スイッチやシートベルト、シフトレバーなどプラスチックやダイカストを使用した様々な自動車部品を生産する東海理化は7月、金型部門の主要機能を、金型及び機械設備を手掛ける子会社の理化精機へ統合、新たに「東海理化Smart Cr…
新規参入目立つ微細精密加工向け機械・工具 成長分野で需要拡大【特集:2022年金型加工技術5大ニュース】
金型づくりの世界では、自動化やAM、脱炭素向けなどの最新技術が数多く登場し続けている。その進化は止まることがなく、4年ぶりに開催されたJIMTOF2022でも多数の最新技術が披露され、注目を集めた。今年最後となる本特集では、「AMによる金型づくりの拡大」、「微細加工への参入企業増加」、「プログラム効率化技術の進化」、「脱炭素対応技術の登場」、「多様化する自動化技術」の5つのテーマにフォーカスし、2022年の最新金型加工技術をまとめた。
成長分野で需要拡大
電気自動車や医療分野に参入目指す
電気自動車やデジタル機器の増加で微細精密部品のニーズが高まっている。金型も同様で電動車向けのセパレータやンズ、コネクタ金型などのさらなる微細精密化が進む。このため、微細精密加工を成長分野に位置づけ、注力する企業は多い。
レンズ金型を手掛けるワークスは、独自技術により、ガラス製両面マイクロレンズアレイ(MLA)の金型を開発した。従来の工法と比べて、MLAの生産効率を高めるほか、採用する製品の小型化にもつながるという。
精密プラスチック金型を手掛ける米山金型製作所は今年9月に「微細成形ラボ」を設立。微細精密分野で部品加工から金型、成形までを提供することで、これまで以上に付加価値の高い金型の受注につなげる。
こうした金型メーカーのニーズに対応し、成長分野の需要を取り込む動きが加速している。近年、微細精密加工の領域を強化する生産財メーカーや新規参入組が増えている。
微細精密工具に強い、日進工具やユニオンツールはCBNやPCD工具の開発を強化し、さらなる鏡面化を進めている。また、オーエスジーやMOLDINOは微細精密の切削工具をさらに強化していくと表明している。
昨年には、京セラが微細加工用工具に参入したほか、新たに三井精機工業が微細精密加工機を開発するなど、工作機械の分野でも競争は激しくなっている。また、11月に開かれたJIMTOF2022では、中国の微細精密加工メーカー北京精超が出展し、注目を集めた。
こうした競争が厳しくなることは、技術革新を促す。実際に、JIMTOF2022で多く展示されていた、レンズやヘッドマウントディスプレイといった微細精密向け金型の面粗度は、ナノレベルが当り前になっている。
今後も微細精密加工分野の伸びは必至だが、より精密微細化のレベルも高くなっていく。微細加工は機械や工具の性能に加え、工具やソフト、治工具など様々な要素のすり合わせといったノウハウが必要となるため、日本企業がリードしているという声も多い。今後もその強みを維持していくため、すり合わせ力に加え、最新の工具や機器のトレンドを熟知しておきたい。
この技術に注目!
MSTコーポレーション「振れ精度0.5μmを実現」
焼ばめホルダ「スリムライン BLACK UNO」
ホルダの加工精度と切削工具のシャンク寸法公差を極限まで追求。振れ精度0.5μmの世界最高精度を誰でも簡単に実現できる。超高速・高精度マシニング加工や微細小径加工に最適で、小径工具の寿命延長にも繋がる。
光学、医療、エレクトロニクス分野等では、0.1㎜以下の小径刃物が折損せずに安心して使用でき、高硬度材の鏡面仕上げや、高精度金型加工等で威力を発揮している。
シャンクは、HSK‐E25/32。対応工具径はφ3/3・175/4。ホルダ長さは35/50㎜。
京セラ「長寿命・高品位・安定加工」
高硬度材加工用(微細加工)ソリッドボールエンドミル「2KMB」
2KMBは『被削材を選ばない、微細加工をシンプルに』をコンセプトに開発。硬度や被削性の異なる多様な被削材をカバーし、高いパフォーマンスを発揮する。
新しいコーティング技術「MEGACOAT HARD EX」と特殊刃先形状を組み合わせ、35~70HRCまでの多様な高硬度材に対応し、長寿命・高品位・安定加工を実現している。
今後も微細加工向けの製品ラインアップを拡充する計画で、車載部品や半導体・電子部品、鍛造部品など精密金型を中心に提案を強化する。
大昭和精機「さらにスリム化・軽量化」
ハイドロチャック・エクストラスリム
操作性に優れ、微細加工に適したHSK‐E25ハイドロチャックが、先端外形寸法▲30%のφ10㎜、質量▲15%の69gと、さらなるスリム化・軽量化を実現 (同社HSK‐E25‐HDC4Sとの比較)した。
高速回転時の加工における質量問題、スリム化によるバランス性向上により、ハイドロチャック本来の高精度をフルに発揮する超コンパクトのハイドロチャックとなった。
把握径φ3・φ4と、微細加工に最適な切削工具用のハイドロチャックである。
日進工具「φ0.01㎜のエンドミル」
「マイクロエッジ」
髪の毛にも文字を彫ることができる、外径0.01㎜の量産化に成功した極小径のエンドミル。同社のフラッグシップ的な製品で、精密微細加工の領域を切り拓いた工具。
精密微細加工を安定的に行うため、外径精度±0.002㎜以内、シャンク精度を0~-0.0025とし、超高精度仕様とした。
マイクロ工具シリーズとして、超硬のスクエアはφ0.01~0.09、ボールはR0.005~0.05までをそろえた。CBNもスクエアはφ0.03~φ0.1、ボールはR0.01~0.05までをラインアップしている。
金型新聞 2022年12月10日
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