金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MARCH

31

新聞購読のお申込み

【金型の底力】カワマタ・テクノス 顧客深耕と成形事業を強化

顧客深耕と成形事業強化
事業承継に未来図

川又重雄社長(左)川又祐貴次長(右)

 ゴム金型の製造から成形まで手掛けるカワマタ・テクノスは事業承継を進めるため、事業改革に取り組んでいる。高い金型技術と成形を知る強みを活かし、既存顧客へのコンサルティング活動を強化。昨年は成形事業の質を高めるために、検査体制の自動化などに1・4億円を投資した。後継者育成では明確なロードマップを作成するなど、次世代の経営基盤づくりを進めている。

精密加工をした自転車のチェーンはφ0・06㎜

 事業承継で悩む金型メーカーが多い中、同社ではスムーズに承継するため、計画的に事業基盤の強化と後継者育成を同時に進めている。

 事業基盤強化の一つが、金型と成形を熟知する同社ならではのコンサルティング業務。例えば精度に不満足なユーザーには、金型だけでなく、成形機のたわみを見直すためにプレートを使った治具や、時には成形機の入れ替えまで提案する。錆の発生し易い素材を使う顧客には材料選定から助言する。全ては「次世代でも引き続き、お客様に満足してもらうため」(川又重雄社長)だ。

 こうしたことができるの高い金型技術と組織力があるからだ。特に加工精度には定評がある。熱硬化性ゴムは成形時に金型に入り込むため、ゴム型ではエア抜きが不可欠。旋盤で削った丸型の入れ子に、マシニングセンタでエア溝を切る必要がある。同社では、100個単位の入れ子全て1000分台で溝を切るという。

顧客に品質向上の提案も
検査の自動化などに1・4億円を投資

 独自の組織体系も高い生産性を支える。同社では4人の責任者が自ら顧客を持ち、打合せ、設計、機械加工を全て担う。それを支える共有組織として、旋盤と放電部隊がある。責任者は機械をセットした間に設計や打合せをこなす。かたや旋盤や放電も4人からの仕事がひっきりなしに来る。現場では「誰も遊んでいない」ため、生産性は高い。

 もう一つ次世代に向け強化するのは成形事業。「EV化など技術の進化で金型が減る可能性だってある。将来に備え、今のうちに成形事業の質を高め、経営の安定化につなげる」(川又社長)。

 それを担うのが、後継者の川又祐貴次長。現在同氏が主導して手掛けるのは検査体制の自動化。成形品を撮像し、合否判断を自動化するとともに、離れていても確認できる仕組みを構築中だ。昨年は検査装置や、その他の分野に1億4000万円投資した。祐貴次長は「できるだけ早くに形にしたい」とう。事業承継の次の段階が待っているからだ。

 川又社長は後継を決めた5年前に、第4段階からなる独自の育成ロードマップを作成。現在はその第2段階。検査体制を立ち上げた後に、祐貴次長は数字管理を担当する第3段階に移る予定だ。

 川又社長は言う。「継承を受けた時から本当の『社長』になるには時間が掛かった。社長になった瞬間から走れるほうがいい」。顧客との関係強化と成形事業の安定化、そして事業継承のロードマップ—。明確な意思を持って次世代に向けた準備を着実に進めている。

  • 本  社 :  茨城県つくばみらい市台1056–1
  • 電  話 :  0297-52-6195
  • 代 表 者 :  川又重雄社長
  • 創  業 :  1972年
  • 従 業 員 :  67人
  • 事業内容 :  ゴム金型の設計製造、ゴム部品の成形

Q.人材育成で何に取り組んでいますか

イメージさせること

 作っている部品にどんな性能が求められるのか、常にイメージするように言っています。それを理解していれば、その部位の精度がなぜ必要なのかと考えます。機械加工も同じ。最適な切粉の出方、刃物の摩耗をイメージする。最適条件で削れば音は安定します。今はそれが徹底できているので(キチンと削れていなくて)変な機械音を出すと誰かが「うるさい」と声を出すほどです(笑)。

金型新聞 2021年1月10日

関連記事

I‐PEX 小西常務が社長にI‐PEX

I‐PEX(京都市伏見区、075・611・7155)は3月28日付けで小西玲仁常務が社長に就任した。土山隆治社長は退任した。 小西玲仁氏は1971年生まれ、京都市出身。96年第一精工(現I‐PEX)に入社。2018年執行…

ソディック ポンプにインバータ搭載 電気使用量最大5割減【特集:放電加工〜最新技術はこう使え〜】

省エネ効果を大幅向上 ソディックはワイヤ放電加工機、形彫放電加工機の省エネ機能を強化している。放電加工液の循環などに使うポンプにインバータを搭載。非稼働時間にポンプを動作させないことなどにより、従来機種に比べ、約5割の電…

松村精型 見積効率化や戻りない金型づくり【特集:デジタル活用術】

作業を細分化し、デジタル管理 低圧鋳造やダイカスト金型を手掛ける松村精型は、加工や設計などの作業単位を細分化し、コード化して管理している。作業ごとの分析や改善を徹底し、手戻りのない金型づくりを進めるほか、コードに製造コス…

豊洋エンジニアリング T・D・Cモールドに社名変更

プラスチック射出成形用金型メーカーの豊洋エンジニアリング(福岡県遠賀町、093-293-0114)は4月1日、「T・D・Cモールド」に社名を変更した。創業から30期目を迎えるのを機に、精密金型や微細加工を得意とする企業の…

日本精機 AM技術でギガに挑む【特集:ギガキャストの現在地】

ソディックと共同開発、大型3Dプリンタを導入 AM技術を武器にギガキャスト向け金型で需要開拓を狙うのが、ダイカスト金型メーカーの日本精機だ。まずは、高い熱交換機能が求められるギガ向け金型で、AMで造形した入れ子部品の採用…

トピックス

関連サイト