金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

NOVEMBER

22

新聞購読のお申込み

がんばれ!日本の金型産業特集
近藤精機製作所 近藤 雅之 専務

膜厚精度の高いゴム金型
機上測定で精度追究

ゴム金型専業メーカーの近藤精機製作所が手掛けるのは450㎜角までのサイズの精密金型だ。これまで多くの種類の金型を作ってきたが、近年注力するのがスイッチやダイヤフラム用など、いわゆる「精度に細かい金型」(近藤専務)だ。

特にスイッチの金型は押したり、潰したりする際の『クリック感』が求められるので、「膜厚の精度が要求される」と言う。ただ、薄ければよいのではなく、顧客それぞれの厚みが必要になる。

同社の強みはこの膜厚の精度を顧客の要求通りに安定させることにある。それを支えている技術の一つが測定の自動化だ。マシニングセンタ(MC)上での機上測定には20年前から取り組んでいる。現在では、最新のMCの7台全て機上測定機能を持つ。

長年取り組む機上測定の効果について、近藤専務は「仕上げ工程だけでなく、加工段階で測定することで、現場も膜厚を意識するし、加工途中の段階で追い込める」と話す。

もう一つの強みは、工具研磨の内製化だ。一般的にゴム金型は多数個取りが多く、市販の工具だけでなく、総形バイトを使うことが多い。同社では、総形に限らずエンドミルでも自社で研磨する。

「外注を使うこともあるが、その分リードタイムが長くなる。社内だとそれを考える必要がなく、早く加工できる」のが強みだ。機上測定という自動化と工具研磨できる職人技術による高精度な金型づくりが顧客の信頼につながっている。

牧野V56_R
現場が学び舎、実践で育てる

多くの金型メーカーでは、人材育成の重要性は分かっていても、マンパワー不足などもあって、特別な教育プランを持っているところは少なく、仕事を通じで教育するOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)が大半だ。

近藤専務も「職人の育成は不可欠だと思うが、ほとんどが現場で教えている程度。特別な教育システムがあるわけではない」と言う。それでも研磨できる人材が育っているのが同社の強みだ。

しかも「分からないことがあればベテランの技術者に若手が自然に聞きに行っている」と話すように、同社には自然に学ぶ雰囲気のようなものがある。

その理由について、近藤専務は「自ら工具を研ぐことができなければ仕事にならないからだ」と分析する。確かに、MC・NC旋盤のオペレーター全員が「工具研磨できる技術を持っている」そうだ。

そうした環境にあって、工具研磨できなければ仕事が先に進まないし、学ばざるを得ないだろう。仕事そのものが、人を育てる環境になっているのだ。今後は「旋盤とMC担当者を入れ替えるなど、多能工化を進めていきたい」と次の展開を考えている。

その先に目指すのは今まで以上に精度の高い金型づくりだ。「ゴム金型の世界も簡単なものは競争が厳しい。この流れは変わらない。精度を追求していく」とし、測定への設備投資も検討中だ。

測定技術強みである測定の自動化と職人技術に磨きをかけて、次のステージを目指す。


会社メモ
近藤専務_R

代表者=代表取締役社長・近藤豊氏
資本金=2000万円
創業=1948年
従業員数=33人
本社=埼玉県草加市柳島町656
電話048・927・4891 Fax048・927・4890
HP= http://homepage3.nifty.com/kondo-seiki/
▽設備機械=マシニングセンタ「V56i」自動測定装置付き」(牧野フライス製作所)など15台。NC旋盤「LB300」(オークマ)など4台。NC放電加工機「EDNC64」(牧野フライス製作所)など4台。画像測定機「NEXIV」(二コンインステック)。CAD/CAM「VISI」(Vero)など15台。
▽主な製品=精密ゴム金型(スイッチ関連、ダイヤフラム用金型など)


金型新聞 平成27年(2015年)6月4日号

関連記事

インターモールド2025 出展者募集開始

インターモールド振興会(大阪市中央区、06・6944・9911)は、第36回金型加工技術展「インターモールド2025」の出展者募集を始めた。 インターモールド2025(主催:日本金型工業会)は金型加工関連技術の総合展示会…

アルム ARUM Factory365をリリース

月定額+多彩なアプリで製造現場の合理化を支援 アルム(金沢市)が開発したNCプログラム自動生成AIソフトウエア「ARUMCODE1」など、製造工場で役立つアプリケーションを揃えたプラットフォームサービスが、7月からサブス…

DIAコートエンドミルが好評
チャンピオンコーポレーション

グラファイトやCFRP向け  金型部品や金属機構部品メーカーのチャンピオンコーポレーション(大阪府東大阪市、072-964-2511)が手掛ける切削工具が好評だ。中でも、コストパフォーマンスに優れ、グラファイトやCFRP…

「金型業界で働く女性の声や悩みにも耳を傾けて」名古屋精密金型営業部部長・渡邊祐子氏

インターモールド大阪では4月20日、女性雇用のメリットや現場の男女共同参画などを討論する特別イベントが開かれる。労働人口減少により製造業は女性の活躍が課題で、金型業界も働き方改革など取組みが始まっている。日本金型工業会で…

CGTech 切削最適化ソフトの最新版<br>積層エラーひと目で

CGTech 切削最適化ソフトの最新版
積層エラーひと目で

 CGTech(東京都豊島区、03・5911・4688)は5月末日、切削シミュレーションおよび最適化ソフトウェア「VERICUT」に、より使いやすい新機能を追加した「バージョン8.1」をリリースする(写真)。  新機能の…

トピックス

AD

FARO 樹脂成型品や自動車シートの測定での3次元測定アームの活用と新製品Qua...

樹脂成型品の工程管理・不具合解析 樹脂成型品の工程管理や不具合解析の現場では、実際の製品や試作品と設計図との差異把握や、製品や金型の工程ごとの変化量把握、不具合解析や要因分... 続きを読む

関連サイト