多様な成形品、技術を披露 エンドミルの製造工法やモーター関連の成形品も 金型展2022では、最新技術を駆使して作った金型や成形品が披露された。現在のトレンドとなっている持続可能な社会や電気自動車に関連する成形品など、様々…
がんばれ!日本の金型産業特集
中辻金型工業 戸屋 加代 総括部長

「お客様が作りたいということを実現するのが仕事」と同社の戸屋総括部長は言う。
1974年創業した当時はプレス金型製造していた。そこから時代の流れに合わせ、プレス金型から板金プレス(多品種小ロットから量産まで)、厚板0.1~12mm、メンテナンス、溶接から機械加工まで、金属加工に関するあらゆる困り事、顧客ニーズに対応する企業を目指してきた。同社は10年ほど前からITの活用に着目。ホームページを見てもらえれば分かるが、「顧客の困り事」の事例や目指している方向性を記載し、閲覧した人がどんな企業なのかが分かるように工夫。フェイスブック、ブログも掲げ、従来の顧客から飛び込みの顧客も対応。
「依頼を断らない」の中には常に技術向上したいという同社の固い決意を感じる。製品デザインにも取り組んだ。「金型屋は依頼されたモノを作ることはできても、機能性や思考を設計するのは苦手」と戸屋総括部長。デザイン商品の製作に取り組んだことで、課題も浮かび上がる。
「金型屋がやらないことをやってみよう」。ホームページ上では分かりにくい金型技術を見える化するため、技術を披露できる試作品の研究を始めた。戸屋総括部長は「自転車操業で10数年やってきた。今やっと土俵に上がった感じ。金型技術で私たちができることをやっていこうと思う。将来はその技術を活かして多くの人、企業と一緒にモノづくりをやっていきたい」。

同社を取材すると“ものづくりが好き”と感じる。
同社の工場には日本の高度成長期を支えてきたプレス機械、ランプなどの設備があり、今でも大活躍中だ。「このプレス機でないと加工できない製品もある」と戸屋総括部長。モノを大切にするところも日本の企業だ。中辻儀治社長も根っからの職人だという。工場内でこんなものがあったら便利と思われるものは自分で作ってしまう。この現場、雰囲気をいかに一般の人にも認知してらえるかが問われている。金型屋とはどんな仕事なのか、それが何なのか分からないという特殊性もあり、金型を知っている人は稀だ。
同社は今年多くの人に知ってもらおうと、企業個人問わずモノづくりに興味を持つ人を対象に金型作りを体験できるワークショップを開く予定だ。キーホルダー作りを通じて、金型の組立からプレス成型までを体験することで、自社のモノづくりを知ってもらおうという取り組みだ。
「会社を引っ張っているのは30代、40代」。ベテランといえる職人は社長を含め2人。柔軟な発想で全社員が新しいことにチャレンジしている。同社の社員教育はこれだ。現場責任者の了解を得られれば、各工程を自分で工夫して取り組むことが認められている。「創意工夫がなければ、楽しくない」と試行錯誤しながら仕事をする姿勢を重要視している。現場に入ると、挨拶から始まり、職人さんから笑みがこぼれる。

代表者=中辻 儀治氏
設立=1974年
資本金=1000万円
所在地=東大阪市長田西4-1-16(管理工場)
東大阪市長田西6-1-23(生産工場)
TEL:06・6746・0056
FAX:06・6746・0039
ホームページ:http://www.nkk-24.co.jp/
ブログ、フェイスブックなど多数。
従業員数:13人
主な設備:マシニングセンタ(大阪機工、ヤマザキマザック)、ワイヤー放電加工機(西部電機)、平面研削盤(岡本工作機械製作所)、プレス(アイダ、ワシノなど)、測定機(ファロージャパン)、ダイヘンロボット溶接機、パナソニックロボットCO2溶接機、CAD/CAM(アンドール、C&Gシステムズ、ヴェロジャパン)など。
経営指針:日本一、「人を笑顔にする金型屋」にします。
金型新聞 平成27年(2015年)2月10日号
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