金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

DECEMBER

11

新聞購読のお申込み

第2回大阪テクノマスターセミナー 椅子張り師の観る力

切削工具の外観検査も

第2回大阪テクノマスターセミナー(主催:Garage Minato)が9月15日、成光精密(大阪市港区)で開かれ70人以上が参加した。第1部では大阪テクノマスターでソファセラピストの十河正明氏が椅子張りに関する豊富な現場経験を活かし、「モノづくりに欠かせない観る力」について語った。

「椅子張り」とはクッション材と生地を使った張り加工のことで、十河氏は現場の状況や顧客の最終ニーズがどこにあるかなどを汲み取り、それを職人に伝え、製作から完成まで指揮するコンダクターの役目を持つ。こだわりは一発納品であり、現場を見ていない職人に顧客の現場や顔をイメージしてもらえるような伝え方が重要になる。そのためには「見えないものを観る力、感じることが大切」と説く。それはこれからの職人像にも活かされるとし、「これまでは椅子や机など手元の物を作るという理性のモノづくりだったが、今後はこうしたら顧客が喜ぶのではないかという感性も加えたモノづくりが必要になる」と話し、感じたことをカタチにする力が求められると語った。

また、第2部はGarage Minatoを運営する成光精密の高満洋徳社長が登壇し、AIを活用して切削工具の摩耗状態を外観検査する「汎用AI外観検査システム」の実証実験を始めると発表した。

切削工具など刃物の摩耗状態はベテラン職人が判別し、再研磨を行うが、職人の減少や人手不足など製造業は人の問題を抱えている。そこで同社はNTT西日本グループ(大阪市中央区)とリバネス(大阪市港区)の3者は地域産業の強靭化を目的に、シェアリング構想を掲げ、カメラで撮影した刃先の摩耗状態をAIが自動で判別する汎用システムを開発し、地域の町工場とシェアすることで製品品質の向上を目指す。「みんなの課題をAIで解決したい。検査は人頼みの部分があり、作る以上に大変。まずは刃物の状態を診断することから始めるため、試験用に様々な工具を持ち込んでもらいたい」と話す。AIで自動判別するには数多くのデータを集める必要がある。地域の製造業の協力を促し、地域で有効活用できる新たなITのシェアリング構想がスタートした。

金型新聞 2021年12月10日

関連記事

日本金属プレス工業協会 久野忠博新会長インタビュー、交流深め、地域と国のパイプ役に

人手不足や事業承継問題に取り組む 「地域の工業会との交流を深め、プレス業界として、もっと発信力を高めたい」。そう話すのは、6月の総会で日本金属プレス工業協会(日金協)の会長に就任した久野忠博氏(久野金属工業社長)。プレス…

日本金型工業会 22年2月に金型シンポジウムin関西を開催

知識・交流深める機会に 来年2月17日 ホテルニューオータニで 日本金型工業会は来年2月17日、「第6回金型シンポジウムin関西」をホテルニューオオタニ(大阪市中央区)で開催することを発表した。テーマは「新たな社会環境・…

【年頭所感】日本金属プレス工業協会会長・高木 龍一

新しい発展が芽吹く時  今年は、丑年です。意とする処は我慢強い、忍耐、新しい発展が芽吹く時とあり、まさに我が意を得たりの心境です。  昨年は、コロナで始まり、コロナで終った印象の年であり、会社の業務も、業界の行事も、イン…

型技術ワークショップinひろしま 金型関連の最新技術を講演

型技術協会(白瀬敬一会長・神戸大学教授)は11月18~19日、「型技術ワークショップinひろしま」を開催した。18日は広島国際会議場(広島市中央区)で技術講演会を、19日は金型などの工場見学会を開いた。 山田啓司実行委員…

金型工業会 ISTMA最新資料配布

世界の金型動向を分析 日本金型工業会(小出悟会長)はこのほど、国際金型協会(ISTMA)が発刊する「ISTMA統計ブック」の最新版(2020年度版)の配布を開始した。 同統計ブックはISTMAに加盟する国や地域の金型の生…

トピックス

関連サイト