金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

21

新聞購読のお申込み

第2回大阪テクノマスターセミナー 椅子張り師の観る力

切削工具の外観検査も

第2回大阪テクノマスターセミナー(主催:Garage Minato)が9月15日、成光精密(大阪市港区)で開かれ70人以上が参加した。第1部では大阪テクノマスターでソファセラピストの十河正明氏が椅子張りに関する豊富な現場経験を活かし、「モノづくりに欠かせない観る力」について語った。

「椅子張り」とはクッション材と生地を使った張り加工のことで、十河氏は現場の状況や顧客の最終ニーズがどこにあるかなどを汲み取り、それを職人に伝え、製作から完成まで指揮するコンダクターの役目を持つ。こだわりは一発納品であり、現場を見ていない職人に顧客の現場や顔をイメージしてもらえるような伝え方が重要になる。そのためには「見えないものを観る力、感じることが大切」と説く。それはこれからの職人像にも活かされるとし、「これまでは椅子や机など手元の物を作るという理性のモノづくりだったが、今後はこうしたら顧客が喜ぶのではないかという感性も加えたモノづくりが必要になる」と話し、感じたことをカタチにする力が求められると語った。

また、第2部はGarage Minatoを運営する成光精密の高満洋徳社長が登壇し、AIを活用して切削工具の摩耗状態を外観検査する「汎用AI外観検査システム」の実証実験を始めると発表した。

切削工具など刃物の摩耗状態はベテラン職人が判別し、再研磨を行うが、職人の減少や人手不足など製造業は人の問題を抱えている。そこで同社はNTT西日本グループ(大阪市中央区)とリバネス(大阪市港区)の3者は地域産業の強靭化を目的に、シェアリング構想を掲げ、カメラで撮影した刃先の摩耗状態をAIが自動で判別する汎用システムを開発し、地域の町工場とシェアすることで製品品質の向上を目指す。「みんなの課題をAIで解決したい。検査は人頼みの部分があり、作る以上に大変。まずは刃物の状態を診断することから始めるため、試験用に様々な工具を持ち込んでもらいたい」と話す。AIで自動判別するには数多くのデータを集める必要がある。地域の製造業の協力を促し、地域で有効活用できる新たなITのシェアリング構想がスタートした。

金型新聞 2021年12月10日

関連記事

イーグル会 結成50周年迎え、記念式典を開催

次世代への継承に 日本金型工業会中部支部の若手の会であるイーグル会は結成50周年を迎え、インターモールド名古屋で記念式典並びに座談会を開いた。同会は若手経営者の悩みを共有し、垣根なく研鑽する場として活動を行ってきた。代表…

岐阜県金型工業組合 工業高校生金型コンテスト、県内の10校が参加

人材の定着を促進  岐阜県内の工業高校生を対象にした第3回工業高校生金型コンテストが12月8日、岐阜県立国際たくみアカデミー(岐阜県美濃加茂市)で開かれ、県内10校、関係者も含め約90人が参加した。 可児工業と高山工業が…

金型シンポジウム 10月に開催延期

日本金型工業会(小出悟会長)は2月17・18日に大阪で開催を予定していた、金型技術シンポジウムin関西及び工場見学会」を延期すると発表した。コロナウイルスの感染拡大によるもので、10月20・21日に改めて開催する。 同シ…

【年頭所感】 日本金型工業会 会長 山中 雅仁氏

「稼ぐ力」と「ワンボイス」 産業界では、グローバル化、デジタル革命、少子高齢化の進行による労働力不足、生産性と賃金水準向上の両立など まさに大転換期を迎えており、そのトレンドに素早く、かつ柔軟に先回りして対応できる企業が…

大分県で金型のプロが技術指導、保全技能レベルの底上げを図る

大分県で操業する自動車部品メーカーの技術者が金型の保全技術を学ぶ「金型保全技術者育成講座」。熟練のノウハウを持つ金型のプロが実践さながらの保全技術を指導する。大分県ではいまも県内で金型保全を補完できる環境が整っていない。…

トピックス

関連サイト