金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

SEPTEMBER

22

新聞購読のお申込み

がんばれ!日本の金型産業特集
宮澤精機 宮澤 幸弘 社長

変幻自在の絞り、曲げ
技術_R
50年のノウハウで金型に独創のアイデア

「強みは設計です」と話すのは、丸・角・異形絞りの順送プレス金型を手掛ける宮澤精機の宮澤幸弘社長。弱電関連の製品をメーンに、絞りは最大15㍉角、曲げは最大30㍉角までの金型を製作。とくに角絞り型を得意とし、側面形状を成形する技術に特長がある。
宮澤社長が「金型製作のスタート地点である設計から、課題解決に向けたアイディアを提供している」と話すように同社の金型づくりを支えているのが設計だ。生産性の向上や使いやすさなどユーザーが抱える課題を解決する金型を設計できることに強みを持つ。それを実現するのが、長年積み重ねた「知識」と「ノウハウ」にある。「知識」とは、入社当時、金型に関して全くの素人で血眼になりながら金型関連の参考書を読み漁り、ドラフターでゼロから設計を学んだという宮澤社長のキャリアそのもの。「ノウハウ」とはデータベースだ。創業から50年間に蓄積された加工や設計の情報をデータで見える化し、あらゆるユーザーの要求に対応できるようにした。
それら2つの強みによって、たとえば従来まで1分間に30個しか成形できなかった電子機器の小物部品を100~150個まで高速プレス成形できるような順送金型を設計したこともある。設計力を武器にユーザーの生産効率の改善に寄与した好例だ。設計を強みに持つことで、今までにない新しい金型のアイディアを提供し、受注型企業ではなく、自ら発信する提案型企業を目指している。

人_R
設計・加工の技能を併せ持つ多能工を

設計を強みに持つからこそ、設計者の育成には力を入れている。「ドラフターで一から金型を設計できる人材を育てたい」と話す宮澤社長。近年、2次元・3次元CADなどの登場により、型設計はより効率的に、より簡単にできるようになった。しかし、そうした便利なシステムによって、「設計の基礎を知っている本物の設計者が減少してしまった」と宮澤社長は危惧する。だからこそドラフターのような「原点回帰」によって基礎から教え込み、設計の技術力向上を図る。
その活動は社内どころか海外にも及ぶ。2年半ほど前からベトナムのバリア・ブンタウ省の職業訓練学校で現地の人々に金型設計を教えている。日本よりソフトが充実してない分、「日本よりも一人一人の学ぶ意識や吸収力が高く、優秀な設計者が生まれる土壌がある」という。将来的には、ベトナムに金型設計者を配置し、プレス金型の設計拠点として、グローバルでの展開も構想中だ。
また、設計だけでなく加工技術の教育も大切している。それぞれの加工工程にベテランの熟練工を配置して、若手従業員に現場で加工技術を教え、「様々な工程に対応できるオールマイティな人材」を育てている。そうするのは、金型製作の全工程を理解することで、企業の一員としてだけではなく、1人の金型屋として独り立ちし、高い加工技術力を身に付けてほしいという思いから。
今後も設計と加工の両方に高い技術力を持ち、将来に繋がる金型技術の向上を目指す。


会社メモ

代表者=代表取締役 宮澤 幸弘氏
創立=1964年12月
所在地=東京都大田区本羽田2-12-1-411号
TEL=03・5736・1050
FAX=03・5736・1064
URL=http://homepage2.nifty.com/miyazawaseiki/
従業員数=10人
事業内容=精密順送プレス金型、設計、製作(金型専門)、部品加工、プレス加工など。
主な設備=ワイヤーカット加工機(三菱電機)1台、DIAX放電加工機(三菱電機)1台、フライス(牧野フライス製作所)2台、成形研磨機(日興機械)2台、成形研磨機(岡本工作機械)1台、成形研磨機(三井ハイテック)1台、平面研磨機(岡本工作機械)1台、CAD(倉敷精機)1台、CAD(オリベッティ)1台、プレス35t(アマダ)2台、プレス10t(アマダ)2台、ボール盤(エンシュウ)3台、タッピングマシン、1台、投影機(東芝)1台、工場顕微鏡(ニコン)1台。

金型新聞 平成27年(2015年)1月10日号

関連記事

寺方社長が旭日単光章
寺方工作所

 令和2年春の叙勲で、精密プレス金型を手掛ける寺方工作所(鳥取県北栄町、0858-36-4311)の寺方泰夫社長が旭日単光章を受章した。  1948年生まれ、大阪市鶴見区出身。70年金沢工業大学卒、寺方工作所入社。200…

日本金型工業会 2月17日金型シンポジウムin関西

CNなどテーマに講演やパネルディスカッション 第6回金型シンポジウムin関西(主催:日本金型工業会)の詳細が明らかになった。 同シンポジウムは、「新たな社会環境・新たなステージ・新たな価値を創造 関西からの発信」をテーマ…

広がる微細精密の世界インターモールド2017〜進化する金型〜

広がる微細精密の世界インターモールド2017〜進化する金型〜

広がる微細精密の世界 面粗さRa0.1㎛以下要求  微細精密な金型を求める動きが強まってきている。電気自動車(EV)や、自動運転、安全機能の強化など自動車の高機能化で、「車の電子化」が進み、車載用電子部品やLEDなどの微…

【金型の底力】キヤノンモールド世界に誇れる「見通せる工場」

世界一の金型メーカーへ 新本社工場が本格稼働 キヤノンモールドは移転を進めていた「本社・友部事業所」を7月から本格稼働させた。市内に分散していた工場を1か所に集約。自動化や人・モノの移動を減らすなどして、従来比で1.5倍…

ー測定機器ー<br>精度・スピードが進化、活用領域が拡大

ー測定機器ー
精度・スピードが進化、活用領域が拡大

付加価値生み差別化  金型メーカーのなかで、測定を重視する動きが広がっている。かつては「生産に貢献しないもの」とされてきた測定だが、測定技術の進歩によって品質の安定化や、生産性の向上など活用の領域が広がりつつあるからだ。…

トピックス

AD

三菱電機 オイルミスト環境下における工場内環境改善のご提案 〈AD〉

エアー搬送ファン<オイルミスト対応タイプ>のご紹介 三菱電機株式会社はオイルミスト環境下の室内環境改善に貢献する新商品「エアー搬送ファン<オイルミスト対応タイプ>」を202... 続きを読む

関連サイト