金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

FEBRUARY

25

新聞購読のお申込み

【鳥瞰蟻瞰】スワニー 社長・橋爪良博氏 一気通貫の体制で生産性向上

分業せずに生産性向上
一人で開発から製造まで
育成には失敗できる環境が大事

大企業に限らず日本の製造業の多くが分業でものづくりを行っています。複数の人員が役割を分担して行う分業という仕組みは、効率良く生産するための有効な手段として古くから用いられてきました。ただ、全ての企業にとってそれが有効かというと必ずしもそうとは限らないと思います。

私はスワニーの代表に就任するまでの十数年間、大手メーカー数社で設計を担当していました。そこでは分業が徹底されていたのですが、全体が見えず社内コミュニケーションに多くの時間を取られていました。大企業であればこのやり方でも生産性を上げることができるのですが、小規模な企業ではそうはいきません。

当社は現在従業員14人で、製品設計や部品試作、金型製作、小ロット生産などを手掛けています。この会社でどれだけ生産性を上げることができるか。小規模な企業ならでの方策として考えたのが、従業員一人ひとりが一気通貫で開発・製造を行う体制でした。

現在、当社では1人の従業員が試作から量産まで設計・製造・出荷を担当しています。一般的に受注すると設計や製造が打ち合わせを重ねながら試作、量産と進めていきますが、当社の場合は全て担当者1人が責任者として進めていくため、課題への対策検討や改善対策など全てにおいて対応がとにかく早い。成形品にもよって変動しますが、通常3~5週間かかるところ、当社なら最短1日で試作品を作ることができます。

また、こうした体制は生産性を上げるだけでなく、従業員の技術力の向上にもつながります。1人で仕事を進めると、途中で失敗しても、どんどん修正し、何度も繰り返すことができ、これが一人ひとりのノウハウや経験になるからです。

そして、ここで大事になるのが、いかに失敗できる環境を作るかということです。よく「たくさん失敗しろ」という話を聞きますが、実際に失敗できる環境にある会社は少ないと思います。高額な設備、厳しい納期、関わる人員の多さなど、失敗するにはあまりにもリスクが大きい。当社ではこうしたリスクを極力減らす工夫をしました。

その一つが設備のハードルを下げることです。対話式のCAM、導入しやすい価格でコンパクトかつ取り扱いが容易なマシニングセンタや射出成形機など、誰でも簡単に、そして気軽に扱える設備を導入し、どんどん挑戦できる環境を整えました。

また、デジタルツールの活用も積極的に進めました。3DCAD/モデリングソフトや3Dプリンタなどのデジタルツールは、コミュニケーション能力が高く、専門知識のない人とでもやり取りがしやすいという利点があります。加えて、デジタルデータを活用することで迅速に試作品としてアウトプットしたり金型に展開したりもできます。これらの取り組みによって、早い段階で失敗と修正を繰り返すことができるようになっています。

今、海外製品との競争激化や市場変化などによって、日本でものづくりを行う意義が改めて問われています。一人ひとりが一気通貫でものづくりを行うことができれば、工程全体を見て最適化が図れ、まだまだ日本の競争力を高めることができると考えています。当社では、「メイド・イン・ジャパン」を再構築すべく、さらに独自のものづくりに取り組んでいきます。

金型新聞 2021年9月10日

関連記事

金型磨きロボット開発<br>近畿大学・理工学部 原田 孝教授

金型磨きロボット開発
近畿大学・理工学部 原田 孝教授

パラレルで力制御、高速・高精度  金型を自動で磨くロボットはかねてから望まれ、機械メーカーや研究機関が開発に挑んできた。近畿大学理工学部の原田孝教授もそのひとり。昨年、パラレルリンクやDDモータにより微妙な力加減を緻密に…

江口博保さん 研さん重ねる金型設計の熟練者【ひと】

自動車のフィックスドウインドウやクォーターウィンドウ。その成形コストや歩留まりを改善し、環境に配慮した金型も設計した。顧客製品設計の最終確認会にも出席しアドバイスする。それらが評価され、令和2年度「現代の名工」に選ばれた…

【鳥瞰蟻瞰】碌々産業社長・海藤満氏「優れた人材の発掘と育成が新たな世界の創出につながる」

重要なのは加工技術者 優れた人材の発掘・育成が、新たな世界の創出につながる  いまや我々の日常生活に不可欠なものとなったスマートフォンや極小な電子機器。これらは微細加工技術があったからこそ生まれました。ミクロンやナノとい…

リーダーの条件Part3
いま活躍するリーダーの心得

 新型コロナで需要が減速し、自動車の電動化で産業構造が変わるかもしれない。先の見通しにくい混沌とする時代に、リーダーはどういったことを心掛け、自らの指針としているのか。時代をリードに考えを聞いた。 伊藤製作所 伊藤 澄夫…

テラスレーザー 業務 広報チーム・稲葉  えいさん
女性技術者の魅力を発信する

レーザー溶接・金型補修機器メーカーのテラスレーザー(静岡県駿河区)に入社したのは2年前。企業の販路開拓支援などに携わっていた前職時代、製造業とも多く関わる中で「世の中は製造業がなければ成立しないということを肌で感じ、自分…

トピックス

関連サイト