社工場(敷地面積:55,000㎡)に、太陽光パネル容量1.920MW(メガワット)の大規模な自家消費型太陽光発電設備を導入する。年間自家消費…

ヤマシタワークス ひょうごオンリーワン企業に認定

薬剤金型など高度な技術 薬剤用の金型や鏡面磨き装置を手掛けるヤマシタワークス(兵庫県尼崎市、06-4868-8477)はこのほど、兵庫県から2021年度「ひょうごオンリーワン企業」の認定を受けた。 同賞は兵庫県が世界に飛…

ワークス ガラスMLA量産へ【特集:連携・M&Aで乗り越える】

参画企業とともに成長 ワークスは、世界で前例のないガラス製マイクロレンズアレイ(MLA)の金型とそれによる生産技術の開発でレンズや素材メーカーと連携する。ガラス製MLAはディスプレイや投影機、自動車のライトなどの小型化や…

トピックス

関連サイト