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【金型の底力】フジイ金型 我が社は、金型という商品のメーカー

メーカーとしてのプライド
国内生産にこだわる

藤井寛達社長

ダイカスト用金型の専業メーカーであるフジイ金型。型締力800㌧までの金型に特化し、月平均25型以上の生産力を誇る。設計、製作、立ち上げ、修理と、試作から量産までトータルでサポートする。湯回りやダイカストマシンの改造、ダイカストメーカーと連携して量産請負も可能だ。主力の客先は自動車部品。エンジン周辺部品や電子部品など。一部、ガス器具部品用も製造している。

藤井寛達社長はじめ全社員に「我が社は、金型という商品のメーカーであり、積み上げてきた経験とノウハウを形に作り上げている」というプライドがある。

    ダイカスト ワークサンプル

「トライ1発合格、多くてもトライ2回。自社設計の金型には責任を持って立ち上げまでサポートする」という藤井社長。結果、量産立ち上がりまでのリードタイムが短く、金型ユーザーからの信頼も高い。「我が社の設計が原因で良い製品ができなければ、無償修理は当たり前。但し、設計データはご要望があってもお断りしている」と笑う。

ユーザー満足度の一層の向上に向けて、加工工程・加工方法の改革にも取り組んだ。5Sに加え、約7年前にCNP(チャレンジ・ニュー・プロセス)PJを立ち上げた。切削加工方法の革新をはじめ、納期短縮・品質向上に大きく貢献している。

一方、中国・昆山市に10年前に現地法人を設立。簡単な部品生産と組付を行う。金型設計と入子など基幹部品は日本生産に拘る。東南アジアやインドなどの自動車生産工場からの受注窓口としても期待が拡がる。

      設計に注力・強化

藤井社長は、2012年に社長に就任。「最新設備を、効率よく、最高の技術で使いこなす」ために、設備投資は好不況に関係なくコンスタントに継続してきた。先代社長(創業者)で父・藤井祥三氏の教えでもある。「父は、不況の時も設備投資をしていた。次に景気が回復したときに、設備が古いと波に乗れない」と。コロナ禍の中、昨年9月には牧野フライス製作所の立形MC「V77」を導入。焼入部品加工への対応を強化した。「新しい設備が入ると現場に一番活気が出る。新しい機械を楽しそうに使う社員を見ていると、自分も嬉しくなる」とも。次は5軸加工機の導入を検討中だ。

外注部品の内製化にも取り組む。ピン等の丸物部品などを内製すべく、第2工場には旋盤6台、MC2台を設置。外注管理をするより自分で加工した方が楽しい。付加価値も社内に残せる。

     焼入材の加工を強化

今後は、CASEをキーワードに「センサ、電子部品のケース類の需要が増える」と見ている。自動車は、燃費競争の中、素材が鉄からアルミに変化してきた。今後EV化が進んでも軽量化は求められ、アルミ部品の需要は堅調あるいは増加傾向で推移すると予測。「ダイカスト用金型生産額(工業統計)は年間1300億円程度。30%程度が内製と考えても弊社などの金型専業メーカー向けの市場は900億円はある。当社はそのうちのわずか数%のシェアなので、まだまだやれることはある」と考えており、品質を担保できる国内生産に拘る所以でもある。

会社概要

  • 本社:愛知県丹羽郡扶桑町南山名名護根106
  • 電話:0587-93-1101
  • 代表者:藤井寛達社長
  • 創業:1976年
  • 従業員:83人
  • 事業内容:ダイカスト用金型の設計製造

Q・人材育成で何に取り組んでいるか。

多能工化で効率アップ

 昨年6月から社員の出勤を、2週に1週は4日出勤にした。年間休日は140日に迫る勢い。給料は変わらない。但し、会社は、月~土までの6日間稼働。分業の弊害を解消し、多能工化することが目的。出勤人数を減らすことで、例えば、今まで使っていなかった機械も使わないといけなくなった。そこで社員同士のコミュニケーション・連携が生まれ、多能工化と同時に効率も向上している。

金型新聞 2021年4月10日

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