脱炭素社会に向けた取り組みがものづくりで加速し、金型業界でもその動きが広がりつつある。先手を打つ金型メーカーの対応には大きくは2つの方向性がある。一つは、太陽光パネルの設置や設備の省エネ化などによる自社の生産活動でCO2…
加工プログラムの効率化 テンプレートで時間短縮、3DCADで自動作成【特集:2022年金型加工技術5大ニュース】
金型づくりの世界では、自動化やAM、脱炭素向けなどの最新技術が数多く登場し続けている。その進化は止まることがなく、4年ぶりに開催されたJIMTOF2022でも多数の最新技術が披露され、注目を集めた。今年最後となる本特集では、「AMによる金型づくりの拡大」、「微細加工への参入企業増加」、「プログラム効率化技術の進化」、「脱炭素対応技術の登場」、「多様化する自動化技術」の5つのテーマにフォーカスし、2022年の最新金型加工技術をまとめた。
テンプレートで時間短縮
3DCADでプログラムを自動作成
金型は一品一様、まさにユーザーのニーズに応じて設計し作り上げなければならない。その金型の製作プロセスで時間や手間がかかる工程の一つが加工プログラム作成。そのプログラミングを効率化するソフトが注目されている。
プログラムはワーク一つひとつに応じるデータを作成する。しかし構成部品が数百点ともいわれる金型はその方法だと時間がかかる。そこで近年のCAMには切削工具や加工条件をテンプレート化し独自のアルゴリズムにより短時間で作成できる機能を備えている。
切削工具や加工条件のデータをテンプレートとして蓄積。その中から加工するワークに似たテンプレートを引き出す。それに穴あけやポケットなどの加工部位と加工属性を設定すると最適な加工工程を割り出す。
3軸や5軸加工に対応するものがあり、類似する形状の金型の加工に適用することでプログラム作成を効率化できる。この機能は金型加工用CAMの多くに搭載されている。
さらには、3DCADデータをインプットすれば加工プログラムを自動で作成するソフトも登場している。
アルムの「アルムコード1」は、製品3Dモデルをドロップし材質などを指定すれば、形状を解析、穴やポケットなど必要な加工の種類を判断。最適な工具を選び、加工パスを計算しプログラムを作成する。
HILLTOPの「コムロジック」は、3Dデータをアップロードし穴・公差を指示すると、加工の工程設計・プログラミングをクラウド上で自動処理する。加工プログラムと加工手順書を自動で作成する。
プログラム作成は加工のノウハウや経験が要る。そのため熟練技能者がかかりきりになることも少なくない。しかし効率化できればほかの仕事にも取り組める。また経験の浅い技術者にも使える。業務効率改善に加え、人出不足解消にもつながるかもしれない。
金型新聞 2022年12月10日
関連記事
自分の強み生かす道を 本田技研工業 完成車新機種推進部 主任技師 田岡 秀樹氏に聞く 高級車か、低価格車か、2極化も 金型なくして新車開発ならず 自動運転、ライドシェア、電気自動車(EV)の進化―。自動車業界では急激な変…
現場の生産性向上、人手不足の解消に向けて、多くの金型企業が関心を寄せる自動化。近年の自動化技術は目覚ましい進化を遂げており、ロボットやIoT、AIなどの次世代技術によって、これまで以上に高度な自動化が可能になっている。こ…
スイッチやシートベルト、シフトレバーなどプラスチックやダイカストを使用した様々な自動車部品を生産する東海理化は7月、金型部門の主要機能を、金型及び機械設備を手掛ける子会社の理化精機へ統合、新たに「東海理化Smart Cr…
型青会を金型発注の窓口に 新春座談会ー第1部ー金型メーカー4社が語る 新時代の経営戦略 1月号では昨年の景況や各社の取り組みなどを報告してもらった。本号では日本金型工業会西部支部の青年部である「型青会」にスポットをあて…