金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

29

新聞購読のお申込み

アクスモールディング 押出成形金型の設計簡易化【特集:金型づくりで広がる金属AM活用】

廃棄部分の再利用も可能に

高機能フィルムの製造に適した押出成形金型「Tダイ」などの設計を手掛けるアクスモールディング。同社は、今年の3月にソディックの金属3Dプリンター「LPM325S」を導入。押出成形金型の設計の簡易化や、従来法では不可能な金型作りに取り組む。

押出成形金型を設計する際、複数の金型部品の組み合わせなどを考慮する必要がある。また、多層フィルムの場合、層を重ねる時の金型設計は一苦労だ。横田新一郎社長は「時間がかかる上に、高度な設計技術を必要とするため、設計できる人間はごくわずかだ」と話す。

導入したソディックの金属3Dプリンター「LPM325S」

金属AMの活用によって、CADで設計図を描き、一体構造の金型作りが可能になった。複数の金型部品などを組み付ける必要がなくなり、設計が簡易化。作業工数を大幅に削減した。これに加え、金属AMによる付加価値の高い金型作りにも積極的に取り組んでいる。

「従来は押出成形で多層のフィルムを製造する際、両端の部分は捨てていた。金属3Dプリンターを使い、樹脂が通る流路を自由に変えることで、廃棄した部分を再利用できる金型が作れる」(横田社長)。

金属AMで製造した医療用チューブの金型

同社は、高い金型設計力を強みに受注を伸ばしており、今期の売上高は過去最高を記録している。その一方で、さらなる成長のためには押出成形業界の裾野を広げることが必要と考えていた。「食品包装用などで使われる多層構造の高機能フィルムは、今後も需要拡大が見込まれる。金属AMの活用で押出成形金型の設計を簡易化し、業界全体の供給力を増やしたいと思った」(横田社長)。

金属AM活用による成果はすでに出ており、新規で3~4件の受注につながっている。横田社長は「金属3Dプリンターを活用し押出成形金型を作っている人はいない。ブルーオーシャン(未開拓市場)なので、今後も事業拡大が期待できる」と話す。

課題は流路内面の磨きやφ0.5㎜以下の細かい穴の造形精度だ。「どうしても機械加工が必要な部分は残る。他社との協業も検討し、改善していく」(横田社長)。

今後は、ニッケルを主成分とした合金「ハステロイ」を活用した造形にも取り組む考えだ。横田社長は「現在使っている材料はマルエージング鋼だが、硬いため磨きにくい欠点がある。材料費が高く、難しい側面もあるが、新しいジャンルとして挑戦したい」と話した。

金型新聞 2023年11月10日

関連記事

松村 浩史さん 鋳造技術で自動車づくり支える【ひと】

今春の勲章で旭日単光章を受章した。世界中で安定して内燃機関向けの金型やダイカスト部品を供給し、自動車産業を支えてきたことなどが認められた。 松村精型への入社は1978年。当時では珍しいCAD/CAMの導入や解析ソフトの開…

「なりたい自分になれるかも」金型メーカーに就職した女性広報

狭山金型製作所 総務部 東香奈恵さん 総務部で営業のサポートや動画によるマニュアル作成などを担当する。そうした「本業」に加え、インスタグラムやフェイスブックなどSNSで狭山金型の日常や取り組みを発信する金型メーカーでは珍…

EVシフトでダイカストの活用領域広がる【特集:自動車の電動化とダイカスト】

自動車のEVシフトが加速している。ある調査会社によると、2022年のバッテリー式EV(BEV)の世界販売台数は約780万台で、自動車販売全体の10%に達したという。自動車メーカー各社もEV関連の開発に注力する中、影響を受…

かいわ 自社で商品生み出す道に

培った技術活かす 自動車の電動化、医療関連や半導体関連需要の拡大などで、国内のものづくり産業に求められるものも大きく変化している。自動車の電動化ではモータやバッテリーなどの電動化部品や材料置換による軽量化部品などが増えて…

太陽光発電導入し、CO²排出量を削減 J-MAXが取り組むCNに向けた取り組み

脱炭素社会に向けた取り組みがものづくりで加速し、金型業界でもその動きが広がりつつある。先手を打つ金型メーカーの対応には大きくは2つの方向性がある。一つは、太陽光パネルの設置や設備の省エネ化などによる自社の生産活動でCO2…

トピックス

関連サイト