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ワークス ガラスMLA量産へ【特集:連携・M&Aで乗り越える】
参画企業とともに成長
ワークスは、世界で前例のないガラス製マイクロレンズアレイ(MLA)の金型とそれによる生産技術の開発でレンズや素材メーカーと連携する。ガラス製MLAはディスプレイや投影機、自動車のライトなどの小型化や高機能化で需要が拡大すると見込む。企業連携により少ない投資で短期間に技術を確立し、この分野で中国や台湾といった海外企業を大きく突き放したい考えだ。
企業連携で開発に取り組むのは微細な球面が集積するガラス製MLAの金型と量産の技術。5年前からプロジェクトをスタートし2年前、円柱状の超硬材の上面の縦13㎜×横13㎜のスペースに直径0・1㎜、深さ4μmの凹んだ球面が1万個並ぶ金型を完成した。

微細なガラス製MLAはこれまで金型で加工できないため石英ガラスをドライエッチングで加工していた。そのため片面ずつしか加工できず、組み立てると10~20㎜の厚みになる。光の屈折率は1・46のみ。月に生産できるのは2520個程度で、1個あたりの生産コストは5万円だった。
しかし開発した金型は両面MLAを成形でき、厚さは2~3㎜と大幅に薄い。屈折率は1・8㎜まで対応でき、焦点距離も短くできる。月に5万400個を生産でき、1個あたりの生産コストは5千円に抑えることができる。石英ガラス以外の様々なガラスのレンズも成形できるという。
プロジェクトには工業大学の研究者や電子部品メーカー、加工装置メーカー、工業技術センターなども参画する。現在、様々な素材や形状のガラスMLAに対応するため品質検査や品質管理の方法を検証。ワークスの三重野計滋社長は「量産の技術確立までもう一歩。できる限り早く量産を始めたい」。

中台など世界突き放す
企業連携の道を選んだ理由の1つは開発のスピードが速く、少ない投資で挑戦できるから。ワークスは微細なレンズの精密金型で高度な技術を持つが、レンズ生産の経験はなくその技術を構築するには時間がかかる。それに社員60人の中小企業に未知の技術開発への投資負担は大きい。
だが連携すれば技術交流のシナジーでトライ&エラーのスピードは速く、研究や設備への投資も少ない。三重野社長は「時代の変化が激しい中、中小企業が自前で新分野の開発に挑むのは難しい。協力者を求める方が全く新たな分野のことにもチャレンジしやすい」。

そして2つ目の理由がプロジェクトに参画した企業とともに事業成長できるため。ワークスが単独で成功すれば自社の技術と業績は伸びる。しかし連携して挑戦すれば参画する全ての仲間がレベルアップし事業も伸ばせる。次々とプロジェクトを企画すれば日本のものづくりの競争力の底上げに貢献できる。
微細精密なガラスMLAは自動車のヘッドアップディスプレイやヘッドライト、小型のプロジェクター、ウェアラブルなど幅広い分野で需要が急拡大すると見られている。ワークスは5年前、ガラスMLAの需要を30億円と予想していたが、少なくとも400億円の市場に拡大すると見込む。
三重野社長が目指すのは世界で圧倒的なトップを走る技術にすること。「いずれガラスMLAを用いた製品の企画・開発にもチャレンジしたい。中国や台湾、欧州、北米など世界のライバルを大きく突き放し、世界をリードする製品開発でなくてはならない技術を確立したい」(三重野社長)。
会社概要
- 本社:福岡県遠賀町虫生津1445
- 電話:093・291・1778
- 代表者:三重野計滋氏
- 創業:1991年
- 従業員:60人
- 事業内容:レンズの金型や精密微細部品の製造・販売。
金型新聞 2024年6月10日
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