金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

OCTOBER

02

新聞購読のお申込み

ユウワ CO2排出量の削減など環境負荷低減

脱炭素社会に向けた金型づくり

渡辺  稔社長

スマートフォン向け電子部品などの微細精密モールド部品の金型から量産までを手掛けるユウワは、脱炭素社会の実現に向けた金型づくりを進めている。昨年7月から本社工場の全電力を再生可能エネルギー由来に切り替え、CO2排出量の削減など環境負荷低減に取り組む。国内だけでなく、海外工場も含めてグローバルで環境に配慮した工場づくりを目指す考え。

全電力を再エネ由来に

ワイヤ放電加工機
微細精密ワークサンプル

2020年10月、日本政府は50年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言した。大企業を中心に達成に向けた取り組みが進む中、中小企業でも活動が広がっている。ユウワもその1社。渡辺稔社長は「このままでは地球環境は悪化の一途を辿る。未来の子供たちのためにもみんなで取り組み、温暖化を阻止しなければならない」と話す。

同社では昨年7月から、温暖化の原因となるCO2排出量を削減するために本社工場で使用する6700MWh分の電力を長野県内の水力発電所などで生み出された再生可能エネルギー由来の「信州Greenでんき」に置き換えた。これにより、年間で約20万5000本の杉の木が吸収する量に相当するCO2を削減できるという。

こうした電力の切り替えは環境負荷低減に効果がある一方、電力コストは従来に比べ10~20%ほど増加するという。ただ、渡辺社長は「コストアップ分を補うために、以前から使用電力の削減などに取り組んできた」。その一例が金型工場「金型技術センター」にある。

同センターは加工精度±1μmを実現するために、室温±0.5度で管理されている。通常、こうした恒温環境を維持するにはヒーターとクーラーを使って温度を調節する。「このヒーターが最も熱効率が悪く、電力量アップの要因となっている」(渡辺社長)。

そこでヒーターを使わずに機械とコンプレッサの排熱を利用した独自の恒温空調システムを開発。同社によるとヒーターを使用した方式に比べ、毎月100万円ほどの電力抑制効果があるという。加えて、壁や屋根に断熱塗料を塗布するなど様々な断熱・遮熱対策にも取り組み、熱の伝えやすさを表す熱貫流率を0.6W/㎡Kまで下げることで恒温環境を維持。渡辺社長は「保冷・保温機能の高い“魔法瓶”のような工場」と話す。

電力の他にも環境に配慮した様々なコストダウンを進める。その一つが地下水・雨水の活用。同社で使うワイヤ放電加工機の加工液は全て雨水を循環ろ過したものを使用している。こうすることでイオン交換樹脂の寿命が向上し、約80%のコスト低減につながるという。さらに、毎分600ℓの地下水をくみ上げ、工場空調や成形機の冷却水などに活用している。

本社工場・金型技術センター

現在、本社工場の屋根には太陽光パネルを搭載し、約300kWの電力を生み出している。今後は空いている屋根にもパネルを取り付け、自社消費によるピーク時の電力量抑制や「電力デマンド」の上限低減に取り組む考え。渡辺社長は「当社は国内だけでなく、中国やベトナムにも製造拠点を持つ。今後は海外拠点にも取り組みを広げ、脱炭素社会へグローバルに貢献していく」。

会社の自己評価シート

業界に先駆けて脱炭素社会実現に取り組み、未来に投資する力とチャレンジ精神は満点を付けた。加工精度や生産性に優れた製造システムも強みで、技術力や設備力、チーム力も高い。

会社概要

  • 本  社:長野県小諸市西原700-1
  • 電  話:0267-25-8001
  • 代 表 者:渡辺稔社長
  • 創  業:1975年
  • 従 業 員:1910人(連結)
  • 事業内容:プラスチック成形用金型の設計・製造、プラスチック成形加工

金型新聞 2022年2月10日

関連記事

オネストン・鈴木 良博社長「グループで金型強化」

パンチやダイ、強力ばねなどプレス金型部品を取り扱うオネストンは2021年に創業50周年を迎えた。プレス部品専門商社として基盤を築き、近年は「1個づくり」の特殊部品対応やリバースエンジニアリングほか、アメリカ・ケンタッキー…

新日本工機・中西 章社長「ものづくり力向上を支援」

「30年間お客様とものづくりを改善し続けられる存在でありたい」—。そう話すのは一昨年に新日本工機の社長に就任した中西章氏。ライフサイクルの長い大型機械が強みなだけに、「長期間にわたって、顧客のものづくりをサポートするのは…

下野精密 〜我ら金型応援隊〜

超硬加工なら任せて  「大事なのはQCDだ。品質が良く、価格は高すぎず、納期も短い。バランスが大事」と話すのは下野精密の下野武志社長。創業から超硬やセラミックスにこだわり、半導体や自動車関連の金型・部品を製作。精度は交差…

【この人に聞く】日本金型工業会 西部支部長・山中 雅仁氏「ビジネスの種見つける場」

2月17日、ホテルニューオータニ大阪(大阪市中央区)で、2年ぶりに金型シンポジウムが開催される。「新たな社会環境・新たなステージ・新たな価値を創造 関西からの発信」をテーマに、自動車部品メーカーによる基調講演や、金型メー…

特集〜世界の需要どう取り込む〜
金型のサムライ世界で挑む –北米–

 新天地を求めて、世界に進出していった日本の金型メーカーは、何を考え、どんな苦労や課題を乗り越えて、取り組みを進めてきたのか。また、さらなる成長に向け、どんな青写真を描いているのか。中国、タイ、メキシコ、アメリカ、欧州そ…

関連サイト