金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

MAY

10

新聞購読のお申込み

アクスモールディング 押出成形金型の設計簡易化【特集:金型づくりで広がる金属AM活用】

廃棄部分の再利用も可能に

高機能フィルムの製造に適した押出成形金型「Tダイ」などの設計を手掛けるアクスモールディング。同社は、今年の3月にソディックの金属3Dプリンター「LPM325S」を導入。押出成形金型の設計の簡易化や、従来法では不可能な金型作りに取り組む。

押出成形金型を設計する際、複数の金型部品の組み合わせなどを考慮する必要がある。また、多層フィルムの場合、層を重ねる時の金型設計は一苦労だ。横田新一郎社長は「時間がかかる上に、高度な設計技術を必要とするため、設計できる人間はごくわずかだ」と話す。

導入したソディックの金属3Dプリンター「LPM325S」

金属AMの活用によって、CADで設計図を描き、一体構造の金型作りが可能になった。複数の金型部品などを組み付ける必要がなくなり、設計が簡易化。作業工数を大幅に削減した。これに加え、金属AMによる付加価値の高い金型作りにも積極的に取り組んでいる。

「従来は押出成形で多層のフィルムを製造する際、両端の部分は捨てていた。金属3Dプリンターを使い、樹脂が通る流路を自由に変えることで、廃棄した部分を再利用できる金型が作れる」(横田社長)。

金属AMで製造した医療用チューブの金型

同社は、高い金型設計力を強みに受注を伸ばしており、今期の売上高は過去最高を記録している。その一方で、さらなる成長のためには押出成形業界の裾野を広げることが必要と考えていた。「食品包装用などで使われる多層構造の高機能フィルムは、今後も需要拡大が見込まれる。金属AMの活用で押出成形金型の設計を簡易化し、業界全体の供給力を増やしたいと思った」(横田社長)。

金属AM活用による成果はすでに出ており、新規で3~4件の受注につながっている。横田社長は「金属3Dプリンターを活用し押出成形金型を作っている人はいない。ブルーオーシャン(未開拓市場)なので、今後も事業拡大が期待できる」と話す。

課題は流路内面の磨きやφ0.5㎜以下の細かい穴の造形精度だ。「どうしても機械加工が必要な部分は残る。他社との協業も検討し、改善していく」(横田社長)。

今後は、ニッケルを主成分とした合金「ハステロイ」を活用した造形にも取り組む考えだ。横田社長は「現在使っている材料はマルエージング鋼だが、硬いため磨きにくい欠点がある。材料費が高く、難しい側面もあるが、新しいジャンルとして挑戦したい」と話した。

金型新聞 2023年11月10日

関連記事

電極工程の自動化で9割のコスト削減に成功 キャノンモールド【特集:利益を生むDX】

DXの本質は利益を生み出すことにある。以降では、DXによって「売上げを上げて利益を生み出す」方法と「コストを下げて利益を生み出す」企業のそれぞれの取り組みを取材した。 電極の測定プログラム自動作成 精密プラスチック金型を…

【金型の底力】チヨダ工業 豊富な資源を活用し、新たな価値を創出

木質流動成形でSDGsに貢献 技術で差別化を図る 「木質流動を世の中に広め、木材が樹脂やアルミに変わる新たな材料として注目され、持続可能な社会作りに貢献したい」と話すのはチヨダ工業の早瀬一明社長。SDGsやカーボンニュー…

久野功雄氏

【プレス型特集】
久野金属工業 久野 功雄専務に聞く
飽き性を夢中にさせたプレス金型の魅力

自動車を中心に高精度かつ複雑形状な部品の開発、金型製造、量産まで手掛ける久野金属工業。EVなど次世代自動車の部品を生産する一方、ITを活用した改善活動など社内改革も積極的に行っている。その改革を推進してきたのが入社19年…

JIMTOF総集編 PART1:カーボンニュートラル CO2排出量の削減につながる技術多数

JIMTOF2022で注目を集めたテーマの一つが、カーボンニュートラルや環境対応だ。工作機械メーカーを始め、多くの出展企業がCO2排出量の削減や環境負荷低減につながる製品や技術を紹介した。世界的にカーボンニュートラルが求…

【金型の底力】山善金型 様々な顧客ニーズに応えられる会社に

限界を作りたくない生産工程を見える化 「様々な顧客ニーズに応えられる会社にしたい」と話すのは、山善金型の山下和也社長。同社は精密なプラスチック金型を武器に、日用品から自動車部品、医療機器など幅広い顧客を獲得。モットーは『…

トピックス

関連サイト