金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JUNE

24

新聞購読のお申込み

【金型の底力】いがり産業 ユーザーが必要な金型を

ユーザー視点の型づくり
樹脂とプレス技術の融合

成形メーカーだった、いがり産業が金型製作に着手したのは2004年。10年以上経て、今や金型の外販が売上の7割以上を占めるまでに成長した。成形メーカーという利点と生かし、ユーザーの視点に立った金型づくりが評価されてきたためだ。一昨年にはプレス部品メーカーのムロコーポレーションのグループ企業となり、プレスと樹脂技術の融合を図るなど次なるステージを目指す。

猪狩  崇社長

創業は1948年。養鶏事業からスタートし、その後カッパなどビニール加工事業に参入。70年代後半、創業者の弟でもある、イガリモールド(現キヤノンモールド)の社長が地元茨城に戻るのに合わせ、成形を始めたのが今の事業の源流だ。

ハイブリッドマテリアルギア
金型を始めた頃手掛けた鏡筒用金型

その後、兄弟で金型と成形を分業するという形で順調に成長。別会社ながら、当時は金型から設計まで手掛ける企業は珍しかったことに加え、カメラやCD、携帯電話など樹脂部品の需要増に合わせて、業容を拡大した。

しかし、2004年にイガリモールドがキヤノングループになったことで、急変。「これまでと同じという訳にもいかず、金型の内製をせざるを得なくなった」(猪狩崇社長)。ゼロから金型づくりに着手した。

アドバンテージだったのが、補正技術を持っていたことや、他社の金型に触れる機会が多かったこと。当時主力であったカメラ用レンズ鏡筒部品は要求精度も10μmと厳しく金型の補正が必須であったという。「社内で金型と成形品を計測して、補正するノウハウを持っていたことがユーザーに認められた」という。また「成形メーカーとして、同業他社の金型を使っていたので、いろんな金型の設計や構造を学ぶことができた」。

だが、自身はイガリモールドで修業していた時もあるとはいえ、加工は素人集団。「5年は本当に苦労したし、金型単独の黒字化は10年掛かった」。

しかし、現在は売上の型売りが7割になるほど成長している。その理由について「ユーザーの視点で金型を作っているからだと思う」と分析。「ガス抜きや冷却、メンテナンス性など成形メーカーだから、ユーザーがどんな型が必要かよくわかる。しかも成形部門で量産性を担保して、出荷することが強み」と話す。輸出される金型が多いのも、その信頼性からだろう。

金型参入15年で設備を充実

このように、金型と成形の総合的な提案を強みとしてきた同社だが、大きく変化する事業環境の中で個人経営から組織経営へ移行し会社の更なる成長を目指すため、19年にJASDAQ上場企業のプレスメーカーであるムロコーポレーションのグループに入った。猪狩社長は「叔父の決断(キヤノンによるイガリモールドのグループ化)を見なければ選択しなかったかもしれない」と話すが、補完関係にある両社によるシナジーは大きい。

ムロコーポレーションは樹脂のノウハウを取り込み、自動車メーカーに対し、マルチマテリアル化を提案する。いがり産業もプレスを含めたインサート部品を強化する考えで、成形と金型と同じように、今後はプレスと樹脂技術の融合で次なるステージを目指す。

会社概要

  • 本社  :  茨城県笠間市中央1-7-25
  • 電話  :  0296-77-0151
  • 代表者 :  猪狩崇社長
  • 創業  :  1948年
  • 従業員 :  113人
  • 事業内容:  プラスチック成形、射出成型用の金型の設計製作、バックライトユニットの設計製作、ビニール製品加工など。

Q.人材育成で何に取り組んでいますか

経験を積ませ続けること

最近痛感しているのは、モノを作らないとノウハウの蓄積はなくなるということ。久しぶりに受注した仕事があったのですが、我々は当たり前と思っていたことが、若い世代はできなくなっている。それは経験していないからだと思う。経験があってこそノウハウは蓄積されていく。だから、経験を積ませるために必要な仕事は積極的に受注しようと言っています。

金型新聞 2021年7月10日

関連記事

企業と学生つなぎ交流の場をつくる 鳥飼祐介氏(経済産業省企画調整係長)【鳥瞰蟻瞰】

素形材産業の人手不足は、業界共通の課題です。製造業全体の平均から見ても、求人倍率が高い傾向にあります。中途採用や外国人労働者に頼り、人手を確保している企業が多い。 しかし、人手を確保できれば誰でも良いわけではありません。…

この人に聞く2015<br>天青会(金型工業会東部支部)<br>小泉 秀樹会長(ペッカー精工社長)

この人に聞く2015
天青会(金型工業会東部支部)
小泉 秀樹会長(ペッカー精工社長)

金型以外にも視野 原点から新たな発見  日本金型工業会東部支部天青会の会長に今年5月、就任した。「原点に立ち返って、色々な視点から根本を見直せるような活動をしていく」と今年度のテーマに「原点回帰」を掲げる。  天青会に入…

日本金型工業会 魅力度WGリーダー 平岡良介氏に聞く【特集:日本金型工業会第14回定時総会】

ラジオ、YouTube、インスタ、金型フェス 「魅力度WG」が取り組むのは、金型の魅力を世の中に発信すること。その主なターゲットは工学系の大学や工業高校の学生です。金型に興味を持ち、金型業界で働いてみたいと思う学生を増や…

金型磨きロボット開発<br>近畿大学・理工学部 原田 孝教授

金型磨きロボット開発
近畿大学・理工学部 原田 孝教授

パラレルで力制御、高速・高精度  金型を自動で磨くロボットはかねてから望まれ、機械メーカーや研究機関が開発に挑んできた。近畿大学理工学部の原田孝教授もそのひとり。昨年、パラレルリンクやDDモータにより微妙な力加減を緻密に…

倉敷機械 1台で複数加工がこなせる機械、金型加工の効率化を実現

工作機械メーカーの倉敷機械は、金型加工の効率化を実現する機械の提案を強化している。 今年1月には5軸マシニングセンタ(MC)に横中ぐり機能を搭載した「KTR‐1200」を発売。この新型は中ぐり主軸を繰り出すことで、特殊工…

トピックス

関連サイト