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【Breakthrough!】微細加工機

半導体やレンズ、電子部品など微細精密な金型は成長分野の一つだ。こうした市場に参入するには微細精密加工機は欠かせない。その技術は日進月歩で、加工精度もサブミクロンレベルが当たり前になっている。最近では参入する機械メーカーが増え、選択肢の幅も広がっている。今回のBreakthrough!では、微細精密に特化した加工機を紹介する。

PART1:キタムラ機械 5軸制御の微細加工機
PART2:芝浦機械 高精度と高品位加工
PART3:ソディック ナノ領域の最上位機種
PART4:日本電産マシンツール(旧三菱重工工作機械) 高剛性・高速低振動
PART5:牧野フライス製作所 高精度と高生産性
PART6:三井精機工業 高い操作性と作業性
PART7:安田工業 技術に裏付けされた±1μmの領域
PAET8:碌々産業 工程集約も実現する汎用性

PART1

キタムラ機械 5軸制御の微細加工機

「MedCenter5AX」

同時5軸制御の微細難削材加工機。機械幅1.2m×奥行き2mの最小スペースに高精度加工技術を凝縮した。追従性の高いテーブル構造と広範囲旋回を実現した傾斜軸でφ230×175㎜の最大ワーク加工が可能。

高分解能・光学式リニアスケールフィードバックとロータリ ースケールを標準装備。11000°割出精度、±2秒を実現した旋回軸と傾斜軸は、各々200min-1、100min-1の高速割出が可能で、俊敏性、追従性の高い高精度加工を実現した。

スペック

  • 軸移動量:254×330×330㎜
  • 主軸回転数:30000min-1
  • ツールシャンク形式:HSK-E40
  • ATV工具本数:40本
  • 機械重量:4200㎏
PART2

芝浦機械 高精度と高品位加工

「UVM-450D(H)」

「一般機械加工のフィールドに超精密加工技術」をコンセプトに開発した超微細精密加工機。標準6万回転の自社製空気軸受と最小設定単位0.010μmのリニアモータ駆動など機械要素技術を採用し、高精度加工と高品位加工を両立した。

構造体恒温化システムで機体内の熱変位を減少させ、長時間加工時での加工精度向上を実現。また、オプションのオペレータ総合支援ソフトウェア「UVM-TSA」では、工具管理・ワーク管理が可能で、生産性向上にも貢献する。

スペック

  • 軸移動量: 585×525×810㎜
  • 主軸回転数:60000min-1
  • ツールシャンク形式:ダイレクトチャック
  • ATV工具本数:50本
  • 機械重量:4800㎏
PART3

ソディック ナノ領域の最上位機種

「AZ275 nano」

ナノ領域加工での最上位機種として開発した。加工テーブルと逆位相に駆動するキャンセル軸を搭載。重心位置の変動と反作用を打ち消す独自構造で、振動を極限まで抑制し、超精密加工を実現した。高周波アンプとの相乗効果で、従来比1.7倍の高加速度での高速・高精度駆動が可能。

新型NC装置「LN4AZ」と高周波アンプを搭載。スケールフィードバックを0.1nmに高分解能化し、制御サイクルの高速化とあわせ、微小なステップ送り指令での運動性能を向上させた。

スペック

  • 軸移動量: 300×250×100㎜
  • 主軸回転数: 20000~120000min-1
  • ツールシャンク形式:ダイレクトコレット
  • ATV工具本数:30本
  • 機械重量:5500㎏
PART4

日本電産マシンツール(旧三菱重工工作機械) 高剛性・高速低振動

「μV1」

主軸に転がり軸受を用い、独自の特殊油潤滑と主軸内部冷却により、高剛性と高速低振動性を両立。粗加工から仕上げ加工まで1台の加工機で実現する。

ATCを可能とした12万回転主軸アタッチメントを新たに設け、標準主軸と併せ、低速から高速までの実用回転域を広げた。標準主軸と主軸アタッチメントが混在した加工でも、工具刃先位置の安定確認後に工具長自動補正の実行を可能とした撮像式工具測定システムとの組合せにより、工具間段差を極小とした。

