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DECEMBER

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―成形をゆく―
藤川金属工業(大阪市西成区)

アルミインパクトプレス加工

車載用高精度品を強化

 「インパクトプレス成形」という工法を藤川金属工業(大阪市西成区、藤川浩史社長)ではじめて知った。自動車パーツ部品などの機能部品を平板から金型1型で三次元形状品に絞る順送プレス加工やコンピュータ、パソコンに無くてはならないヒートシンク(放熱板)を瞬間に成形するマイクロフォージング工法でもなかった。藤川社長によると「材料(スラグ)にパンチ(衝撃)を与え、スラグが雄型に沿って伸び上がる特性を使い1工程で“深絞り”する工法」とか。魔術にでも掛かったような成形加工だった。材料はアルミ。角型・円筒・異形(肉厚・内ビート・外ビート・仕切り・段付き・前後押し)のケースから自動車の重要保安部品センサーハウジング、Audioのつまみ、円筒形状の中間に仕切りを持ったLED照明筒など、スラグから一瞬に成形する。その出会いはまさにインパクト、衝撃的だった。

①インパクトプレス成形図とLEDライト
 
表裏異なる成形加工確立

 同社が、ドイツ発祥のインパクトプレス工法(Schuler社、アルミ1工程深絞り)を導入したのは、1963年(昭和38年)、今から半世紀前に遡る。精度を要する家電の金属製品(ナショナルホットカーラー)を日本で初めて成形し、業界を席巻する。以来、改善・改良を重ね、数々のオリジナリティ製品を世に送り出す。

 代表例を挙げれば、数々ある。車載用大型矩形電池ケース、LEDライト照明ケース、SDカードケース、内部リブ付きCPU ・ETC・電池ケース、シールドケース、オーディオ機器のボリューム調整つまみ、レディースシェーバーケース、一体型アルミスピーカ、単3形エネループ使用カイロケース、コンパクト充電ブースター、自動販売機の熱交換器ヘッダー…いずれも一世を風靡し、現在も量産するものもある。

 さらに言えば、新聞に写真を掲載できない秘守義務製品も幾つかある。例えば、インパクト成形品では車載用センサーハウジング、プレス成形品ではステンレスバネ材を使った車載用カードキーなど。センサーハウジングは1階の工場で成形し、2階のインデックスマシンで面取り、バリ取り、均一の高さにした後、測定し、100分の1精度の「合格品」を量産している。オープンにできるインパクト成形品と三次元形状のプレス成形品の代表例は次のとおり。

②左手前がアルミと樹脂の組合せ、右手前が二重インパクト工法
③向かって右がスラグ。左が成形品

アルミ成形の魔術師

 オーディオ機器のボリューム調整つまみ。

 二重インパクトプレス工法(特許取得。特許第4551882号)と言う、「容器内の底辺に筒状の突起物を一体成形した」(平岡常務取締役)工法を開発した。もちろん秘密。

 これまで切削加工やアルミ板金絞り後、中に樹脂成形を入れる工法だったが、インパクトプレスで「樹脂と違った高級感のあるつまみを、人手も工程も、金型も、材料も掛かる」成形を一変させた。

 アルミ一体型スピーカーもその一つ。

 業界初の継ぎ目のないシームレスアルミを採用したスピーカー。外装劣化が少なく、高耐久ボディと一体感・堅牢感のあるデザインを実現した。「今までにないスピーカーを創り上げたい」とする、大手電気メーカーのデザイナーの要望をインパクトプレス成形に置き換えた。苦労は、2辺が6㎜厚、2辺が3㎜厚のボディ側壁と内部に6㎜厚の4本のリブを立てる一体成形。この開発で、ミニスピーカーとしては、これまでない高音質の音量を実現することに成功した。

④設備機械を背景に平岡常務。
⑤角型形状のインパクトプレス成形品。

 円筒の中間の位置に仕切りを設けたLED照明ケースもある。

 インパクトプレス成形金型、インパクトプレス成形装置、インパクトプレス成形方法で容器形状成形体(特願2013︱121337)に成功した。アルミダイカストでは不可能だった均一円筒内外径形状をインパクトプレスで一発成形し、LEDケースを製作した。 「これは昨年1月、近畿2府5県+福井県の近畿経済産業局から関西ものづくり新撰2015で選定されたもの。2つの部屋をつくったところがミソ。これまでは底止まりの筒状を、ライト側と基盤側を分けた」と平岡常務。ヒントは、「自転車のダイナモ」と、そっと教えてくれた。と言っても、成形方法は想像もつかない。

 その他、各種インパクトプレス成形品が展示場いっぱいに展示されているが、紙数の関係から全てをご紹介できないのが残念。

⑥200t冷間鍛造プレス。FKKインパクト仕様。アルミケースを瞬時じ成形する。成形品は、事前に手袋をもらっていて触らせてもらったが「熱い」。100℃程度あるそうだ。
⑦プレス成型品のひとつ。3次元形状のIH炊飯ジャーの蓋。

設備機械はFKK仕様

 インパクトプレス成形の設備機械は、FKK(藤川金属工業)特別仕様。金型は社内で設計、加工する。また、プレス成形品の金型は、専門メーカー5社に発注し、250tクラスの順送ラインで成型するものも多い。「金型は心臓部。その金型と成形機、材料・工法・潤滑剤を上手く活かしたのがわが社の差別化。一つでも欠けたら成り立たない」とは平岡常務。

 最後に、藤川社長は、「絞りと言う工法はいろんな手法がある。わが社のインパクトプレスは、その絞り加工方法の一つの手段。普通、絞りは金属板材料から絞るが、わが社はアルミの塊から衝撃を与えて伸ばす」。そして「われわれは常に技術改革を進化させる」と、100年企業を目指すことを加えた。

金型新聞 平成28年(2016年)2月10日号

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