金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

07

新聞購読のお申込み

明星金属が残業時間を減らすために徹底した2つのこと

金型の品質高めトライ減らす

明星金属工業が手掛けるのは、ボンネットやドアなど自動車ボディー部品のプレス金型。トライ&エラーを重ねて品質を高めていくため完成までの時間が予測しにくい。受注は新車開発の時期に集中するなど年間で安定しにくい。これらが働き方改革のボトルネックになっていた。

残業時間を把握、管理

しかしコンプライアンスを守るためにも業務効率改善のためにも差し迫る課題。「過去には月の残業時間が100時間を超える社員もいた。工夫や新しいアイデアでこれをどうにかして段階的に減らしていきたい」(上田幸司社長)と2015年、残業時間の削減に取り組み始めた。

トライ&エラー。プレス金型づくりでこの時間が予測しにくい。塑性変形の予想が難しい超ハイテンやアルミ用はなおさらだ。これまでは金型の品質向上・コストダウン・納期短縮への取り組みとして、金型加工とプレス解析の精度向上に取り組み、加工と解析の技術を追求し、トライ回数を減らし、トライ後の修正も減らすことをQCD改善の目的として取り組んでいたが、その目的に働き方改革の一つとして残業時間の削減も組み入れた。

その取組みで徹底したのが残業時間の把握と管理。残業が常の職場のため多くの社員は自らの残業時間をほとんど気にしていない。そこでセクションそれぞれの上長が部下の残業時間を常に把握。既定の時間を超えそうな部下に働き過ぎないよう注意しあったり、補完しあったりするようにした。

全社員の毎日の勤務時間は出退勤のデジタル化によりリアルタイムで管理。週単位で各部門の上長に部下の目標残業時間について状況を配信し注意喚起して、その情報をもとに上長は部下に作業指示を出す。「残業時間を全社員が理解し減らそうとする。その意識を持つだけでも効果は大きい」(上田社長)。

若手を育成、仕事をシェア

もう一つが仕事のシェアリング。ただ金型は特殊な技能を要する工程がありシェアしにくい。そこで新人教育に力を入れた。入社5年後に金型技術者として一定の技能を習得するカリキュラムを組み、それをもとに指導。それによって技能の底上げにつながり、仕事が偏りにくくなった。

月の1人あたりの残業時間は着実に減り、19年には最高でも80時間未満になった。その後新型コロナ禍で仕事量が減ったため期せずして働き方改革目標を達成したが、「それはそれまでの助走期間があったから。全社で取り組んだことがその結果に結びついた」(上田社長)。

新たなビジネスモデル構築へ 〜上田幸司社長に聞く〜

2015年に始めた残業時間削減の取り組みは着実に成果を出しました。それまで月100時間を超える社員もいましたが19年に最大80時間未満に減りました。その後、コロナ禍で受注減少に連動し最大残業時間も70時間未満となり、20年には最終目標の最大70時間未満で42時間以上6回以内/年をほぼ達成することができました。

まさかコロナ禍の影響で達成するとは予期していませんでした。が、これによって分かったことがありました。それは受注が減少したのにも関わらず経営において大きな支障が無かったことです。

確かに売上高は減りましたが仕事が減った分、残業代や電気代、出張費、外注費、輸送費が減り、利益面では結果的にそれほど大きな影響が出ませんでした。逆に社員にとっては身体を休め、家族と過ごし、趣味を楽しむ時間が増えました。

コロナ禍が収束しても売上高を以前の水準に単純に目標を設定するのではなく、コロナ禍で経験したこの2年間の事業結果を新たな起点として、社員が働き甲斐を感じ、豊かに生活し、事業が発展できるための新たなビジネスモデルの構築にチャレンジするつもりです。それが働き方改革の本質ですから。常識にとらわれず新たな方法を考えていこうと思っています。

会社概要

  • 本 社:大阪府大東市野崎4-5-12
  • 電 話:072-877-1661
  • 代 表 者:上田幸司社長
  • 創 業:1950年
  • 従業員数:94人(グループ144人)
  • 事業内容:自動車などのプレス金型設計製作

金型新聞 2022年4月10日

関連記事

成形不良を出さない生産システムの確立
岐阜大学 王志剛副学長に聞く、スマート金型開発の行方

 岐阜大学が2018年に3カ年の研究開発である「スマート金型開発拠点事業」を始めた。労働人口減少時代を想定し、従来にはない高効率な生産システムの確立を目指し、金型を使った量産システムの不良率ゼロを目標に掲げる。同事業は文…

【特集:技能レス5大テーマ】1.加工プログラムの効率化

AIで自動作成 金型の加工プログラム作成は、熟練技能者の経験や知識に依存するケースが多い。金型づくりにおける長年の経験に基づくノウハウが必要とされる。しかしそれをAI(人工知能)で効率化し、経験の浅い技術者が経験者並みの…

【特集:新春金型座談会】広がる世界市場をどう開拓する(Part3)

日本の価値はどこにある 量産支える金型や知見 松岡 先ほど松野さんが安く作ると話されましたが、私は金型を安くしたくないですね。金型は本来高くなきゃいけないのに、どんどん下がっています。持続的に経営をしていくためにも、値段…

新需要獲得に向け技術開発強化【特集:プレス加工の未来】

日本でのプレス加工の歴史が始まって約150年。日本の製造業の発展とともに、プレス加工は進化を続けてきた。近年では最大の需要先である自動車産業でEVシフトが活発化していることから、新しい需要獲得に向けた開発や事業に取り組む…

三菱電機 誰でも簡単に高品位加工【特集:放電加工〜最新技術はこう使え〜】

ワイヤ放電加工機「MGシリーズ」、加工条件設定にAI活用 ワーク形状によって微妙な加工条件の設定が必要になるため、技能者によって加工レベルに差が出るワイヤ放電加工。三菱電機が13年ぶりに刷新したワイヤ放電加工機「MGシリ…

トピックス

関連サイト