スペック

  • 軸移動量: 450×350×300㎜
  • 主軸回転数: 400~40000min-1
  • ツールシャンク形式:HSK‐E32
  • ATC工具本数:18本(標準)、30本/40本(オプション)
  • 機械重量:5500㎏
PART5

牧野フライス製作所 高精度と高生産性

「iQ500」

高い要求精度を実用的な切削送り速度で実現させる、生産性の高い微細精密加工機。「S3」:Smooth surface, Smart productivity,Sub-micro precisionの実現を目指して開発した。

最高回転数で長時間加工しても刃先位置が安定した主軸に加え、NC指令に対する高い追従性を要する送り機構を採用。外的要因への対応、正確精密な測定を可能にした。

これらの特長により、近年加速化する高精度化に対応すると同時に、相反する高い生産性も両立させた。

スペック

  • 軸移動量: 600×500×300㎜
  • 主軸回転数:45000min-1
  • ツールシャンク形式:HSK-E32
  • ATV工具本数:20本
  • 機械重量:8760㎏
PART6

三井精機工業 高い操作性と作業性

「PJ303X」

「精度の三井精機」が徹底した精度を追求し、高い操作性と作業性を両立した微細加工機。レンズ金型や医療機器、電極、燃料電池などを高精度に加工できる。

最新の主軸熱変位補正機能を標準装備。特殊熱変位キャンセル機構によって主軸・ヘッドの熱変位を大幅に抑制する。機械本体は熱変形を考慮した左右対称門型コラム構造を採用している。

その他、直線軸高速リニアモータや回転軸DDモータを採用。回転式2段扉で正面操作扉の開口幅も広げた。

スペック

  • 軸移動量:300×325×200㎜、(A/C)+40~−110°/360°
  • 主軸回転数:50000 min-1
  • ツールシャンク形式:HSK-E25
  • ATC工具本数:24本
  • 機械重量:4500kg

PART7

安田工業 技術に裏付けされた±1μmの領域

「YMC430」

「YMC430」は、超高精度、高面品位が求められるレンズやコネクタ、燃料電池の金型や超小型精密部品を加工できるハイエンドマシン。

全軸リニアモータ駆動で高速移動時の振動を抑制。コラムにH型のシンメトリカル形状を採用し高剛性を実現。主軸ヘッドも前後左右対称の円筒形状で熱変形しにくい。

コラムや主軸ヘッド、テーブルには熱交換液を循環させ、長時間稼動しても各軸の熱変位を低減できる。オプションで、工具の振れを測り調整する機能を追加することも。

スペック

  • 軸移動量: 420×300×250mm
  • 主軸回転数: 200〜40000min-1
  • ツールシャンク形式:HSK-E32
  • ATC工具本数:32本(オプション90本)
  • 機械重量:8000 kg

PAET8

碌々産業 工程集約も実現する汎用性

「CEGA-SSSシリーズ」

徹底した熱変位の抑制、送り精度と主軸回転精度の追求によって、高精度荒加工から高精度高品位加工までを1台で対応可能にし、工程集約も実現する汎用性の高い微細加工機。

熱分離システム「Advanced H.I.S制御」により安定した機体の姿勢維持を確保。XYZ全軸に「円筒コロ式精密案内面」を採用し、滑らか且つ高精度な送り性能も実現した。また、新開発の微細加工機専用オペレーションシステム「MA-OS1」(オプション)によって、直感的な操作を可能にする。

スペック

  • 軸移動量: 510×410×310mm
  • 主軸回転数:30000min-1(SSS300)・40000min-1(SSS400)
  • ツールシャンク形式:HSK-E40
  • ATC工具本数:20本(オプションで40本・60本)
  • 機械重量:5200kg

金型新聞 2021年8月10日

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