この人に聞く 金型の社会的価値訴え 「日本の金型業界にとって今は変化の時期だが、チャンスでもある」と話すのは、日本金型工業会の東部支部長に就いた鈴木の鈴木教義社長。好機なのは、金型の高度化が進み日本のメーカーしかできな…
経産省素形材産業室 星野昌志室長が語る「素形材産業ビジョン」に込めた思い
経済産業省は3月28日、金型を始めとした日本の素形材産業が今後進むべき方向性についてまとめた「素形材産業ビジョン」を12年ぶりに公表した。3代目となる2025年版ビジョンでは、日本の素形材産業の現状や課題をまとめ、2040年に向けた具体的な数値目標を設定したほか、政府や産業界が取り組むべきテーマを整理した。同ビジョンを取りまとめた経産省製造産業局素形材産業室の星野昌志室長に、ビジョン策定の背景や今後の展開などを聞いた。

北海道出身。1996年上智大学卒業後、通商産業省(現経済産業省)入省。2019年国際再生可能エネルギー機関、21年資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部国際室長、23年現職
前回から環境変化は。
大きく変わったのは、「GⅩ」「DX」「経済安全保障」。日本の製造業にとってこの3つが成長戦略の柱となった。これらに加え、素形材産業では自動車産業依存がさらに進み、海外需要の取り込みや人材不足、取引適正化などの課題が深刻化している。
ポイントは。
これまでと異なるのは初めて具体的な数値目標を設定したこと。ビジョンを作るだけでなく、みんなで目標を認識し業界や企業の行動変容につなげたいという狙いがある。3年ごとにアンケート調査などフォローアップを実施するなど成果を確認できるような仕掛けづくりも行った。
3つの目標を掲げた。
今回のビジョンの究極の目的は「稼ぐ力」を強化すること。そのために必要な目標が「需要先」「海外展開」「新技術」の3つ。航空宇宙や医療など高付加価値分野の需要先比率を3割から5割に拡大する。約3割にとどまる海外展開比率を5割に引き上げ、海外需要を取り込む。金属積層造形市場の世界シェアを現状の数%から世界トップレベルの2割に高める。これらが達成できれば、今後も日本のものづくり拠点としての機能は維持、強化されると考える。
金属積層造形の国家戦略に言及があった。
世界シェア2割を目指すには具体的なロードマップが必要。どこに投資し、どのように人材を育成していくか。今後、有識者を交えて40年に向けた具体的なビジョンを策定していく。産学官連携の強化や地方拠点の支援が必要と考えている。
目標達成に向けて必要な取り組みとは。
「GX、資源循環」「経済安全保障」「取引適正化」「DX、標準」「情報発信力、人材育成」「経営力、海外展開」「技術力」の7つ。これらは相互に関係しており、例えば「DX」については、CO2排出量の見える化といった「GX」のための「DX」もあるし、SNSなどのデジタルツールを活用した情報発信もある。金属積層造形などの新しい技術の導入にもデジタル化は必須だ。「DX」をいかに進めるかも目標達成の鍵になると思う。
企業事例も公開した。
前向きな挑戦を行う素形材企業50社をまとめた。行動変容に向けて実際どう取り組むのか悩む企業は多いと思う。こうした実例を見て、参考にしてほしい。
今後の展開は。
このビジョンを踏まえて、金型産業を始め素形材業界の変革につながること。そのためには、各業界で、ビジョンに魂を込めるような取り組みが一つでも多く生まれることを期待したい。そうした挑戦を国としても一緒になってできる限りのサポートをしていきたい。
金型しんぶん2025年5月10日号
関連記事
金型のレーザー肉盛り溶接を手掛けるキューシボは、出力1200ワットのファイバーレーザー溶接機を導入した。金型に加え、産業用タービン(ロータ)などの肉盛り溶接も始める考えだ。 導入したのは独アルファレーザー社の「ALFla…
新しい市場ニーズに対応 ダイカストマシンメーカーのヒシヌママシナリー(埼玉県嵐山町、0493・62・3311)は昨年11月、菱沼慎介常務が社長に就任した。同社はマシンだけでなく、自動化装置や金型温調機などの周辺装置も含め…
セラミックスや焼結機械部品、超硬合金の刃先交換用チップ。これらは粉末にした材料を金型に入れ、成形機で押し固めた後に焼結する「粉末冶金」によって出来上がる。 従来の粉末成形は、成形体の外周に凹凸がついた形状の成形が難しく、…
プレス加工メーカー3社を傘下に持つ新栄ホールディングス(東京都中央区、03・5843・6096)は昨年8月、傘下のアポロ工業(埼玉県吉川市)の金型部門を切り離し、アポロ技研(同)を設立した。金型の設計、製作に加え、メンテ…


