トヨタ自動車は昨年、2026年に投入を予定している次世代EVの生産工場にギガキャストを取り入れると発表した。従来数十点の板金部品で作っていたものをアルミダイカストで一体成形することで、部品点数を大幅に削減し、生産工程を半…
ソディック コバルトレスのマルエージング【特集:金型づくりのAM活用最前線】
残留応力下げ、加工しやすく
ソディックはコバルトを含まないマルエージング鋼系のAM用粉末材「HYPER21」を開発した。独自の造形技術「SRT工法」と合わせて使うことで残留応力を解放し、ソリなどの変形を抑制。造形後に機械加工しやすい硬度に調整したほか、物性値を調整することで輸出を可能にした。
造形中・後の変形や割れはワークに残る残留応力が要因であることが多く、残留応力をいかに制御するかが課題。金型で多く使われるマルエージング鋼では残留応力による変形が大きく、その変形を除去するために数㎜以上の切削の加工代が必要なケースがあるという。さらに、従来の材料では造形後の硬度が50HRC程度になるため、造形後に切削加工しづらいことも課題になっていた。

HYPER21とSRR工法を合わせることでこうした残留応力や機械加工の問題を低減した。
HYPER21はマルテンサイト変態点(鋼が硬化し始める温度)を調整。SRT工法(機械内部で簡易的に熱処理し、造形中・後の変形や割れを抑制できる造形方法)と合わせて使うことで、残留応力を解放し、変形や割れの問題を軽減した。複合切削機能を使用しない場合では造形時間の追加なくSRT工法の効果を得られるようにした。

造形後の硬度をプリハードン鋼と同等のHRC40程度にすることに成功。造形後に加工しやすくなったことに加え、入れ子とベース部が同じ硬度で加工できるなど造形後に加工しづらい問題に対応した。高い硬度が必要な場合は、時効処理を施すことが可能で、HRC50以上に上げることができる。
コバルトレスであることも大きな特長だ。コバルトを含有する金属粉末は特定化学物質障害予防規則に従った取り扱いが必要だがHYPER21は対象外で、運用負荷が低い。マルエージング鋼は輸出規制対象の材料だが、規制値を超えない物性に調整されていることから輸出が可能だ。
ソディックのレーザー加工機事業部開発部の松本格部長は「AMは造形が難しく、時間がかかるという声が多い。HYPER21は簡単に早く造形しやすくすることをコンセプトで開発した。今後も金型向けの装置やソフト、材料の開発に注力したい」としている。
金型しんぶん2025年11月10日号
関連記事
誰でも高精度な研削 金型づくりで欠かせない研削加工。仕上げに近い工程のため、熟練技能を必要とする領域は多い。しかし近年、長年培った経験やノウハウを持っていなくても高精度の研削加工ができる機械や装置などが登場している。人手…
多様な活用方法や機器の進化 金属AMによる金型づくりが徐々に広がりを見せており、活用事例が増えている。金属AMの活用は、従来の金型づくりに付加価値をつけ、他社との差別化を図るための手段として有効。今後ギガキャストで、金属…
自動車の新車開発の延期で需要回復の先行きが見通せない。人手不足が深刻化し技能伝承がままならない。こんな不安な時代に金型メーカーが勝ち残るカギは何か。「設計力と企画力」、「マーケティングとプロダクトをフィットさせる」、「市…
自動車の電動化や軽量化ニーズの高まり、短納期化、熟練作業者の減少など、プレス加工を取り巻く環境は大きく変化している。プレス加工メーカーへの要求も高度化しており、これまで以上に技術革新を進め、変化するニーズに対応することが…


