金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

07

新聞購読のお申込み

「微細加工分野に注力」GFマシニングソリューションズ社長・ローラン・キャステラ氏

放電加工機やマシニングセンタ(MC)、自動化システムなどを手掛けるスイス・GFマシニングソリューションズ。今年1月、日本法人(東京都品川区、03-5769-5010)の社長にローラン・キャステラ氏が就任した。今後、金型メーカーを始めとした日本の加工現場にどんなソリューションを提供していくのか。キャステラ社長に日本市場について、注力する取り組みなどを聞いた。

ローラン・キャステラ氏
1966年生まれ、スイス・フリブール州出身。1990年フリブール大学卒業後、シャルミー(現GFマシニングソリューションズ)に入社。1991年に来日し、7年ほどサービスや消耗品販売に従事。台湾や中国の現地法人の責任者を経て、2019年に再来日、22年1月日本法人社長に就任。

自動化を積極的に提案

日本の市場について

昔に比べて日本の市場規模は縮小した。大量生産のための工場が減ったことが要因だろう。一方日本は技術レベルが高く、微細金型などハイエンドな金型を作ることができる。今後はこうした日本でしかできない金型が残っていくと思う。

日本の課題は。

スピードだ。他のアジアの国は常に最新の機械を導入し、自動化を進め、日本よりも早くものを作ることができる。日本はまだまだ人手に頼っているところが大きく、いまだに古い機械と古いプロセスでものづくりを行っている現場が少なくない。機械は常に進化し、能率も向上している。新しい設備への設資は競争力の強化につながるはずだ。

注力することは。

微細加工分野に注力したい。今後、医療や電子、半導体関連など、小さくて難しい部品の需要が増えていくとみている。こうした付加価値の高い分野を探して提案していきたい。

どんな機械があるか。

微細レーザー加工機「マイクロルーション」がその一つ。フェムト秒レーザーで±0・1μmの加工精度を実現する。微細な穴あけ加工や複雑で精密なテクスチャリング加工が可能だ。また、レーザー技術を使った金属3Dプリンタもこれから伸びる技術だと考えている。その他5軸MC「ミクロン」も微細加工分野で実績を重ねており、今後も提案していく。

微細加工以外には。

自動化提案だ。日本で自動化を導入している現場はまだ少ないと感じる。当社の強みは機械、自動化システム、ツーリングをワンストップで提供できることと、どのメーカーの機械でもつなぐことができること。自動化システムやツーリングのブランド「システム3R」の製品を中心に、今後もっと日本の金型メーカーに自動化ソリューションを紹介したい。

海外メーカーはサービスが課題とされている。

今年からサービスパートナーと協力して新たなサービス体制を構築する。これまで以上に迅速な対応が可能になるはずだ。サービスパートナーは今後、徐々に各地区に展開していく。

自身のミッションは。

日本市場で差別化を図るには、加工難度の高い分野や高度な加工技術など、日本の機械メーカーの一歩先を行くようなソリューションを提案していかなければならない。私の役割はそのための戦略を会社にもたらし、チームを引っ張っていくことだと考えている。

金型新聞 2022年8月10日

関連記事

明星金属工業 上田幸司社長に聞く CO2削減に取り組む理由【特集:カーボンニュートラルに向けたはじめの一歩】

自動車のプレス金型を手掛ける明星金属工業は、工場のエア効率化や照明のLED化などにより16年間でCO2排出量を18・5%削減した。カーボンニュートラルへの取り組みを推進する上田幸司社長は「CO2削減に取り組むことで無駄な…

伊藤清光さん 進取の精神で取り組む現代の名工【ひと】 

セラミックスや焼結機械部品、超硬合金の刃先交換用チップ。これらは粉末にした材料を金型に入れ、成形機で押し固めた後に焼結する「粉末冶金」によって出来上がる。 従来の粉末成形は、成形体の外周に凹凸がついた形状の成形が難しく、…

【この人に聞く】ヨロズ会長・志藤昭彦氏「金型や生産設備の外販を事業の一つに」

 サスペンションやリヤビームなど自動車用プレス部品を手掛けるヨロズは2023年をめどに、プレス金型の生産能力を年1600型から2400型の1.5倍に引き上げる。生産増強に合わせて、金型を中心に生産設備の外販を始める一方、…

大垣精工 代表取締役専務 松尾  幸雄氏「新しいことに挑戦することが技術の向上につながる」

経験による予測が不可欠若い人は好奇心旺盛であれ新しいことに挑戦して 日本の金型はますます難易度が高くなる一方、若手が基礎を学び、簡単なことから経験し、成長していく土壌が失われつつあります。だからこそ、過去の経験や技術を伝…

黒田彰一氏(黒田精工元社長) 死去

日本金型工業会の会長など歴任  日本金型工業会や国際金型協会(ISTMA)、アジア金型工業会協議会(FADMA)の会長などを務め、日本のみならず世界の金型産業の発展に貢献し続けた黒田彰一氏(黒田精工最高顧問)が9月30日…

トピックス

AD

ジーエルサイエンス 0.1μmの超薄膜コーティング「InertMask」の適用効果〈AD〉

ジーエルサイエンスでは、離型性が高い超薄膜コーティング「InertMask」の用途開発を行っている。元々、分析技術の精度向上などを目的に開発したコーティングだったが、開発品の評価... 続きを読む

関連サイト