金型業界のいまを届けるニュースサイト「金型しんぶんONLINE」

JANUARY

18

新聞購読のお申込み

黒田精工 モータコア金型の生産強化【金型の底力】

2025年までに2.5倍に

黒田精工は昨年12月、モータコア金型などを手掛ける長野工場(長野県池田町)を拡張した。新たに設立した工場棟には300t大型高速プレス機や磁石の樹脂固着システムなどを導入。電気自動車(EV)市場の成長に伴い需要の増加が見込まれる電動車用モータコアの生産体制を強化し、2025年までに金型の生産能力を23年比2・5倍に引き上げる。

「金型事業の売上高は、この10年間で約3倍に拡大した」。そう話すのは金型事業部長を兼任する石井克則専務。2014年3月期に32億円だった金型事業の売上高は、23年3月期には97億円まで拡大。同社の売上高の4割以上を占めるようになった。

300t大型高速プレス

急成長の要因は世界的なEVシフトの加速。現在、世界の新車販売に占めるEVの比率は1割を超えていると言われており、欧米や中国などを中心に普及が進んでいる。既存の自動車メーカーだけでなくEV専業メーカーも台頭しEV市場は成長を続けている。

同社は金型内で電磁鋼板を接着積層し、効率の高いモータコアを製造できる独自技術を持つ。加えて、14年に世界的なラミネーションメーカー、ユーログループ(伊)と提携し、海外の販路を拡大。欧米や中国メーカーなどの海外企業で採用が進み、需要が増加した。

門型マシニングセンタ

こうした需要拡大を背景に昨年12月、土地、建物及び附属設備、機械設備などを含め約16・5億円をかけて、長野工場を拡張した。新設された工場棟(第8工場)及び倉庫棟の面積は約2100㎡。新工場棟にはボルスター寸法の左右長さが3・7mの300t大型高速プレス機と、モータコアに磁石を挿入し樹脂により固着する工程「MAGPREX(マグプレックス)」ラインを設置した。

大型設備を導入したのは、同社が手掛ける電動車用モータコア金型が大型化しているからだ。背景にはモータコア形状の複雑化による金型の工数増加、金型の多列化などが挙げられる。大型高速プレス機の導入によって、既設のプレス機では対応できない大型金型を搭載した試作や量産が可能となった。また、今後はさらに大きな金型が必要になる可能性もあり、「さらなる大型高速プレスの増設も検討している」(石井専務)。

モータコア

こうした金型の大型化に伴い、プレス機だけでなく、金型加工設備でも門型マシニングセンタやワイヤ放電加工機などの大型機を導入し、対応を進めている。今後は大型ジグボーラーの増設などを検討しているという。

一方、大型化対応だけでなく、金型の生産能力強化にも取り組んでいる。新工場棟及び倉庫棟の設立に伴い、工場レイアウトを大幅に見直し、金型加工機を増強する。こうした一連の設備投資によって、電動車用モータコア金型の生産能力を25年までに23年比で2・5倍に引き上げることを計画している。

今後、EV市場はさらに拡大することが見込まれる。35年には全新車販売台数の半数以上がEVになるという予測もある。メーカー各社の開発競争が激化する中、同社はモータコア及び金型の安定的かつ柔軟な供給体制をグローバルで構築し、「ハイエンド電動車用モータでシェアナンバーワンを目指す」(石井専務)。

石井克則専務

会社の自己評価シート

「技術力」「チャレンジ精神」「変化に対応する力」「未来に投資する力」に高い得点を付けた。長年培ってきた技術に積極的な設備投資や海外展開が加わり、大きな強みに。一方で、「PR・発信力」には6点、「営業力」「人材力」には7点と、今後の課題とする。

会社概要

  • 本社: 川崎市幸区堀川町580-16
  • 電話: 044・555・3800
  • 代表者: 黒田浩史社長
  • 創立: 1949年
  • 従業員: 988人(連結)
  • 事業内容: 金型システム事業、駆動システム事業、機工・計測システム事業

金型新聞 2024年4月10日

関連記事

放電精密加工研究所 大和事業所で自社展

サーボプレスや工場公開 放電精密加工研究所(横浜市港北区、045・277・0330)は9月22日、大和事業所(神奈川県大和市)でプライベートショーを開いた。プレス加工機やプレス部品の量産、金型などを手掛ける産業機械事業部…

MOLDINO エンドミルケースを金型から製作

切削工具メーカーが金型からエンドミルケースを製作するー。そんなユニークなプロジェクトに取り組んだのが、金型加工向け切削工具を手掛けるMOLDINO(モルディノ)(東京都墨田区、03・6890・5101)。ケースの設計から…

ミヨシ 未来見据えたひとづくり【金型の底力】

自社ブランドなどで魅力発信 東京都葛飾区の住宅街に工場を構えるミヨシは、アルミ製の簡易型やカセット型を主力とする。試作や小ロット生産向けに、成形までを一貫で手掛け、一歩進んだ人材育成にも力を入れる。こうした取り組みを基盤…

ソディック ポンプにインバータ搭載 電気使用量最大5割減【特集:放電加工〜最新技術はこう使え〜】

省エネ効果を大幅向上 ソディックはワイヤ放電加工機、形彫放電加工機の省エネ機能を強化している。放電加工液の循環などに使うポンプにインバータを搭載。非稼働時間にポンプを動作させないことなどにより、従来機種に比べ、約5割の電…

理研計器奈良製作所 現場の『安心・安全』を訴求【金型応援隊】

「約40年前に動的精度測定器から始まり、プレス機械、プレス品、金型を守る製品を担っており、引き続き、現場へ『安心・安全』を訴求したい」と語るのは取締役営業技術部長の阪森進氏。同社はプレス加工時のカス上がり検出器や材料の送…

トピックス

関連サイト