魅力ある組織でなければ人は集まってきません。東北金型工業会をより魅力ある団体にするために、会長就任後すぐに、3つの分科会を作りました。若手が中心となって積極的に参加してもらい、勉強会などを通じ、メリットや魅力を感じてもら…
社名変更し、再出発 黒田克典氏(プロテリアル 特殊鋼事業部 工具鋼部長)【この人に聞く】
プロテリアル(東京都江東区)は今年、日立金属から社名を変更し、新たな歴史に向けて再出発した。4月には金属材料と機能部材の2事業本部から特殊鋼、電線、自動車部品など9事業部に移行し、組織体制を強化。意思決定の迅速化など組織にスピード感を持たせ、加速度的に変化する市場環境に対応する。金型材を扱う工具鋼部ではどんな取り組みを進めるのか。黒田克典部長に聞いた。
金型の大型化に対応
組織体制を変更した狙いは。
組織にスピード感を持たせるためだ。自動車の電動化などによって、当社を取り巻く市場環境は急速に変化している。そうした中で、より迅速かつ柔軟に対応できる体制が必要だと考えた。
工具鋼部を取り巻く市場ではどんな変化が。
工具鋼は自動車関連が多くの需要を占める。自動車産業では今、電動化や自動運転などによって、ものづくりが大きく変わろうとしている。その一つが、軽量化を図るために自動車の構造部品を鉄からアルミに置き換える動きだ。こうした動きに伴い、今後、金型も大型化が進む可能性がある。
どう対応するか。
ニーズに合った製品を開発している。その一つがダイカスト金型用鋼「DAC‐i」。焼入れ性が良く、熱処理した後の靭性が高い汎用材で、大型化にも対応する。また、より性能の高い「DAC‐X」はモータケースやヒートシンクなどの複雑な形状が要求される電動化部品の金型に適している。
アルミダイカストで車体を一体成形する「メガキャスト」の需要が高まっている。
需要を取り込むために、熱処理も含めたインフラ強化に取り組んでいる。海外拠点では熱処理設備の更新や増強などを行っている。国内は今後の動向を見極めながら対応していく。
ダイカスト用鋼以外で注力しているのは。
冷間ダイス鋼「SLD‐f」だ。金型としての耐久性を維持しながら、被削性を格段に向上させた材料で、生産性向上に大きく貢献する。自動車の開発領域が多岐に渡っている中、リードタイムの短縮、製造コストの削減は大きなメリットにつながると考えている。
金属AM(付加製造)技術はどうか。
粉末開発や用途開発に注力している。今年5月には高硬度マルエージング鋼粉末を開発した。一般的なマルエージング鋼が54HRC程度に対し、60HRC程度の硬度を得ることができる。また、用途開発では金型補修などの技術開発も進めている。
工具鋼部が目指す今後の方向性は。
品質、納期でより良いものをお客さまに提供していくことに変わりはない。“ヤスキハガネ”ブランドをこれまで以上に多くの人たちに使ってもらい、さらなる成長を目指す。
金型新聞 2023年9月10日
関連記事
ラティス構造を採用し、材料費と造形時間を削減 自動車関連を中心に6000品目を超える樹脂成形部品を生産する三光化成。ソディックの金属3Dプリンタ「OPM350L」を活用し、水とエアを冷却媒体として活用する「ハイブリッドコ…
三井精機工業(埼玉県川島町、049-297-5555)が、金型分野に注力している。今春、新型の微細加工機と、ジグ研削盤を発売。今後需要の拡大が期待される電気自動車(EV)や電子部品関連の金型加工向けを中心に売り込んでいく…
「徹底したプロ志向を目指した」と語るのは、日本精密機械工作の伊藤俊介社長。このほどハンドグラインダー、「リューターフレックス極 LF‐300」を発売した。 「LF‐300」は、同社の過去の人気商品「リューターフレックス」…
システム会社立ち上げた金型経営者 クラシック音楽事務所の営業から父親が創業した鋳造・ダイカスト金型メーカーに転職。会社を受け継いだ後、工程管理を手掛けるシステム開発会社を設立した。異色の金型経営者だ。 入社した当初は…