金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

02

新聞購読のお申込み

【鳥瞰蟻瞰】スワニー 社長・橋爪良博氏 一気通貫の体制で生産性向上

分業せずに生産性向上
一人で開発から製造まで
育成には失敗できる環境が大事

大企業に限らず日本の製造業の多くが分業でものづくりを行っています。複数の人員が役割を分担して行う分業という仕組みは、効率良く生産するための有効な手段として古くから用いられてきました。ただ、全ての企業にとってそれが有効かというと必ずしもそうとは限らないと思います。

私はスワニーの代表に就任するまでの十数年間、大手メーカー数社で設計を担当していました。そこでは分業が徹底されていたのですが、全体が見えず社内コミュニケーションに多くの時間を取られていました。大企業であればこのやり方でも生産性を上げることができるのですが、小規模な企業ではそうはいきません。

当社は現在従業員14人で、製品設計や部品試作、金型製作、小ロット生産などを手掛けています。この会社でどれだけ生産性を上げることができるか。小規模な企業ならでの方策として考えたのが、従業員一人ひとりが一気通貫で開発・製造を行う体制でした。

現在、当社では1人の従業員が試作から量産まで設計・製造・出荷を担当しています。一般的に受注すると設計や製造が打ち合わせを重ねながら試作、量産と進めていきますが、当社の場合は全て担当者1人が責任者として進めていくため、課題への対策検討や改善対策など全てにおいて対応がとにかく早い。成形品にもよって変動しますが、通常3~5週間かかるところ、当社なら最短1日で試作品を作ることができます。

また、こうした体制は生産性を上げるだけでなく、従業員の技術力の向上にもつながります。1人で仕事を進めると、途中で失敗しても、どんどん修正し、何度も繰り返すことができ、これが一人ひとりのノウハウや経験になるからです。

そして、ここで大事になるのが、いかに失敗できる環境を作るかということです。よく「たくさん失敗しろ」という話を聞きますが、実際に失敗できる環境にある会社は少ないと思います。高額な設備、厳しい納期、関わる人員の多さなど、失敗するにはあまりにもリスクが大きい。当社ではこうしたリスクを極力減らす工夫をしました。

その一つが設備のハードルを下げることです。対話式のCAM、導入しやすい価格でコンパクトかつ取り扱いが容易なマシニングセンタや射出成形機など、誰でも簡単に、そして気軽に扱える設備を導入し、どんどん挑戦できる環境を整えました。

また、デジタルツールの活用も積極的に進めました。3DCAD/モデリングソフトや3Dプリンタなどのデジタルツールは、コミュニケーション能力が高く、専門知識のない人とでもやり取りがしやすいという利点があります。加えて、デジタルデータを活用することで迅速に試作品としてアウトプットしたり金型に展開したりもできます。これらの取り組みによって、早い段階で失敗と修正を繰り返すことができるようになっています。

今、海外製品との競争激化や市場変化などによって、日本でものづくりを行う意義が改めて問われています。一人ひとりが一気通貫でものづくりを行うことができれば、工程全体を見て最適化が図れ、まだまだ日本の競争力を高めることができると考えています。当社では、「メイド・イン・ジャパン」を再構築すべく、さらに独自のものづくりに取り組んでいきます。

金型新聞 2021年9月10日

関連記事

動き出す 「メガキャスト」、国内外で協業進め顧客の半歩先行く提案 米谷 強氏(米谷製作所 代表取締役社長)【鳥瞰蟻瞰】

当社は今年4月、同じ新潟県に拠点を構えるプラスチック金型メーカーの共和工業との協業を発表しました。主な目的は、電気自動車(EV)の車台やバッテリーケースなどを一体成形する「メガキャスト」向けの超大物金型の開発、製造です。…

コアコンセプトテクノロジー CTO 田口紀成氏に聞く
〜DXがなぜ必要か〜

 あらゆる業界で叫ばれているDX(デジタルトランスフォーメーション)。各企業には、デジタル技術を使い、ビジネスモデルや組織、働き方など会社そのものの構造を大きく変えていくことが求められている。金型業界も例外ではない。次代…

粉末冶金・プラ型メーカーを買収 F&Cホールディングス 藤巻秀平社長【この人に聞く】

プラットフォーマー目指す 鋼材商社の藤巻鋼材を中核とするF&Cホールディングス(名古屋市東区、052・972・611)は今年4月、粉末冶金や樹脂金型を手掛ける山崎TECH(大阪府枚方市)を買収した。さまざまな加工メーカー…

スペシャリスト<br>超硬材料 共立合金製作所

スペシャリスト
超硬材料 共立合金製作所

自動車の電動化に商機  「日本に残る分野に経営資源を投下していく」。そう話すのは「エバーロイ」ブランドで知られる、超硬材料メーカーの共立合金製作所の池田伸也超硬事業部長。同社が国内で伸びると判断するのは、①大型の超硬材料…

―スペシャリスト―ファム<br>±2ミクロンの要望に応える

―スペシャリスト―ファム
±2ミクロンの要望に応える

測定ゲージで未来拓く 高級自転車部品や自動車部品などの加工品質を検査するためのゲージを手掛ける会社がある。創業29年のファム。精密金型部品で培ったノウハウを生かし、ゲージも製作。超精密なゲージを安定して作れる技術力で、メ…

トピックス

関連サイト