金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

01

新聞購読のお申込み

小出製作所 海外企業との提携でギガに挑む【特集:ギガキャストの現在地】

ドイツ企業と業務提携、ギガ金型の技術を学ぶ

まだ日本国内では、ギガキャスト向けの金型を設計製作した金型メーカーはいない。そこで、ギガ向けの金型で先行する海外企業のノウハウを取り込み、参入を狙うのが小出製作所だ。7月にはドイツのダイカスト金型メーカー、シェフラー社を中心とするSF Tooling Groupと業務提携した。

シェフラー社は欧州の自動車メーカーに、多くのギガ向け金型の導入実績を持つ。日本の自動車メーカーにギガ向けの金型の導入を狙いたい同社と、設計を中心とした製作ノウハウを吸収したい小出製作所の考えが合致した。

シェフラー社は小出井製作所に対し、日本の自動車メーカーにギガ向けの金型を導入する際のサポートや、導入後の日本でのメンテナンス拠点としての役割を期待している。小出製作所はそうした役割に加え「ギガ向けの金型で重要になるのは熱交換に関する技術とガス抜き技術。その機能の肝は金型設計にあるので、そのノウハウを吸収したい」(小出悟社長)という。

とはいえ、ギガ向けの金型をサポートするには大型の設備も必要になる。現在は実績がないため、大幅な投資はしていないが将来を見据え、設備の増強も検討している。

小出製作所の小出悟社長とシェフラーツーリングのジークフリート・ハインリヒ氏

長崎工場にギガ向け金型の型合わせができるように大型のダイスポッティングの機能を持つ設備を調査しているという。また、「できる限り早いタイミングで、荷重能力60t超のクレーン設備の導入も検討したい」としている。

小出社長は「日本でのギガ向け金型はさまざまな制約から発生しないと考え、製品設計にて分割されメガキャストが主流となる。中国のように1万トン以上の設備は存在できない」と話す。しかし「大型のダイスポやクレーンは、従来の型づくりにおいても十分に活用できる」とし、今後の動向を見ながら、投資を検討する。またマシニングセンタなど、自社だけで不足する能力については、近隣の大型プレス金型メーカーなどとの協業も検討していくという。

会社概要

  • 本社:静岡県磐田市森本1045
  • 電話:0538・37・1147
  • 代表者:代表取締役社長 小出悟氏
  • 創業:1972年
  • 従業員:87人
  • 事業内容:ダイカスト用金型(小型~大型)、鋳造用金型

金型新聞 2024年9月10日

関連記事

【特集:技能レス5大テーマ】3.研削加工

誰でも高精度な研削 金型づくりで欠かせない研削加工。仕上げに近い工程のため、熟練技能を必要とする領域は多い。しかし近年、長年培った経験やノウハウを持っていなくても高精度の研削加工ができる機械や装置などが登場している。人手…

寿原テクノス ガス抜きや冷却技術開発【特集:ダイカスト最前線】

エンジンやステアリング部品など鋳造800~1250tクラス(最大2500tまで)を得意とするダイカスト金型メーカーの寿原テクノスはダイカストの課題を解決する新たな金型技術を次々に発表し、ダイカスト製品の高品質化やサイクル…

DMG森精機 太陽光発電の導入を加速

DMG森精機は電力需要の変動や燃料問題に西遊されない長期にわたる安定電源の確保に向けてグローバルで太陽光発電システムの導入を進める。グループ最大拠点の伊賀事業所(三重県伊賀市)では第2期分約5200kWの発電を開始し、2…

リョービ、新田真部長インタビュー 解析駆使し開発期間短縮【特集:ダイカスト最前線】

金属3D積層で水管自在 リョービはダイカスト金型の開発で、ダイカストプロセス解析技術の向上や、金属3D積層埋め子(入れ子)の活用を進めている。金型の設計・製作期間を短縮し、またギガキャストなど次代の製品の金型を開発にも活…

ギガキャストや電動化、競争力のコアは内製【特集:自動車メーカーの金型づくり】

トヨタ自動車の豊田章男社長(現会長)が「自動車業界が百年に一度の変革期にある」と指摘して早5年。ここにきて、自動車メーカーの変化が加速してきた。トヨタは、大型アルミ部品を一体成形する「ギガキャスト」に参入すると発表。全個…

トピックス

関連サイト