新たな被膜や刃形 高硬度材を加工できる金型向けの切削工具の種類が豊富になっている。切削工具メーカーが昨年から、新たな被膜や刃形の高硬度材用の工具を相次いで発売。焼き入れ鋼をはじめ、超硬合金を直彫りできる工具も登場している…
金型が足りない?
2015年の工業統計(品目編)によると、金型出荷額は前年比で3・5%伸び、リーマンショック後と比べても15%増加するなど回復を示している。だが、20年間でみるとピークだった98年の7割弱でしかない。
それでも景況に明るさが感じられるのは、事業所も同程度減り、需給バランスが改善しているからだ。しかし、国内回帰も言われるなかで、事業所の減少は、潜在的に金型が足りないという別の問題も生まれさせかねない。将来的に高品質の金型を供給し続けることが課題となる可能性もある。
2015年の金型出荷額は1兆2284億円と前年比で3・5%伸びた。1兆627億円だったリーマンショック前と比べても15%増加しており、地道に回復を続けている。
しかし回復しているとはいえ、過去20年で見ると戻っているとは言い難い。いまだにピークの1998年の1兆8672億円と比べると66%でしかない。この20年で業界はどう変わったか。
節目は大きく2つあった。ITバブル崩壊とリーマンショックだ。ITバブル崩壊は01年。景気減速の直接的な影響もあったが、電機メーカーを中心に海外展開が始まり、金型メーカーも海外に目を向けざるを得なくなったのもこの時期だ。
そして、世界が一変した08年のリーマンショック。金型は5割近くまで一気に減少した。円高が続き、海外移転も活発になったこともあり、プラスチック金型はいまだにピーク時の半分強にとどまっている。
それだけ市場が縮小しても、最近忙しいという声が増えている要因のひとつは、事業所も同程度減っているからだ。98年は8743あったが、13年には5494で、67%にまで減少した。需要に合わせて供給も減ってきたのだ。今後さらに国内回帰が進み、需要が増えれば景況感は良くなる可能性は高い。
しかし事業所の減少は供給能力の低下を意味し、潜在的には高品質な金型不足という別の問題も生まれつつある。
実際に全ての型種ではないが、一部の大型金型などでは世界中で金型メーカーの取り合いが起きている。今年の金型展で金型を探し回るユーザー企業が多かったのもその兆候かもしれない。ただ「自社の加工技術を高められる金型を探しに来た」という来場者もいたようにどんな金型でも良いわけではない。
国内回帰といっても全ての金型が戻ることはないだろう。しかし、高品質な日本の金型が足りなくことも考えられ、将来的には安定した供給力を維持することが課題となる可能性もある。
金型新聞 平成27年(2015年)6月4日号
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