金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

14

新聞購読のお申込み

伊藤製作所 プレス加工ラインを新設

車載・電子部品に対応

プレス金型やプレス加工を手掛ける伊藤製作所(三重県四日市市、059・364・7111)はプレス工場を増設し、新たに受注した車載・電子部品に対応する順送プレス加工ラインを新設。プレス加工から洗浄、検査まで自動化することで省人化を図ると共に、品質の安定化につなげる。土地や建物、これらの設備を含め総投資額は8億円で月産34万個を予定。2029年3月期には現状比3割増の売上高85億円を目標に掲げる。

プレスから梱包まで自動化

増設したプレス工場は敷地面積1470㎡のうち、プレス棟640㎡、倉庫棟730㎡で、生産するのは放熱に関連する次世代部品。導入したラインはアマダプレスシステム製のコイル台車付きレベラフィーダ、アイダエンジニアリング製プレス機(250t)、高橋金属製の洗浄装置で、今年4月にはファナックのスカラロボット2台と多関節ロボット2台、キーエンスの画像測定器を導入。ロボットを活用しながらプレス加工、洗浄、検査、梱包工程まで自動化ラインを構築。従来、検査工程などは複数の担当者を必要としたが、自動化ラインで省人化を図る。「人手不足の常態化で自動化の重要性は一層高まっている。また、車載・電子部品はアルミ製でキズが付きやすい。自動化ラインにすることで部品同士の接触をなくし傷や打痕もなく品質の安定化につながる」と伊藤竜平社長。今後は部品搬送にAGF(無人搬送フォークリフト)導入も検討している。

同社は次世代部品の受注を目指すため、22年に金型部門を集約したテクニカルセンタを開設し、材料試験を行う機器やCAE解析ソフト導入など、開発案件を受注できる体制を整えてきた。さらに、IoTを活用し、設備の稼働状況を可視化する「プレスリモートモニタリングシステム(PRMS)」を自社開発。今回の自動化ラインにも導入し、異常時に自動停止する仕組みを設け、問題の早期発見・解決に結び付ける。伊藤社長は「今後の技術開発のテーマは『放熱』。次世代自動車に求められる電気や放熱関連の知識を蓄え、これまでプレス加工では難しかった部品に対し、プレス技術と新たな付加価値で受注獲得を目指す」と語った。

金型新聞 2025年3月10日

関連記事

武林製作所 千田氏がなにわの名工、山中氏が八尾ものづくり達人

加工効率高める金型設計 歯ブラシのプラスチック金型を手掛ける武林製作所(大阪府八尾市、072・998・1207)の技術者、千田雄一氏と山中慎也氏はそれぞれ2024年の「なにわの名工」(大阪府)と「八尾ものづくり達人」に選…

谷ダイ・モールド 精度追求のために新工場 【特集 攻める設備投資】

機上計測で戻りない加工 自動車のエアコンの吹き出し口の「レジスター」や、ミリ波レーダーを透過できるエンブレムなどのプラスチック金型を手掛ける谷ダイ・モールド。2023年に機械加工専用の第2工場を稼働させた。狙いは「工場が…

不二精機 鈴鹿に成形工場

EV部品を研究開発 不二精機(大阪市中央区、06-7166-6820)は、三重県鈴鹿市に成形工場を新設する。自動車部品を手掛けるティア1と協業し、電気自動車(EV)向け部品を研究開発する。2022年4月にも開設する。 新…

ウチダ 肉盛り溶接を自動化【金型の底力】

超ハイテンと大型化技術極める 1・5Gpaクラスまでの超ハイテン材向けのプレス金型を強みとするウチダ。このほど新日本工機と共同で、金型の最終調整に必要な肉盛り溶接工程の自動化を実現した。狙いは「溶接に関わっていた技能者を…

ファベスト 自動化、デジタル化で金型のライン生産目指す【Innovation〜革新に挑む〜vol.3】

フロントピラー、ドアサッシなど自動車を構成するインナー部品向けプレス金型を手掛けるファベスト(群馬県太田市、0276・33・7001)。荒から仕上げまでほぼ全ての工程でMOLDINO(モルディノ)の工具を使用する同社は、…

トピックス

関連サイト