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がんばれ!日本の金型産業特集
東洋金型工業 河野 允煕 社長
「(多数個取りで)一定品質にするには公差管理をしてはいけない」と河野社長は持論を展開する。
食品や医療、化粧品などのキャップ金型を得意とする東洋金型工業は、1面に8個の少数から32個の多数個取りまで幅広い。特に多数個取りの金型は品質にばらつきがなく、他では真似ができないとユーザーから信頼が置かれ、最大84個取りまで手掛けた実績を持つ。
多数個取りキャップ金型で高品質な製品を生み出すにはノウハウが必要だ。河野社長が言う「公差管理しない」とは、「各部品を公差内で可能な限り同じに合わせる」ことで、例えばキャビ、コア部品などをばらついた精度で作ると、温度差や樹脂の流れによるバリなどの原因になる。それを同じ公差に合わせれば品質はばらつかない。河野社長は「当社は5ミクロン以内で合わせており、揃えられるものはできる限り揃える」と機械加工による精度にこだわり、熱膨張など温度変化への対応はワンチャッキングで荒取りから仕上げまで加工せず、荒取り後に一度ワークを外して僅かな熱を冷まし、別工程で仕上げを行うなど一定精度への工夫を行っている。
キャップ金型の売上高比率は食品が36%、医療15%、32個取り金型は全体の2割を占める。リーマン前は東南アジアなどの輸出も多かったが、円高による影響下で減少。しかし、昨年から円安基調に振れ、輸出も回復傾向だ。「今年はさらに米国なども含め、輸出増加へ取り組んでいく」。
「当社は情報共有化、ペーパーレス化を実現した社内ネットワークを構築した」と河野社長は話し、その成果について語る。
「設計部署と工場で図面デ-タを共有するのは当然として、顧客からの紙デ-タも電子化して、工場内のどのパソコンでも依頼書などの情報を見ることができる体制を作った」。デジタル化されたデ-タは閲覧や追記も容易なことが特長。社員がどのパソコンでも図面データや部品の納入時期、金型の依頼内容、修正履歴などが見られる環境により、設計と現場の行き来もなくなり、作業効率向上を実現。
情報共有化は以外なところまで効果は広がる。「実は社員教育にも非常に良いと気づいた」。情報共有化は他人のミスも分かるため、自分のミスに置き換えて考え、「同じ失敗や判断ミスを繰り返さないよう工夫したり、注意したりと社員の能力向上に役立っている」。その効果を最大限生かそうと、書面データに作業担当者、作業日時を記すデジタル印を全社員が押し、情報共有化を徹底する。
東洋金型工業には、一つ譲れない社内方針がある。「コストがかかっても品質重視」。日本は特にコスト重視に動くが、「ベンツはコストをかけて最高級品を生み出す」と、コストで技術を落とすより、コストをかけた金型作りで顧客満足を目指す姿勢を貫く。
代表者=代表取締役・河野 允煕氏
設立=1971年6月
資本金=1000万円
住所=大阪府摂津市鳥飼本町1-2-8
電話=072・654・1453
FAX=072・654・1468
E-mail=president@toyomold.co.jp
事業内容=各種プラスチック製品、成形金型の設計製作及び販売
従業員数=20人
主な設備=マシニングセンタ(オークマ、牧野フライス製作所)、ワイヤ放電加工機(ソディック)、放電加工機(ソディック)、汎用フライス盤(牧野フライス製作所)、NC旋盤(ヤマザキマザック)、CAD/CAM(シーメンス、ジェービーエム、ゴードーソリューション、AUTODESK)など。
社内方針=1に品質、2にコスト。
金型新聞 平成26年(2014年)2月10日号
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