金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

SEPTEMBER

24

新聞購読のお申込み

進む自動化・見える化 複数の加工工程を集約する生産システムの構築【特集:2022年金型加工技術5大ニュース】

金型づくりの世界では、自動化やAM、脱炭素向けなどの最新技術が数多く登場し続けている。その進化は止まることがなく、4年ぶりに開催されたJIMTOF2022でも多数の最新技術が披露され、注目を集めた。今年最後となる本特集では、「AMによる金型づくりの拡大」、「微細加工への参入企業増加」、「プログラム効率化技術の進化」、「脱炭素対応技術の登場」、「多様化する自動化技術」の5つのテーマにフォーカスし、2022年の最新金型加工技術をまとめた。

複数の加工工程を集約

AMRとロボットを組み合わせた自動化システム

生産システムの構築

国内製造業は慢性的な人材不足により生産現場の自動化ニーズが高まっている。そうした自動化設備は量産工程の中でロボット活用やセル生産方式など変革が進んできたが、金型生産現場も5軸加工機や複合加工機を用いた工程集約、段取り時間の短縮など省人・省力化につながる機械・機器の提案が増えている。

これまでの金型加工は一品一様かつ高精度な加工が求められるため、マシニングセンタや放電加工、ラップ加工(磨き)、測定など複数工程を要していたが、同時5軸加工機や複合加工機などの高精度化や機上測定の技術が進化し、1台の機械に工程を集約することも可能になってきた。さらに、夜間や休日をフル活用するには多品種少量の自動化システムが求められ、AWC(オートワークチェンジャー)などを活用した生産システムの構築がノウハウの1つになり、サイズ・材質・形状の異なるワークに対応した自動化システムを構築した企業もある。工作機械メーカーも金型メーカーの自動化ニーズに応え、金型製造現場向けの自動搬送ロボットや協働ロボットを活用した自動化システムの開発を進めている。

こうした自動化システムは複雑化しており、予期せぬトラブルも多い。ある金型メーカーでは自動化システムのトラブルとしてワークに切粉が残るなど清掃の課題があると指摘する。そうしたトラブルを未然に防ぐ、あるいは迅速に対応するためにも、センサやカメラを使ったIoTによる可視化も重要になっている。

増加傾向にあるのが金型の可視化(見える化)だ。金型ユーザーの大きな課題は量産時における不良低減となるが、現場の技能や環境によって状況は異なるため、簡単に不良を減らせない。昨今は人手不足も深刻になっており、常に良品を生み出すシステムの構築が求められている。そこで期待されているのが金型内に圧力や温度などセンサを配置し、IoTの技術を活用して金型の状態を見える化し、予兆保全や自動で最適な加工条件を導き出せるシステムの開発を進める金型メーカーも出てきた。将来は量産時の不良ゼロを実現する新システムが生まれる可能性もある。

金型新聞 2022年12月10日

関連記事

【特集】新時代の金型自動化

現場の生産性向上、人手不足の解消に向けて、多くの金型企業が関心を寄せる自動化。近年の自動化技術は目覚ましい進化を遂げており、ロボットやIoT、AIなどの次世代技術によって、これまで以上に高度な自動化が可能になっている。こ…

東亜成型 キャンプ用品を販売

培った技術活かす 自動車の電動化、医療関連や半導体関連需要の拡大などで、国内のものづくり産業に求められるものも大きく変化している。自動車の電動化ではモータやバッテリーなどの電動化部品や材料置換による軽量化部品などが増えて…

関西金型メーカー5社に聞く
インターモールド特別座談会

激化する競争に勝ち残る  2017年がスタートして早や3カ月が過ぎたが、不安定な世界情勢の中で日本の金型メーカーは各社各様の課題に取り組んでいる。インターモールド・金型展の開幕を前に関西の金型メーカー様にお集まり頂き、現…

【検証】変わる金型基金 新たな船出3<br>年金有期化で安定運用

【検証】変わる金型基金 新たな船出3
年金有期化で安定運用

 前号では、日本金型工業厚生年金基金(上田勝弘理事長、以下金型基金)の現行制度の「定額加算」と「高い予定利率」の2つの課題とその解決策を紹介した。本号では、3つ目で最大の課題でもある「終身年金」の課題と、新制度ではどのよ…

AM普及をサポートする企業や団体に注目

受託などサービス拡充 AMに必要なデザイン設計や材料、各種3Dプリンタ積層造形装置メーカーなどで構成される「日本AM協会」は近畿経済産業局施策「kansai‐3D実用化プロジェクト」で具体的なAM活用検証を行い、成果を発…

トピックス

AD

三菱電機 オイルミスト環境下における工場内環境改善のご提案 〈AD〉

エアー搬送ファン<オイルミスト対応タイプ>のご紹介 三菱電機株式会社はオイルミスト環境下の室内環境改善に貢献する新商品「エアー搬送ファン<オイルミスト対応タイプ>」を202... 続きを読む

関連サイト